◎国連から4度目の勧告!今こそ「選択的夫婦別姓」の導入を
◎「大阪万博」への修学旅行は、危険を直視して再考せよ
◎物価高騰の中、シビック改修ではなく区民施設の改修を優先せよ
◎8割が女性である区の「会計年度任用職員」の処遇改善を
◎困難女性支援法に基づき「女性相談支援員」の正規雇用化を急げ
◎男女平等社会の実現を目指す「文女連」の活動の発展のために
◎続く「介護事業者の撤退」と増える「介護難民」への緊急対策を
◎障害者グループホーム不足による居住地特例と待機の実態について
◎多様な背景を持つひきこもり支援は「オーダーメイド型」で
◎子どもの意見表明の機会を確保し、子どもの参画を保障せよ
国連から4度目の勧告!今こそ「選択的夫婦別姓」の導入を
(小林れい子区議)
10月27日投開票の衆議院選挙で、自公与党が過半数を割り、また改憲勢力が3分の2に届かないという歴史的結果となりました。裏金問題などで国民は自民党政治への厳しい審判を下し、自民党政治に代わる新しい政治を模索、探求する「新しい政治プロセス」の始まりともいえる状況です。
この選挙結果を受けると、これまで国民多数が求めてきた様々な課題への自民党の壁を打ち破る方向が見えてきました。
折しも、国連の女性差別撤廃委員会が10月29日日本政府に対し、国内のジェンダー平等に向けた取り組みを進めるよう促す総括所見を発表した中で、4度目の勧告となる選択的夫婦別姓の導入に向け、2年以内に法改正を進めるよう厳しく求めました。また、女性差別撤廃条約選択議定書の批准など、広い分野で状況の改善勧告がなされており、区議会では2019年女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求める意見書も採択されています。政府に法改正の実現を迫る時です。お答え下さい。
マイナ保険証は、9月末時点での国家公務員の利用率は13.5%、国民全体は13.8%で、医療現場では依然としてトラブルが多発、患者の10割負担も起き、問題は山積です。
保険証廃止反対の世論が広がる中、政府は10月末、「マイナ保険証がなくても医療が受けられる」との政府広報を新聞各紙に掲載しました。それでも区は資格確認書の送付業務などを押し付けられましたが、それらの費用の全額を国が負担するよう求めるなど、抗議の姿勢を示し、現行の保険証を存続するよう国に強く求めるべきです。お答えください。
今年のノーベル平和賞は日本被団協が受賞しました。被爆の実相、核兵器の非人道性を語り続け、核兵器全面禁止を求める国際的な大きなうねりを生み出してきた被爆者のみなさんに心からの敬意を表します。
核の脅威が強まるもとでの受賞は、とりわけ大きな意味があります。区長は非核平和都市宣言をした、平和首長会議の一員です。今こそ、唯一の戦争被爆国として、核兵器廃絶にむけて、核兵器禁止条約を日本政府も批准するよう、強く働きかけるべきです。お答えください。
東京大学が来年度授業料を10万円以上引き上げるとし、他国立大学の値上げ計画も続出しています。中央大学など私立も追随する動きがありますが、高すぎる学費は若者を苦しめ未来を奪うものです。大学・専門学校の学費を半額にし、他国にはない入学金制度の廃止、返済不要の奨学金制度の創設を国に求めること。また、学校給食の無償化を国に求めるとともに、区として小中学校の副教材や学習用具、校外学習に係る費用を無償化するよう求めます。併せて伺います。
(成澤区長答弁)
小林議員のご質問にお答えします。
最初に、国への要望等に関するご質問にお答えします。
まず、選択的夫婦別姓等についてのお尋ねですが、選択的夫婦別姓については、今後、国会での議論がなされるものと認識しており、区として法改正を要望する考えはございません。
また、女性差別撤廃条約選択議定書の批准につきましては、国による議論の中で行われるべきものと認識しており、区として国に対し、要望する考えはございません。
次に、現行の健康保険証についてのお尋ねですが、マイナンバーカードの健康保険証利用に関する課題については、国において様々な検討や対策が行われていることから、現行の健康保険証の存続等を国に求める考えはございませんが、今後も、区民の皆様に分かりやすい制度の周知に努めてまいります。
次に、核兵器禁止条約についてのお尋ねですが、条約の批准について、区として個別に国に働きかける考えはございませんが、平和首長会議の一員として、引き続き、核兵器禁止条約の早期締結に向けた活動を行ってまいります。
(教育長答弁)
教育に関するご質問にお答えします。
はじめに、大学等の学費を半額にし、入学金制度の廃止、返済不要の奨学金制度の創設を国に求めることについてのお尋ねですが、大学や高等専門学校の学費の負担軽減措置については国において実施されており、経済負担の軽減について、都から国に対して要望しております。したがいまして、改めて区として国に求める考えはございません。
次に、学校給食及び副教材費等の無償化についてのお尋ねですが、学校給食の無償化については、国の財政負担により実施するよう、既に特別区教育長会及び特別区長会から要望を行っております。
また、区では、様々な子育て支援メニューを用意し、広く支援を行っております。
副教材費等の無償化については、子育て世帯への支援全体の枠組の中で検討すべき課題であり、現状においては、就学援助制度により、支援が必要な世帯に対して、一定の経済的な負担の軽減が図られているものと認識しております。
「大阪万博」への修学旅行は、危険を直視して再考せよ
(小林れい子区議)
区内中学10校中7校の来年度の修学旅行先は大阪万博です。
一昨年12月開催の国際博覧会推進本部で、「修学旅行と校外学習合わせて120万人の子供たちに万博に来てもらう」目標が表明され、内閣官房・経済産業省は万博活用依頼の通達を文科省に出しました。これを受けた文科省は、「都教育委員会、区教育委員会を通じ、各学校へ情報提供してもらえるよう、格段の配慮と活用を行うよう」呼びかけました。どのような内容の周知をいつ何回、各学校へ送ったのか伺います。それに対し、各学校がどのように意思決定したのか伺います。
