◎経営悪化が深刻な特養ホームや介護施設に対し最大限の援助を
◎重層的支援体制整備事業の具体的な体制や財政的裏付けについて
◎会計年度任用職員の処遇改善と男女賃金格差の実態の解明・解消を
◎低すぎる女性管理職の割合を増やし、区はジェンダー平等の先頭に
◎Bーぐる本郷・湯島ルートの減便問題解決と更なる拡充を求める
◎江戸川区の区直営「法テラス」に倣い、区も開設を
◎東京ドーム指定管理の利用料収入減収補填の経緯と理由を明らかに
◎目白台・根津の交流館・児童館の雇用継続で、サービスの質確保を
◎目白台運動公園の指定管理の実態伺い、肥後細川庭園は直営に
◎20年経つ公共施設の指定管理者制度は全面的な検証を求める
経営悪化が深刻な特養ホームや介護施設に対し最大限の援助を
(石沢のりゆき区議)
特養等の経営問題等で伺います。
2023年10月13日の東京新聞によると、全国老人福祉施設協議会の2022年度調査では全国の特養ホームの62%が、物価高騰で赤字経営であったことが明らかになっています。また、独立行政法人福祉医療機構経営サポートセンターの、2023年9月の全国の特養ホームを運営する社会福祉法人530法人の(回答403法人)経営動向調査によれば、99.8%の施設が原油価格や物価高騰により何らかの影響を受けており、うち88.3%の施設が前年度同月比で費用負担は増加したと回答しており、物価高騰に対して必要とする支援策は、「介護報酬の引き上げ」が95%と最も多く、次に「補助金・支援金等の金額の引き上げ」との調査結果が明らかになっています。これらの結果からみれば区内4特養、また、「ゆしまの郷」でも同じような状況があるのではないか伺います。区内4特養、「ゆしまの郷」への現在の区や都の補助金はどのようになっているのか、今後、これらの施設が安定した経営を続けていくために、介護報酬の改定の他に、区は介護保険者として直ちに経営状況を把握し、物価高騰支援等の区や都としての補助金の大幅増額等、最大限の援助が必要です。併せて伺います。
また、経営難は老健施設も同じ状況だと思いますが、昨年9月の厚生委員会の区内2施設の老健に対する減収補填を求める請願審査で、区は、「具体的に細かいところまでは伺ってはいない」としながら、「収益面での状況がよくない」ということは認識していると認め、しかし、最終的には「収益面で状況が悪化しているというような感触のお話しは伺っていない」と否定していました。この答弁は矛盾にみちており真摯さに欠けており、反省し撤回すべきです。伺います。そして、介護報酬や利用者負担分による収益に基づいて、事業所において事業運営を行うこととなっているという今までの区の姿勢を、転換しなければ経営難に苦しむ老健施設や特養の存続を保障することはできません。伺います。
特養ホームの待機者は360人です。その中で要介護4,5の方は、合わせて243人にもなっています。現時点で、文京区から他の自治体の施設に入所している住所地特例の方は何人になるのか伺います。
区は10月16日付けで、特養ホームの入所指針の改定を行うこととしました。申し込みの有効期限を申込日から3年にするとし、区内施設申込数は最大5件にしましたが、これではますます特養に入所できなくなるのではないのですか伺います。特養入所を狭め在宅介護だけにシフトしていくことにならないように、特例入所についてはヤングケアラー対策等、実情に合う見直しとなるようにすることや、740床となっている特養の整備目標を急いで引き上げていくべきです。伺います。
(成澤区長答弁)
最初に、特別養護老人ホーム等に関するご質問にお答えします。
まず、物価高騰等の影響についてのお尋ねですが、議員ご指摘の5つの特別養護老人ホームにおいても、物価高騰等に伴い、事業運営経費の負担が増えており、収支状況に影響を及ぼしているものと認識しております。
次に、補助金についてのお尋ねですが、旧区立特別養護老人ホームについては、土地建物の無償貸付や施設運営費助成を行っております。民設民営の多床室の特別養護老人ホームについては、都の老人福祉施設等施設整備費及び設備整備費補助や特別養護老人ホーム及び老人デイサービスセンター建設用地取得費補助、区の老人福祉施設等整備費補助を行っております。