通常、修学旅行等の校外行事では、事前に教員がトイレの位置や数、ルートなど詳細な調査を行っていると聞きます。万博の開幕は4月13日です。開幕直後の5、6月に予定しているのは何校で、実地踏査はいつ行くのか、また、年度当初の一番多忙な時期に十分な調査ができるのですか、お答え下さい。
修学旅行に関しては、56年前の文科省の通達で、事故は「絶無に」と呼びかけています。いくら年月が経ようとも当然のことであり、学習指導要領の「特別活動編」でも「事故がないよう、安全に」が繰り返し発出されていますが、見解を伺います。
今年3月、溶接の火花が可燃性ガスに引火し、爆発する重大事故が起きました。夢(ゆめ)洲(しま)は現役の廃棄物最終処理場で、埋め立てたものの分解に伴って可燃性のメタンガスが発生し続けています。また、夢洲への交通ルートは2か所しかなく、災害時は大勢の人たちが洲(しま)に残され、孤立する危険性も指摘されています。近年5,6月頃から暑さが厳しく、熱中症の危険や近くでヒアリも発見されています。不測の事態に教育委員会が全責任を負えるのですか、伺います。
区は、こうした情報を学校・保護者と共有し、子どもたちを行かせることを再考するよう求めるべきと考えます。お答えください。
(教育長答弁)
次に、修学旅行先についてのお尋ねですが、区立中学校に対しては、大阪・関西万博について、これまで、5回周知しております。内容は修学旅行等における大阪・関西万博の活用や入場料金の決定、「ジュニアEXPO2025(にせんにじゅうご)教育プログラム」参加校募集等についてです。
中学校の修学旅行先については、各校が学校の実態や教育的価値に応じて適切に判断していると認識しております。
また、令和7年5月・6月に万博を見学する予定の学校は6校であり、これらの学校は、必ず事前に実地踏査を行い、現地を確認することとしております。
また、万博の安全性については、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会が「防災実施計画」を策定しており、安全性について担保されているものと認識しております。引き続き、生徒が安心して万博を見学できるよう、各学校と連携しながら、万博に関する情報を生徒や保護者へ周知してまいります。
修学旅行については、各学校が旅行先の状況及び国や都からの情報等を注視しつつ、安全性を確認して、実施計画を策定し、教育委員会としてその責任において、各学校の計画を承認しております。修学旅行は実施計画のもと、安全に実施されるものと考えております。
物価高騰の中、シビック改修ではなく区民施設の改修を優先せよ
(小林れい子区議)
シビックに投じた税金は、建設・維持・改修費で総額1400億円を超えましたが、区立保育園7園には10年以上使っているエアコンが92台もあり、藍染保育園では20年以上のエアコンが現役です。ある区立保育園では8月の猛暑の最中に、エアコンの緊急交換を行いましたが、保育園の断熱化は建替まで行わないと言います。一方、公共施設総合管理計画で用いた単価で試算すると、工事費だけで20億円弱とみられる議会フロアの全面改修とシビック大規模改修は進もうしています。区立保育園のエアコン更新や断熱化を優先させるべきではありませんか、認識を伺います。
工事費高騰を受け、北区の北とぴあ大規模改修に続き、中野区が中野サンプラザの再開発が当初より900億円オーバーとの試算を受け、見直す判断をしました。シビック大規模改修に、今後かかる経費の試算すらせず、区民に判断材料を提示しない区政運営は異常そのものですが、見解を伺います。
必要なことはシビック大規模改修を凍結し、老朽化がすすむ汐見児童館や千駄木育成室の改修、大規模改修していない駒込地活や不忍通りふれあい館の改修、学校・保育園の断熱化、全ての公園と猫又橋際公衆トイレの改修など、区民施設を優先すべきで、議会フロアは全面改修でなくLED化改修程度に限定すべきです、全てお答え下さい。
(区長答弁)
次に、区民施設の改修等に関するご質問にお答えします。
まず、保育園のエアコン更新や断熱化についてのお尋ねですが、区立保育園のエアコンについては、概ね15年から20年を目安に、計画的に更新を行っており、今年度は本郷保育園でエアコン13台を更新したところです。今後も予防保全の考え方に基づき、計画的に改修してまいります。なお、断熱改修については、大規模改修時等に全面的に行っておりますが、部分改修においても、施設運営等に支障が出ない範囲で、断熱性の向上に取り組んでまいります。
次に、シビックセンター大規模改修等についてのお尋ねですが、シビックセンターは、改修基本計画に基づき工事を進めておりますが、コロナ禍や半導体不足等による工事への影響や工事費等の高騰があったことから、計画期間等の見直しを検討しております。
改修工事については、他の区有施設の整備に影響を及ぼさないよう、計画期間の年度ごとに改修経費の平準化に努めるとともに、工事内容を検証しながらその必要性を判断しているため、改修工事を中止する考えはございません。
また、議会フロアについては、改修基本計画に基づき、トイレ改修や照明のLED化、消防設備の更新等、ユニバーサルデザインや省エネ化、防災機能の向上を図る工事等を行ってまいります。なお、児童館・育成室、学校や保育園のような施設については、工事期間中の運営を確保するなど、個別の状況を鑑み、順次、断熱化を含む施設の改修を進めてまいります。
駒込地域活動センターについては、今年度、外壁改修や一部内装改修工事等の設計を行っており、また、不忍通りふれあい館については、必要に応じて、修繕工事等の対応を行っております。