また、本区では、区内介護保険サービス事業所に対し、昨年度より、物価高騰対応支援給付金交付事業を実施しており、適切な支援に努めているところです。
次に、介護老人保健施設の経営についてのお尋ねですが、物価高騰等に伴い、事業運営経費の負担が増え、収支状況に影響を及ぼしていると認識しておりますが、運営主体によって差があり、一様ではないと考えております。
また、経営支援については、介護老人保健施設についても、都の介護老人保健施設整備費補助等や定期借地権利用による整備促進特別対策事業補助、区の介護老人保健施設建設事業費補助及び介護老人保健施設整備費補助、加えて、物価高騰対応支援給付金交付事業を実施しているところです。
次に、今後の支援についてのお尋ねですが、今後、国において、介護報酬改定が検討されており、その推移を注視してまいります。
また、介護保険制度の根幹となる介護報酬と利用者負担分について、減収分を補填することは考えておりませんが、今後とも時勢を捉えた施策に取り組んでまいります。
次に、入所指針及び整備計画についてのお尋ねですが、区外の特別養護老人ホームや有料老人ホーム等に入所している住所地特例の方は、10月末現在で730人となっております。
また、入所指針の改定については、区内特別養護老人ホームの運営法人から、入所希望者名簿に登載された方に連絡をしても、入所につながらないケースが多いという相談を受け、協議をしてきたものです。その解決策として、入所希望者の状況変化や入所希望先を適切に把握するため、新たに申込期限及び申込施設数の上限を設けてまいります。あわせて、特例入所についても、国の指針に基づき、区の実情を踏まえ、それぞれの事情を反映できるよう見直しを行ってまいります。
これにより、円滑な入所のご案内につながるものと考えております。なお、特別養護老人ホームの整備計画については、今後、入所指針の改定や24時間在宅ケアシステムを目指していくことを踏まえ、現行計画を変更する考えはありません。
重層的支援体制整備事業の具体的な体制や財政的裏付けについて
(石沢のりゆき区議)
地域福祉保健計画の新しい項目である重層的支援体制整備事業について伺います。
重層的支援体制整備事業は社会福祉法106条に基づく事業であり、「8050世帯」や介護や育児のダブルケア等、一つの世帯において複数の課題が存在している状態や、ごみ屋敷など世帯全体が地域から孤立している状態等、断らない相談支援を掲げています。この具体化はどのような体制で行い、財政的裏付けはあるのか、また、2022年度で164件の相談件数になっている引きこもり対策や、ヤングケアラー対策については整備事業の中でどのように位置づけていくのか、併せて伺います。
さらに、現在行っている「地域包括ケアシステム」との関係では、どのようになるのか伺います。
重層的支援体制整備事業との関係で「地域共生社会」の実現をうたい、地域福祉を住民や社会福祉事業者による「互助」に委ねる改定社会福祉法が2020年6月に成立しました。これは「地域福祉推進の主体に地域住民等を位置づける一方、国・自治体の役割は「互助の場」の創設などに留まっており、地域福祉の理念をゆがめ、公的責任のさらなる後退につながるのではないかと危惧しますが伺います。改定のめざす「包括的な支援体制」は、民間に丸投げし、財政的・人的に十分な裏付けもないままで実効性が確保できない内容であってはならないと思います。制度から漏れる人をなくそうと専門職の公務員を増員した韓国ソウル市のように、複雑な問題を抱えた人たちが地域で尊厳をもって生きるためには、まず公的支援の補償が不可欠です。伺います。
(区長答弁)
次に、重層的支援体制整備事業に関するご質問にお答えします。
まず、今後の取組体制等についてのお尋ねですが、本区では、地域共生社会の実現に向け、必要な支援を包括的に提供するため、全区民を対象とする地域包括ケアシステムの構築に取り組んでまいりました。一方で、課題や分野ごとの包括的な支援体制では対応が困難なケースが増加しており、一つの世帯に複数の課題が存在する状況も見受けられるようになりました。
このように複雑化・複合化した課題や、制度の狭間にあるニーズにも対応できるよう、本区における地域包括ケアシステムに、重層的支援体制整備事業を取り入れ、分野を横断し、多様な機関が連携するセーフティネットの構築を目指してまいります。