公園の便所につきましては、公園再整備工事において、順次、整備をしているところですが、猫又橋際(ねこまたばしぎわ)公衆便所につきましては、道路の拡幅予定があるため、現時点では整備を行う予定はございません。
8割が女性である区の「会計年度任用職員」の処遇改善を
(小林れい子区議)
「働き方」と「ジェンダー平等」について伺います。
国が自治体に対して人員抑制を求め、それに応じて定数削減した結果、地方公務員の残業時間は民間の約1.3倍となり、長時間労働による離職や精神疾患が増え続け、非正規職員の急増も招いています。区における、残業が多い順に5課の平均時間を伺うとともに、長時間労働解消の方策を伺います。
区の病気休職者数とそのうち精神疾患を理由とする人数は、令和4年41人中33人、令和5年51人中44人で、実に「86%の精神疾患での休職」は大きな課題です。病気休職者が多い順に、人数および部署名をお答えください。
人口が23万人に増え、複雑化・複合化した課題が増える中、令和4年度財政状況資料集にあるように「福祉系職員が多い傾向にある。今後も職員の適正化に努める」という認識は改め、福祉の増進に努める職員の増員と育成に取り組むべきです、伺います。
会計年度任用職員は、2020年度の1,630人から5年で342人増え、24年度は1,972人となり、そのうち78%が女性です。会計年度任用職員の部署別、年齢別の男女別人数をお答えください。また、会計年度職員の圧倒的多数が女性である原因を調査し、公表することを求め、伺います。
2020年の自治労連調査では、会計年度任用職員のうち年収200万円未満が59%でしたが、墨田区、港区、杉並区では昇給制度を設けています。区も会計年度任用職員の給料を経験年数に応じ昇給させ、処遇改善をはかること、あわせて伺います。
戸籍住民課証明発行業務委託では、2013年の委託開始以降270人が離職、就業者の98.2%を女性が占めており、同様に指定管理の図書館司書の離職総人数は373人ですが、就業者における女性の人数と割合について伺います。
こうした自治体における非正規雇用の実態が、女性の生涯賃金が男性より1億円低い大きな要因となっています。妊娠、出産、介護等と両立できる非正規雇用を選ばざるを得ない女性への間接差別になっているという認識はありますか、お答えください。
国連から間接差別に関する法改正を求められている今こそ、戸籍住民課証明発行や図書館を直営に戻すこと、本人が望めば正規職員になれる取り組みを行うなど、自治体が率先して働き方におけるジェンダー平等を推進するべきです、伺います。
(区長答弁)
次に、職員の働き方とジェンダー平等に関するご質問にお答えします。
まず、職員の超過勤務についてのお尋ねですが、昨年度の月平均の実績で、企画課が39時間、財政課及び防災課が30時間、職員課、学務課及び児童青少年課が24時間となっております。
超過勤務を縮減するため、引き続き、DXも含めた事務の簡素化・合理化を図るとともに、週2回のノー残業デーや時差勤務制度等を推進してまいります。
次に、精神疾患を理由とする病気休職者数についてのお尋ねですが、昨年度においては、税務課及び戸籍住民課で5名、国保年金課で3名となっております。
次に、福祉系職員の体制と育成についてのお尋ねですが、複雑化・多様化する行政需要に対応するため、引き続き、事務事業の見直しや業務改善等を進めるとともに、職員体制の適正化による必要な職員の確保・育成に努めてまいります。
次に、会計年度任用職員の部署別、年齢別の男女別人数についてのお尋ねですが、本年4月1日時点の、部署ごとの男女別人数については、
企画政策部は、男性4人、女性4人、総務部及び行政委員会等は、男性11人、女性33人、区民部は、男性39人、女性95人、アカデミー推進部は、男性4人、女性14人、福祉部は、男性14人、女性96人、子ども家庭部は、男性24人、女性460人、保健衛生部は、男性4人、女性45人、都市計画部は、男性4人、女性7人、土木部は、男性21人、女性10人、資源環境部は、男性25人、女性3人、施設管理部は、男性2人、女性4人、教育推進部は、男性282人、女性767人です。
次に、年齢ごとの男女別人数については、
30歳未満は男性49人、女性69人、30歳以上40歳未満は男性38人、女性139人、40歳以上50歳未満は男性34人、女性241人、50歳以上60歳未満は男性48人、女性485人、60歳以上70歳未満は男性164人、女性494人、70歳以上は男性101人、女性110人です。
次に、会計年度任用職員における性別の比率に関する調査等についてのお尋ねですが、地方公務員法の平等取扱いの原則に基づき、募集及び採用事務を適切に行った結果によることから、議員ご提案の調査を実施する考えはございません。
次に、会計年度任用職員の処遇改善についてのお尋ねですが、会計年度任用職員の報酬については、職務の内容や責任、職務遂行上必要となる知識、技術等の要素を考慮した上で定めております。経験年数に応じた昇給等については、他区の状況等も踏まえながら、今後、研究してまいります。
次に、自治体における非正規雇用の実態と女性への間接差別についてのお尋ねですが、会計年度任用職員の任用にあたっては、業務の内容や業務量に応じて勤務条件を定めており、性別を問わず、広く公募の上、選考を実施していることから、自治体における非正規雇用の実態が、女性への間接差別に当たるという認識はございません。
次に、戸籍住民課証明発行業務や図書館の直営化についてのお尋ねですが、証明発行業務及び図書館においては、各事業者により適切に運営されており、直営に戻す考えはございません。
なお、正規職員の採用については、特別区共通基準に基づき実施しており、会計年度任用職員を本人意向に応じて正規職員として登用する制度はございません。
(教育長答弁)
次に、図書館の指定管理業務の就業者における女性の人数と割合についてのお尋ねですが、令和6年11月1日現在、就業者のうち、女性は192人、全体に占める割合は83.5%です。
困難女性支援法に基づき「女性相談支援員」の正規雇用化を急げ
(小林れい子区議)
令和6年度予算資料には、「女性相談支援員」の「活動費」の説明にいまだ「売春防止法」と記載しています。確かに「旧売春防止法」では「婦人相談員は非常勤」とされていましたが、すでに改正・削除され、今年度より「困難女性支援法」が施行され、17区が女性相談支援員を正規化するなど、時代は変わっています。遅れた認識をただちに改め、早急に女性相談支援員の正規雇用化を進めるべきです、伺います。
また、区の「管理職に占める女性の割合」について、令和6年度の現在も10.3%と低迷しています。女性管理職の割合についての目標数値を設定し、女性職員が管理職として働きやすい環境整備や昇任意欲の醸成に向けて取り組みを具体化すること、伺います。
(区長答弁)
次に、女性相談支援員の正規雇用についてのお尋ねですが、本区では会計年度任用職員を配置し、これまで適切に業務を遂行してきたところであり、正規職員の配置については、他自治体の状況も踏まえ、今後の検討課題といたします。
次に、管理職に占める女性の割合についてのお尋ねですが、本区では、特定事業主行動計画における目標として、福祉職を除いた、管理職を含む係長級以上の女性の行政系職員の割合を目標数値として設定しております。
目標達成に向け、管理職の仕事のやりがいやプライベートとの両立等について職員向け広報誌で周知するほか、「女性職員のキャリア形成に関する意見交換会」の実施により、昇任への不安解消に努めております。個人のキャリアデザインの中で、管理職として働くことを選択肢の一つとして考えることができるよう、その魅力について周知を図るとともに、所属長からの受験勧奨も併せて行うことで、女性職員の管理職への昇任意欲の醸成に努めてまいります。
男女平等社会の実現を目指す「文女連」の活動の発展のために
(小林れい子区議)
1986年、区は「文京区婦人行動計画」に基づき、女性問題解決の拠点として「文京区婦人センター」を開設しました。88年、100を超える区内の女性団体からなる文京区婦人団体連絡会が発足、後の「文京区女性団体連絡会」が、男女平等社会の実現を目指す団体としてセンターの自主運営に踏み出したことは、全国的にも先駆的な取り組みでした。
2006年から、区の指定管理委託を受け、「文京区男女平等センター」の運営及び施設管理を行ない、13年に「文京区男女平等参画推進条例」を制定させるという大きな成果をあげて以降、現在も様々な啓発活動を続けています。
ジェンダー平等のパイオニアとも言える「文女連」の活動についての評価と、今後の役割について、区のお考えを伺います。
男女平等センターの改修後も「非公募」による事業者選定を続けること、活動に学生や若い女性も率先して取り組めるよう人件費の拡充を行い、職員や委員の専門性が高まるよう育成にも励むべきです、伺います。また、蔵書や資料の集積を行えるよう研究費も増額し、情報発信も充実させるべくDX化も推進すること、伺います。
短時間・単発で働くスキマバイトアプリが広がり、区内の認可園でもそのアプリで募集する園が4園あると9月の決算委員会で明らかになりました。採用した実人員数と従事日数を、従事した業務ごとに伺います。
また、育成室や児童館など、他の子ども関連施設、特養・障害者施設など、区内の福祉系施設でのアプリによる募集・採用したケースの有無も伺います。
最善の発達保障となる保育を目指すなら、採用時の履歴書提出や面接での資質や知識の確認は最低限必要です。しかし、スキマバイトアプリでは実質的な確認ができません。
さいたま市は学童保育の事業者がアプリで人員を採用していたことから、資格を持つ人に限定し、求人するよう事業者に通知しました。奈良県香芝(かしば)市では、公立学童保育所がアプリで人員募集していたことについて、市長が「適切ではない」と議会で答弁しています。頻繁な人員の入れ替えは子どもたちのストレスにもなり、健やかな成長を妨げます。保育を始めとする区内の福祉現場でのスキマバイトアプリの活用は禁止するべきです、伺います。
保育の質を確保するため、区独自の保育士加配促進事業は継続し、児童福祉法の最低基準を上回る基準で保育を実施するべきで、国には保育委託費の弾力運用は止め、保育士配置基準を拡充するよう求めるべきです、それぞれ伺います。
教員不足について伺います。
教員の欠員は、令和4年度9月に55名で充当は51名に留まり不足は4名、令和5年度の欠員は9月に56名で充当は48名に留まり不足は8名でした。
では、令和6年度の4月1日と9月1日の欠員を示し、産休・病休・退職等、類型ごとの減員数と正規・非正規による充当数、なぜ、毎年、欠員を充当しきれないのか、原因も併せて伺います。
正規教員を確保する自治体独自の取り組みが行われています。千葉では教員採用する学生の奨学金返済を300万円を上限に負担し、岡山県や北九州市も奨学金の返済を一部肩代わりしています。区でも教員を目指す学生向けの奨学金の返済を肩代わりする等、支援策を打ち、都にも奨学金返済事業を求めるべきです。伺います。
また、子どもたちの最善の教育条件の確保と教員の負担軽減のためにも30人学級を早期に実施し、教員の長時間労働の温床になっている教員給与特別措置法は廃止し、教員定数の抜本増を国に求めるべきで、それぞれ伺います。
(区長答弁)
次に、文京区女性団体連絡会についてのお尋ねですが、文京区女性団体連絡会は、昭和63年の設立以降、女性の地位向上やジェンダー平等の推進等に取り組み、現在は、男女平等センターの指定管理者として施設の管理・運営を担うなどの実績を残されていることから、区としては、引き続き男女平等参画社会の実現に向けた活動の取組に期待しております。
一方で、活動の成果ともいえる女性の社会進出により、登録団体の減少や会員の高齢化等が認められ、将来を見据えた持続可能な組織運営等に課題があると認識しております。