また、本事業に係る必要な財源については、国の交付金を活用する予定です。なお、ひきこもりやヤングケアラー支援については、これまでの各法に基づく支援体制を活かしつつ、その枠組みを超えた対応が必要な事案については、重層的支援体制整備事業を活用し、多様な機関が連携して支援してまいります。
次に、地域福祉の理念と公的支援についてのお尋ねですが、区はこれまで、地域福祉保健を取り巻く現状や多様化するニーズに対し、「公助」として、それぞれの分野で公的福祉サービスの充実を図ってまいりました。一方で、少子化の進展により、担い手となる現役世代が減少する時代を見据えて準備を進めていくことが肝要であると考えており、こうした課題に対応すべく、住み慣れた地域でこれまでの社会的関係を維持できるよう、相互に支え支えられる「互助」の関係を築くことも、今後の地域づくりにおいては、極めて重要であると考えております。引き続き、行政としての責任を果たし、「公助」として住民福祉の向上に取り組むとともに、区民一人ひとりが生きがいや社会的役割を持ちつつ、支え合い、助け合いながら暮らせる「互助」による地域福祉も推進し、地域共生社会の実現を目指してまいります。
会計年度任用職員の処遇改善と男女賃金格差の実態の解明・解消を
(石沢のりゆき区議)
区政におけるジェンダー平等の前進求め伺います。日本のジェンダーギャップ指数は146か国中125位でG7中最下位です。その大きな要因は、非正規雇用の7割が女性であることや、男女の賃金格差が激しいことが挙げられます。14年連続でジェンダーギャップ指数1位のアイスランドの大使は日本共産党の吉良よし子参議院議員との対談で「ジェンダー平等は経済や社会の発展において重要な要素」と発言されました。自治体がジェンダー平等の先頭に立つべきです。
会計年度任用職員制度は期末手当も支給するなど非正規の待遇改善を名目に2020年から導入されました。自治労連の調査では、会計年度任用職員の6割は年収200万円未満で、4人に1人は家計の主たる担い手です。総務省の調査では76%を女性が占め、立教大の上林特任教授の調査では、正規公務員の男性を100としたとき、会計年度任用職員の女性は43と大きな格差が生じています。
会計年度任用職員制度がワーキングプアとジェンダー不平等を生み出しており、区における実態解明が必要です。2020年の開始時から23年までに区では会計年度職員数は何人から何人に増えたのか、併せて女性の占める割合と人数、主たる生計者の人数を伺います。また、区における会計年度任用職員の勤続年数について、非正規職員の期間も含め5年未満の方と5年以上の方を5年刻みで何人か現時点での人数と、併せてそれぞれの所定内給与について男性の正規職員と女性の会計年度任用職員を比べて、金額と比率をお答えください。
区は予算編成方針で、人件費について「あらかじめ必要となる事務量等を正確に積算した上で、引き続き抑制に努めること」としていますが、こうした方針の下で正規職員が抑制され非正規公務員の増員が行われてきたのではありませんか。恒常的な仕事は正規職員が担うことを原則にすべきです。また現にその仕事に長年従事してきた非正規公務員が希望する場合には正規公務員への採用に道を開くべきです。伺います
(区長答弁)
次に、会計年度任用職員制度に関するご質問にお答えします。
まず、職員数についてのお尋ねですが、制度が始まった令和2年度は1,630人、本年度は1,860人であり、230人の増となっております。
また、女性の占める人数と割合については、2年度が1,276人、78.3%、本年度が1,445人、77.7%となっており、人数は169人の増、割合は0.6%の減となっております。なお、主たる生計者の人数は把握しておりません。
次に、勤続年数別の人数についてのお尋ねですが、勤続年数5年未満 909人、5年以上10年未満 558人、10年以上15年未満 196人、15年以上20年未満 128人、20年以上25年未満 47人、25年以上30年未満 12人、30年以上が10人となっております。
次に、勤続年数別の給与月額についてのお尋ねですが、会計年度任用職員については、職種や勤務時間数による違いはありますが、性別や経験年数による違いはありません。なお、週4日29時間勤務の一般事務職の場合は、18万9,939円となります。