次期指定管理者の選定方法については、今後検討してまいります。なお、人件費の拡充や職員の育成については、団体内で行うべきものであり、蔵書や資料の集積や情報発信の充実については、指定管理者として、指定管理事業の中で対応すべきものと認識しております。
次に、保育の質の確保に関するご質問にお答えします。
まず、短時間・単発アルバイトアプリによる保育士の雇用状況についてのお尋ねですが、このような形で雇用されている保育士については、現在、巡回指導等の中で聴き取りを行うことで把握しておりますが、従事日数等の詳細については把握しておりません。
次に、介護・障害者施設における短時間・単発アルバイトアプリによる雇用状況についてのお尋ねですが、介護・障害者施設運営事業者の雇用状況については、把握しておりません。
次に、区内福祉施設等での短時間・単発アルバイトアプリの活用の是非についてのお尋ねですが、このような雇用は、保育をはじめ、福祉施設等の業務の性質上、課題があると考えております。
保育施設では、常態的に活用することは適切でないと考えており、そのような事実を確認した場合、職員体制等を確認した上で、必要な措置を求めることとしております。また、それ以外の施設については、活用する業務内容に応じ、適切な運営ができるよう、事業者指導の機会を捉えて対応してまいります。
次に、保育士の配置基準等についてのお尋ねですが、区独自の保育士加配促進事業については、新型コロナウイルス感染症の影響等による保育士の負担軽減を目的として開始したものであり、事業開始時に終期として定めた本年度で終了する予定です。
今後は、各園の充実した職員配置を促すため、令和7年度重点施策として職員体制の充実を補助要件とする賃借料等補助事業を実施予定であり、本事業等により、引き続き、保育の質の向上につながるよう取り組んでまいります。なお、委託費の弾力運用は、適切な施設運営が確保されていることを前提に認められている国の制度であり、国に対して中止を求める考えはありません。
また、保育士配置基準の拡充については、国の「こども未来戦略」において、7年度以降、1歳児の配置基準の改善も示されていることから、国に改正を求める考えはなく、区としては、今後の制度改正に合わせ、速やかに対応してまいります。
(教育長答弁)
次に、育成室及び児童館における、いわゆる短時間・単発アルバイトについてのお尋ねですが、本区の育成室及び児童館において、ご指摘のような形で職員の雇用を行った実績はございません。
次に、教員不足についてのお尋ねですが、令和6年4月1日時点の欠員は41名であり、産育休29名、病休10名、退職等が2名です。正規・非正規別の充当数は、正規2名、非正規38名です。
また、9月1日時点の欠員は55名であり、産育休40名、病休8名、退職等が7名です。正規・非正規別の充当数は、正規2名、非正規48名です。
教員の採用や各区への配置については 東京都教育委員会が実施しておりますが、区としても講師を配置できるよう取り組んでおります。しかしながら、昨今の教員採用試験の倍率の低下が示しているとおり、教員のなり手不足も一因であると考えております。
次に、教員を目指す学生の貸与奨学金の返還にかかる支援策についてのお尋ねですが、教員の採用については都において行われており、奨学金返還にかかる支援策についても都において検討されるべきものと認識しております。
現時点では、当該支援策を実施する考えはございません。また、都に支援策の実施を求めることについても考えておりません。
最後に、30人学級の実施などについてのお尋ねですが、小・中学校における30人学級の導入については、法改正等を含め、国において広範な議論がされるべきものと認識しております。
また、教員定数の改善については、現在、国において検討が進められており、区として国への要望を行う考えはございません。
続く「介護事業者の撤退」と増える「介護難民」への緊急対策を
(小林れい子区議)
今年の全国の介護事業者の倒産件数は1〜10月で145件に上り、これまで最多だった2022年の143件を上回り、2カ月を残して過去最多です。特に訪問介護が72件と半数を占め、通所・短期入所48件、有料老人ホーム11件と続きます。
その原因について東京商工リサーチは「ヘルパー不足や燃料代などの運営コスト上昇に加え、2024年の介護報酬マイナス改定の影響が出ている」と分析し、「国や自治体の本格的な指導・支援がなければ、小・零細事業者の淘汰が加速する」と警鐘を鳴らし、「全国で『介護難民』の発生が現実味を帯びている」と今後の見通しについて分析していますが、区長の認識を伺います。
現役世代も安心できる公的介護確立のためには、介護保険の公費負担割合を6割に引き上げること、介護報酬引き下げは撤回し、大幅引き上げを行うことが必要で、国に求めるべきです。伺います。
しかし、区内ではすでに事業者撤退・介護難民が現実のものとなっており、住民と自治体が作り上げてきた文京の介護が崩壊する危機との認識はないのですか、伺います。これまでの物価高騰補助等の水準ではない、区独自の緊急的な財政支援を今すぐ行うことを要求します、見解を伺います。
区内では、居宅介護支援事業所が過去6年で11事業所減り、令和5年度末で42事業所で、このうち15事業所はケアマネが1人だけ、ケアマネ難民も生まれていますが、打開の方策とケアマネ1人当たりの担当ケース数を過去6年分、年度ごとにお答えください。
介護職員の賃金は全産業平均より7万円低く、改善は待ったなしです。国に公費助成で賃上げするよう求め、区も独自の処遇改善を緊急に行うべきです、伺います。そして、ケアマネ不足解消のため、区の責任でケアマネを確保・育成し、ケアマネが見つからないという事態を解消すべきです、併せて伺います。
高齢者の人権保障を求め、伺います。
医師の診断で退院が決まり、シルバーピアでひとり暮らしの再開にむけ準備中の方に、指定管理受託する東急コミュニティーの福祉住宅サービス所長が初対面で訪問し、「シルバーピアのご入居について」と題する文書を届けたことが分かりました。そこには、シルバーピアや生活福祉課へ提出する「各種書類について…ご自身で記入できない場合、自立して生活できるとは認められません」と書かれ、入居者は驚愕したと言います。
結局、生活福祉課のケースワーカーが代筆して退院し、シルバーピアに帰宅しましたが、入居後の「書類記入不能」を「自立」でないとみなし、入居者を排除する運用は高齢者の人権侵害そのものです、認識を伺います。
こんな運用の中で介護保険の住所地特例で文京を離れた高齢者は10年で7割増の737人に達しているのです。「自立入居」の要件を厳しくするよりワーデンを復活したシルバーピア増設に邁進し、住み続けられる文京こそ実現すべきです、お答えください。
(区長答弁)
次に、介護事業に関するご質問にお答えします。
まず、介護保険制度についてのお尋ねですが、介護保険制度については、国の社会保障審議会において議論が行われており、介護保険事業者の確保を含めた必要な対策が行われ、引き続き安定的に運営されていくものと認識しております。
制度の根幹となる介護給付費等の負担割合や介護報酬については、国において議論がなされるべきものであり、区として意見を申し上げる考えはありません。
区内の介護事業については、区は保険者として、国の基本指針に基づき、介護保険事業計画を3年ごとに見直し、制度の安定や持続可能性の確保に努めており、適切に運営がなされていると認識しております。
事業者に対する支援については、これまでも、物価高騰対応支援給付金交付事業を始め、社会状況や時勢を捉えながら、国や都の制度を活用するほか、様々な支援を行っているところです。
本年度は、都において介護職員・介護支援専門員居住支援特別手当事業を行っており、本区においても、介護施設従事職員住宅費補助、介護職員等宿舎借上げ支援事業補助を実施するなど、介護人材確保・定着支援を継続的に行っているところです。
処遇改善については、国において検討がなされるものであり、これまでも必要な報酬改定や処遇加算等がなされてきたものと認識しております。更なる処遇改善については、区長会を通じて、国に対し、介護人材の確保・定着及び育成に関する継続的な施策の実施について、要望しているところです。引き続き、国や都の動向等を注視しながら必要な支援を行うなど、介護保険制度の安定的な運営に努めてまいります。
次に、ケアマネジャーについてのお尋ねですが、ケアマネジャー1人当たりの担当ケース数は、区として把握しておりませんが、ケアマネジャーに関する区への相談があった際には、空き状況等をご案内できており、ケアマネジャーが見つからない状況があるとの認識はございません。
全国的にケアマネジャーが不足している状況に対しては、国において資格試験の受験要件緩和が検討されるなど、必要な対策が進められております。
区においても、本年度から介護支援専門員等研修費用補助を新たに開始し、研修に係る受講費用の全額補助を行うなど、事業所におけるケアマネジャーの確保や育成の支援を行っているところです。引き続き、国の動向等を注視しながら、適切なケアマネジメントがなされるよう取り組んでまいります。
次に、シルバーピアについてのご質問にお答えします。
シルバーピアは、自立して日常生活を営むことができる高齢者を対象とした公営住宅であり、区は、ライフサポートアドバイザーを配置し、生活支援を行っております。
また、入居者の健康状態等により、必要に応じて、ケアマネジャーや親族等と連携しながら、入居者の意向を踏まえて、適切な介護サービスに繋げております。なお、入居者の高齢化に伴い、生活協力員としてのワーデン制度では諸問題への対応等の負担が大きくなったことから、介護の専門知識を有するライフサポートアドバイザーへ変更したものであり、生活協力員を配置したシルバーピアの増設は考えておりません。
障害者グループホーム不足による居住地特例と待機の実態について
(小林れい子区議)
次に、介護事業に関するご質問にお答えします。
まず、介護保険制度についてのお尋ねですが、介護保険制度については、国の社会保障審議会において議論が行われており、介護保険事業者の確保を含めた必要な対策が行われ、引き続き安定的に運営されていくものと認識しております。
制度の根幹となる介護給付費等の負担割合や介護報酬については、国において議論がなされるべきものであり、区として意見を申し上げる考えはありません。
区内の介護事業については、区は保険者として、国の基本指針に基づき、介護保険事業計画を3年ごとに見直し、制度の安定や持続可能性の確保に努めており、適切に運営がなされていると認識しております。
事業者に対する支援については、これまでも、物価高騰対応支援給付金交付事業を始め、社会状況や時勢を捉えながら、国や都の制度を活用するほか、様々な支援を行っているところです。
本年度は、都において介護職員・介護支援専門員居住支援特別手当事業を行っており、本区においても、介護施設従事職員住宅費補助、介護職員等宿舎借上げ支援事業補助を実施するなど、介護人材確保・定着支援を継続的に行っているところです。
処遇改善については、国において検討がなされるものであり、これまでも必要な報酬改定や処遇加算等がなされてきたものと認識しております。更なる処遇改善については、区長会を通じて、国に対し、介護人材の確保・定着及び育成に関する継続的な施策の実施について、要望しているところです。引き続き、国や都の動向等を注視しながら必要な支援を行うなど、介護保険制度の安定的な運営に努めてまいります。