次に、男性の正規職員の平均給与月額と会計年度任用職員の報酬月額の比率についてのお尋ねですが、同じ勤続年数であっても、月の勤務日数や勤務時間が異なっており、さらに職種や職層による違いがあり、昇格や昇任などの状況が異なることから、単純な比較は困難であると考えております。
あくまで参考となりますが、一般行政職の職員において、勤続年数5年未満の平均給与月額は、24万1,073円、会計年度任用職員の報酬月額は、その78.8%、
以下、5年以上10年未満 29万4,023円、64.6%、10年以上15年未満 35万1,566円、54.0%、15年以上20年未満 41万1,559円、46.2%、20年以上25年未満 46万8,000円、40.6%、25年以上30年未満 48万9,054円、38.8%、30年以上が48万1,779円、39.4%となっております。
次に、職員数の増等についてのお尋ねですが、多様化・複雑化する行政課題や区民ニーズに的確に対応するため、事務量や事務の実施方法等を十分精査した上で、正規職員及び会計年度任用職員双方の適切な人員配置を行っております。なお、正規職員の採用は、特別区人事委員会において定められた基準に基づき行っていることから、特別区人事委員会の実施する採用試験を受験する必要があり、長年従事してきたことのみをもって、正規職員として採用することはできません。
低すぎる女性管理職の割合を増やし、区はジェンダー平等の先頭に
(石沢のりゆき区議)
区の意思決定の場でもジェンダー平等を推進するべきです。区の正規職員に占める女性人数は1295人で6割を超えているのに、課長級以上の職員に占める女性の割合はわずか12.6%にすぎません。これは女性が正当に評価されていないか、そうでないなら昇進を妨げている障壁があるのではありませんか、原因を伺います。課長級以上の管理職に占める女性の割合は、2030年度までに5割に引き上げるべきです。区の認識を伺います。
保育や介護などケア労働者の待遇改善について伺います。
9月のわが党の決算委員会総括質問で、区内の保育園のうち株式会社立保育園の人件費率は平均で51.6%、一般財団法人及び学校法人立の人件費率は平均で58.9%、小規模保育事業所は平均で62.7%と明らかになりました。それぞれの保育園で人件費率が平均以上と平均未満の保育園は何園か、伺います。
国は運営費の約8割を保育士等の人件費と想定していますが、事業者が保育士の賃金を低く抑え、「弾力運用」によって事業拡張などの資金に回しているのではないかとの疑問は尽きません。保育士の賃金は全産業平均に比べ9万円低いという調査結果もあります。私立認可園ごとに人件費率を区が調査し公表するべきです、伺います。区の責任で人件費率が8割となるよう指導し、運営費の8割が、人件費に使われるようにするべきです。伺います。
保育士の処遇改善が問題になる原因は、保育士配置基準が1〜3歳は1969年から、4・5歳は1948年から変わらず放置されてきたことにあります。政府は6月に示した「こども未来戦略方針」で、配置基準改善をかかげたものの、運営費を若干増額する「加算」という限定的な手法にとどまり、配置基準改定は、具体化されないのではないかと危惧されています。今の基準では「災害などいざというときに子どもの命を守ることができるかどうか不安」という保育士の声にもこたえ、保育現場を知っている自治体が、配置基準を抜本的に改善するよう国に求める時です。伺います。
人手不足が深刻な介護職員の賃上げも待ったなしです。厚労省の2022年調査では、全産業平均の所定内給与が月額31万8,000円なのに対し、介護職員は24万2,200円と約7万円も低い状況です。武見敬三厚労大臣は「月6,000円程度が妥当」と述べましたが「これでは一桁足りない」と怒りを呼んでいます。抜本的な賃上げを行うよう国に求め、それが実現するまでは、区の責任で人件費の増額や家賃補助など、処遇改善を行い、人材の確保に取り組むべきです。また、都や区の処遇改善のための補助金が労働者のために使われているかどうか、介護の分野でも、保育では区が実地検査などを実施しているのにならい、介護分野でも同様に点検・指導すべきです。併せて伺います。