次に、ケアマネジャーについてのお尋ねですが、ケアマネジャー1人当たりの担当ケース数は、区として把握しておりませんが、ケアマネジャーに関する区への相談があった際には、空き状況等をご案内できており、ケアマネジャーが見つからない状況があるとの認識はございません。
全国的にケアマネジャーが不足している状況に対しては、国において資格試験の受験要件緩和が検討されるなど、必要な対策が進められております。
区においても、本年度から介護支援専門員等研修費用補助を新たに開始し、研修に係る受講費用の全額補助を行うなど、事業所におけるケアマネジャーの確保や育成の支援を行っているところです。引き続き、国の動向等を注視しながら、適切なケアマネジメントがなされるよう取り組んでまいります。
次に、シルバーピアについてのご質問にお答えします。
シルバーピアは、自立して日常生活を営むことができる高齢者を対象とした公営住宅であり、区は、ライフサポートアドバイザーを配置し、生活支援を行っております。
また、入居者の健康状態等により、必要に応じて、ケアマネジャーや親族等と連携しながら、入居者の意向を踏まえて、適切な介護サービスに繋げております。なお、入居者の高齢化に伴い、生活協力員としてのワーデン制度では諸問題への対応等の負担が大きくなったことから、介護の専門知識を有するライフサポートアドバイザーへ変更したものであり、生活協力員を配置したシルバーピアの増設は考えておりません。
(区長答弁)
次に、障害者支援に関するご質問にお答えします。
まず、障害者総合支援サービスにおける居住地特例についてのお尋ねですが、本年4月1日時点の居住地特例者199人につきましては、文京区を除く都内114人、都外85人となっておりますが、道府県別の内訳人数は集計しておりません。
また、障害者支援施設やグループホーム等への入所につきましては、本人及び家族の意向を踏まえ、区内に限らず区外も含め利用調整を行っております。
次に、区内の障害者グループホームの待機者数についてのお尋ねですが、令和4年度「障害者(児)実態・意向調査」では、「今後希望する生活」として「グループホーム等の共同生活住宅に入居」を選択した方は、2,000人中62人となっておりますが、希望する入居時期が明確ではないため、待機者を把握することは困難です。このため、障害福祉サービスの更新時や日々の相談支援の中で、入居時期等の意向についてきめ細かく把握するよう努めております。なお、入所施設やグループホームの待機者の定義や把握の方法等につきましては、今後、国において整理する考えが示されていることから、国の動向を注視してまいります。
次に、障害者グループホームの整備等についてのお尋ねですが、「障害者・児計画」の目標を達成できるよう、本年度より、グループホーム整備費に係る補助限度額及び補助率を大幅に引き上げ、財政面からの支援を強化したところです。
公有地の活用につきましては、所在地、面積、近隣の環境等、様々な要素を勘案し、実現可能性等の検討を行っております。また、民有地につきましても、施設整備費等に対する補助制度の周知を図るなど、事業者からの相談にきめ細かく対応することで、整備を促進してまいります。なお、障害福祉サービスの報酬の引き上げにつきましては、区長会を通じて国に要望しており、区として独自の補助を行う考えはございません。
次に、障害者住宅についてのお尋ねですが、現時点で、障害者住宅の増設や、新たな家賃補助等は考えておりませんが、今後も、障害者が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、「文京すまいるプロジェクト」を充実させるとともに、居住支援法人等との連携を強化しつつ、障害者への居住支援を推進してまいります。
次に、心身障害者等福祉手当の増額についてのお尋ねですが、心身障害者等福祉手当につきましては、月額15,500円は都の条例と同額であり、月額13,500円は区独自で定めておりますが、特別区では2番目に高い支給額となっております。こうしたことから、更なる手当の増額は考えておりませんが、都や他の自治体の動向を注視してまいります。
多様な背景を持つひきこもり支援は「オーダーメイド型」で
(小林れい子区議)
ひきこもり支援の拡充求め、伺います。
1980年代、ひきこもりは不登校の延長と考えられていましたが、失われた30年と言われる経済の停滞で、就職難や再就職の困難も重なり、社会的課題として捉えられるようになりました。その間、80代の親が50代の子を養う「8050問題」と長期化も課題となり、「社会に迷惑をかけてはいけない」との思いだけが家族に重くのしかかっています。
解決の糸口を見出すには「自助・共助」と家族だけに責任を押付けず「ひきこもる人の実態を踏まえ、安心してひきこもり、元気になりつつ、時間をかけ自己実現する中で、教育や就労支援を行いつつ、社会参加を目指そう」というメッセージを区が発信して支援することが必要と考えますが、伺います。
ひきこもり調査を10月に行いましたが、既に相談支援を利用する方から「調査して支援が増えるのですか」と問合せがありました。関係機関を回り実態を相談し伝えているのに、なぜアンケートなのかという疑問や諦めの気持ちが吐露されました。精神科医の受診や保健師、関係機関のアウトリーチ支援に繋がらず、長期化し「9060問題」へと進んでいくだけで、展望が見えないのです。
そこで、ひきこもり支援センターと茗荷谷クラブでの昨年度の延べ相談件数と実件数、ひきこもり支援開始以降に、ひきこもりから社会参加に繋がったケース数、繋がっていないケースに共通する課題を伺います。また、ひきこもり当事者の多くは生活保護の申請条件に合致するケースが多いはずですが、2020年度以降の相談者の中での本人申請・代理申請の件数、申請と職権による決定の件数を伺います。
そして、ひきこもり支援拡充に向けて、