(区長答弁)
次に、管理職に占める女性職員の割合についてのお尋ねですが、女性管理職の割合が少ない理由として、権限・責任が重くなることや、ワークライフバランスを保つことに対する不安等が主な要因であると分析しております。そのため、女性管理職に仕事のやりがいやプライベートとの両立方法等について、インタビューを行い、職員向け広報誌で周知するほか、「女性職員のキャリア形成に関する意見交換会」を実施することで、昇任への不安解消に努めております。今後とも、こうした取り組みを通じて、女性管理職の割合を高めてまいります。
次に、保育や介護の従事者に関するご質問にお答えします。
まず、私立認可保育所等の人件費率についてのお尋ねですが、昨年度実績では、株式会社が設置する59園のうち、平均以上が28園、平均未満が31園となっており、一般財団法人及び学校法人が設置する7園のうち、平均以上が4園、平均未満が3園となっております。
また、小規模保育事業は、15園のうち、平均以上が7園、平均未満が8園となっております。
次に、私立認可保育所等の人件費率の公表についてのお尋ねですが、区や都が実施する「保育士等キャリアアップ補助金」の補助要件として、事業活動に占める人件費の割合を含む財務情報等の公表が要件となっており、「とうきょう福祉ナビゲーション」において公表されているため、区で改めて公表する考えはありません。
次に、保育事業者に人件費率8割を一律に求めることについてのお尋ねですが、私立認可保育所等の人件費率については、施設の賃借料補助の有無、職員の人数や経験年数、賃金体系等により大きく変わることから、人件費率8割を保育事業者に求める考えはありません。
次に、保育士配置基準の国への要望についてのお尋ねですが、本区では、昨年度から、国の基準で必要とされている職員数を上回る保育士を配置している場合に、人件費の一部を区独自に補助することで、より充実した職員体制による質の高い保育の実施につなげているところです。国の「こども未来戦略方針」においても、保育士配置基準の改善が示されていることから、保育士配置にかかる国基準の改正を求める考えはありません。
次に、介護職員の処遇改善についてのお尋ねですが、介護職員の報酬面の処遇改善については、特別区長会を通じて、国に対し、介護人材の確保・定着及び育成に関する継続的な施策の実施について要望しております。加えて、国において来年度介護報酬改定が検討されていることから、その推移を注視してまいります。
また、本区では、既に介護施設従事職員住宅費補助、介護職員等宿舎借上げ支援事業補助を実施しており、今後とも、区として様々な取り組みを推進することで、事業所における人材確保の支援に努めてまいります。
次に、処遇改善の点検、指導についてのお尋ねですが、事業所から処遇改善加算等を取得するために提出される処遇改善計画書及び処遇改善実績報告書により、内容を確認しております。なお、加算内容に疑義が生じた場合には、運営指導において、給与台帳等により、加算措置が適切に運用されているか確認することとしております。
Bーぐる本郷・湯島ルートの減便問題解決と更なる拡充を求める
(石沢のりゆき区議)
「Bーぐる」について伺います。
10月15日より「Bーぐる本郷・湯島ルート」が減便になり、利用者の方から「病院への通院が不便になった」、「今後、千駄木ルートも減るのか」など、不安の声が広がっています。
日立自動車交通は、「Bーぐる・本郷・湯島ルート」のほか、足立区「はるかぜ」、葛飾区「レインボー葛飾」、台東区「めぐりん」の減便も行っていますが、こういう事態になった理由と、解決のためにどのような対策がとられているのか、区として今後どう対応するのか伺います。また、「2024年問題」と呼ばれる運転士の労働時間規制が予定されていますが、今回の減便にこのことも影響しているのか、あわせて伺います。
コロナ禍における赤字の増大、燃料費などの物価高騰により、公共交通の存続の危機であり、もはや一民間事業者が解決できるレベルではない現状があります。人材確保のためにも、都バスを運行する都や同じ課題を抱える近隣他区とも協働で対策・支援するなど、区として抜本的な処遇改善のための手立てを行うべきです、伺います。また、そのための財政支援を国や都に求めるべきです、あわせて伺います。