@家族会の活動経費や相談支援にかかる会費や交通費等を区として補助すること。A多様な要因や背景を持つひきこもりの伴走型相談はオーダーメイド型で支援できる体制を整えること。B「就労だけがゴール」でなく、本人の意思と選択、実情に応じた援助を行うこと、Cひきこもりを理解している精神科クリニックと当事者がつながれるよう連携体制の拡充をD当事者や家族を含む、社会的ひきこもりの実情と施策を検討する委員会をつくること Eひきこもりの定義や支援体制、国や自治体の責務を明らかにし、医療、教育、療育、進路、雇用、住宅、相談、選挙等にわたる基本方針を明らかにした社会的ひきこもり基本法の制定を国に求めること。以上6点、それぞれ答弁を求めます。
(区長答弁)
次に、ひきこもり支援に関するご質問にお答えします。
まず、ひきこもりの方に対するメッセージについてのお尋ねですが、本区では、ひきこもれる自由、社会に出る自由を大切にし、就労のみをゴールとしない一人ひとりの状況に応じた総合的かつ包括的な伴走支援を実施しております。
また、9月に発行した区報特集号では、ひきこもり当事者の尊厳を守り、ひきこもりの方を含めた誰もが安心して暮らせる地域を創っていくことや、関係機関と連携し、寄り添い続ける相談支援を行うことを発信しております。
次に、ひきこもり相談件数と社会参加についてのお尋ねですが、昨年度のひきこもり支援センターの相談件数は延べ271件、実件数は69件、茗荷谷クラブの相談件数は延べ975件、実件数は106件となっております。本区では、就労以外の居場所利用等も含めて社会参加として捉えており、昨年度実績では55人の方に社会参加につながる変化が見られました。
社会参加につながらないケースにおいては、複合的な課題を抱えていることが多いため、短期間での成果を求めることは難しく、長期的な支援が必要であることを課題として認識しております。
次に、相談者の生活保護申請についてのお尋ねですが、ひきこもり当事者の方は、経済面においては家族の援助により生活が可能な方が多いため、令和2年度以降のひきこもり相談者の中で、生活保護の本人申請となった方は5件となっております。なお、代理申請や職権での申請に該当する方はおりません。
次に、個別の支援策についてのお尋ねですが、家族会の活動については、社会福祉協議会の市民活動団体等研修費助成を活用されています。また、相談支援の経費等については、区として相談者の状況に合わせて利用料の補助や支援内容の拡充を図ってきているため、新たな補助は考えておりません。
オーダーメイド型の伴走支援や、就労のみをゴールにしない相談支援については、先程ご答弁申し上げたとおり、既に実施しており、相談支援の中で精神科クリニックとの連携が必要な場合については、福祉部門と保健部門で適宜連携をして対応しております。
また、区では、これまでも家族会等から意見を聞く機会を設け事業を実施してきており、委員会の設置については考えておりません。なお、国においては、現在、支援ハンドブックの策定に向けた検討を行っているところであり、法の制定を求める考えはございません。
子どもの意見表明の機会を確保し、子どもの参画を保障せよ
(小林れい子区議)
今年は、子どもの権利条約批准30周年の年です。
区は、「子どもの権利条例」を制定しますが、こども基本法で定めた子どもの「意見表明」「参加・参画」「意見の反映」を、全面的に実施するべきです、伺います。
「子どもの意見表明の機会を保障する」ということは、「大人に子どもの意見を聞く義務がある」ということを意味していますが、区にその認識はあるのか、伺います。
2006年に「子どもの権利に関する条例」を制定した豊島区では、「としま子ども会議」を通じて意見表明の機会を確保するとともに、区の予算にも反映させています。
北区では、2024年に施行された「子どもの権利と幸せに関する条例」に基づき、子どもの権利に関する様々な施策を検証・審理する「子どもの権利委員会」に、当事者である中学生11名を子どもの委員として委嘱しています。
区でも、先行する豊島区や北区にならい、子どもの参画を具体化するべきです、伺います。
現在、区で行っている「竹早公園・小石川図書館一体的整備計画」では、子どもからも意見表明や参画が求められ、請願も提出されました。残念ながら、第一回目のワークショップでは、子どもの意見を十分に聞くことができませんでした。改めて工夫を重ね、子どもや若者の願いを聞くべきです、伺います。
(区長答弁)
最後に、子どもの意見表明に関するご質問にお答えします。
まず 、こどもの権利条例についてのお尋ねですが、区では、こどもの権利に関する条例の制定に向けた準備を進めており、9月に作成した条例の基本的な考え方である骨子の基本理念において、全てのこどもは、その年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重されることを挙げております。
また、「こどもの意見等の表明と参加」の項目において、区は、こどもの意見を表明する機会の確保に努めること、その活動においてこどもの意見の反映や参加に努めることを挙げており、区として適切に対応していくものとしております。
次に、子どもの参画についてのお尋ねですが、 区では、こどもの権利に関する条例案の作成に当たり、区内の中高生を「こどもの権利推進リーダー」として募集し、主に条例を制定する理念や目的を示す前文についての作成を行う予定です。
「こどもの権利推進リーダー」は、来年1月から同年秋ごろにかけて開催するリーダー会議において検討を重ねるとともに、条例制定後も、条例の普及啓発の方法を検討するなど、継続した活動を行っていくことを予定しております。
次に、竹早公園と小石川図書館の一体的整備における子どもの意見についてのお尋ねですが、子どもの意見を聴くことは重要であると考えておりますので、ワークショップの開催方法も含め、意見聴取方法等について、検討してまいります。
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