2013年に施行された「交通政策基本法」には、交通需要を充足するための自治体の責務が定められていますが、区にその認識はありますか、伺います。都バスも運転士不足のため赤字路線の便数を減らしており、千川通りを走る「上60」の便数は1時間に1・2便しかありません。高齢者も障がい者も自由に「移動できる権利」の保障のため、交通不便地域のままになっている大塚、千石、白山にBーぐる第4路線の検討を行うべきです、伺います。
(区長答弁)
次に、Bーぐるについてのご質問にお答えします。
Bーぐるの本郷・湯島ルートについては、運行事業者より、昨今の慢性的な運転士不足が一層深刻となり、運行に必要な乗務員数の確保が困難な状況となったことから、減便について申し出がありました。
区としては、通常のダイヤでの運行を早期に再開できるよう運行事業者に申し入れるとともに、区報にバス運転士募集の記事を掲載する等、運行事業者の人員確保に対する協力を継続的に行ってまいります。この度の運転士不足による減便は、来年4月より適用される自動車運転者の労働時間規制と直接的な関係はないものと聞いておりますが、引き続き、運行事業者と情報共有を図ってまいります。
また、運転士の処遇改善については、現在、運行事業者と協議を行っていることから、直ちに国や都へ財政支援を求める考えはありません。今後とも、人員確保に向けた支援について、近隣区との情報共有を図るとともに、議員ご指摘の法の趣旨も含め、検討してまいります。なお、大塚・千石・白山地区の公共交通不便地域については、今後、多様な公共交通システムの導入について調査を行うことで、様々な可能性を検討してまいります。
江戸川区の区直営「法テラス」に倣い、区も開設を
(石沢のりゆき区議)
江戸川区では、税金の滞納者が多重債務を抱えていたり、衰弱した知的障害者が詐欺被害に遭っていたりするケースなど、区民が抱える生活上の悩みや課題を法的支援で解決する体制を強化するため、今年6月、区運営の「法テラス」を開設しました。
週2日の体制でスタートしてから9月末までに相談件数は369件。そのうち生活保護利用者を区のケースワーカーが連れてくるケースが最も多く、多重債務の相談が3分の1を占める138件だったとのことです。従来から行っていた法律相談は年間約1,700件で、法テラスができてからもそのペースは減らないため、これまで相談に至らなかった「潜在ニーズ」の掘り起こしになったと分析しているそうです。今後は、弁護士にも高い専門性が求められ、中長期的な支援が必要な「DV被害」など、特定の分野に特化した専門窓口の設置も検討するとのことです。
こうした司法にアクセスしにくい高齢者、障がい者、子ども、困難を抱える女性等の複合的な課題の相談に、区は対応できる体制にあるのか、伺います。また、生活福祉課での生活困窮および女性相談、高齢福祉課、障害福祉課、子ども支援センターの各相談窓口において、令和4年度に「法テラス」を紹介した件数と、同行支援したケース数をあわせて伺います。
「法テラス神奈川」では、高齢者や障がい者のケース会議に弁護士を派遣する「ケース会議弁護士派遣モデル事業」や、認知機能が十分でない方のための「出張相談」を行ない、司法と福祉の連携により、法律相談後に介護やセーフティネットにつなげるなど、市民の抱える複合的な課題を早期解決できるよう、行政などの関係機関に働きかけています。
これまでの区民の相談に区職員が対応し、内容次第で弁護士に取り次ぐ方法ではなく、法テラスと協力することで、多重債務や詐欺被害、DVなどに悩む区民の相談にスピーディに対応でき、解決するまで継続的に支援をする方法に変えるべきです、区の見解を伺います。
(区長答弁)
次に、法テラスについてのご質問にお答えします。
高齢者や障害者、子ども、困難な問題を抱える女性等に対し、個々の状況を丁寧に伺ったうえで、関係機関と連携をとりながら適切な支援を行っております。
また、必要に応じて、弁護士による法律相談や法テラスを紹介し、同行支援等を行っておりますが、件数は集計しておりません。なお、法テラスとの協力につきましては、他自治体の事例等を参考に研究してまいります。
東京ドーム指定管理の利用料収入減収補填の経緯と理由を明らかに
(石沢のりゆき区議)
東京ドームの指定管理について伺います。
区は2019〜21年度にコロナによる休館に伴う利用料の減収補填を行い、東京ドームは新型コロナ以前と同水準の年平均4千万円程の収益を得ました。この補填を行うにあたり、東京ドームから区への「具体的な要請等」は無く、「疑義」が生じた場合に協議するとした年度協定6条によることが明らかになりました。
しかし、スポーツ施設の指定管理者募集要項では「利用料金収入額が、指定管理者が見込んだ利用料金収入額を下回った」としても、原則「区は不足額を補填しない」としているのになぜ補填をしたのでしょうか。募集要項は例外として「但し、不可抗力により生じた損失」については、区と指定管理者で協議を行うと示していますが、この但書が適用されたと言うなら、東京ドームと区の間で「協議」が必要となり、さらに基本協定33条により、不可抗力により発生した費用負担について、東京ドームから不可抗力の内容と程度を詳細に示した書面を区へ通知することが必要だったのではありませんか、伺います。
しかし、これまでの答弁では、東京ドームからの「具体的な要請等」は無かったと言うのですから、「協議」も「書面」もなかったと思われますが、間違いないですか、伺います。
区の説明のように、コロナ減収補填が年度協定6条によるものだとして、年度協定に定めない疑義については「協議の上」定めるとしているのですから、東京ドームからの「具体的な要請」が無いという説明では、年度協定6条違反になるのではありませんか、伺います。
(区長答弁)
次に、指定管理者に関するご質問にお答えします。
まず、区立スポーツ施設における利用料金の補填等についてのお尋ねですが、新型コロナウイルス感染拡大防止に係る一連の補填等については、当該募集要項や区と指定管理者との間で取り交わした基本協定の締結時には想定できない事情であったことから、各年度の協定の第6条に基づき、覚書を締結し、補填を行ったものであり、適切に対応したものです。
次に、補填に係る指定管理者との協議等についてのお尋ねですが、これらの補填は、指定管理者制度を導入している施設に対し一律に対応したものであり、いずれの指定管理者からも、区に対し書面による通知はなく、また、具体的な要請もありませんでした。
また、具体的な補填額等の積算に当たっては、区の方針に基づき算出を行い、年度協定の規定により、区から指定管理者に対し方針を示した上で行ったもので、指定管理者からの具体的な要請がないと成立しないものではないことから、協定違反との認識はありません。
目白台・根津の交流館・児童館の雇用継続で、サービスの質確保を
(石沢のりゆき区議)
目白台と根津の児童館と交流館の指定管理委託を受託しているワーカーズコープが指名停止となり次期指定管理者選定への参加資格を失ったため、突如事業者変更することになりました。区には利用していた区民からどんな声が寄せられているか、伺います。根津児童館・交流館では、利用者約300名の署名が添えられた嘆願書が区に届けられています。こうした声は、これまでサービスを提供してきた職員に対する区民の高い評価と考えますが、区の認識を伺います。
根津交流館では児童館に通う子どもたちも参加して、地域に住む東京大空襲を体験した方から体験を聴く会が開催されるなど、住民も参加した様々なイベントが行われてきました。指定管理者の変更で17年間にわたり蓄積されてきた根津や目白台地域における交流館や児童館の運営ノウハウが失われることは大きな損失ではありませんか、区の認識を伺います。
埼玉県春日部市では、2019年に市の放課後児童クラブの運営を指定管理者として受託していた社会福祉協議会が撤退し、別事業者に指定管理者が変わった際、市長や市の幹部職員が市議会で学童保育の質の確保の視点から、雇用継承について前向きな答弁を行い、働くことを希望する学童支援員全員の雇用が次期事業者に引き継がれ、雇用条件も社会福祉協議会のものが継承されました。
区も根津と目白台の児童館・交流館の運営業務に携わってきた従業員の雇用についても、現在の労働条件も含めて次期事業者に引き継がれるよう、区が必要な役割を発揮することが求められます。お答えください。
(教育長答弁)
教育に関するご質問にお答えします。
根津並びに目白台の児童館及び交流館の指定管理者の指定についてのお尋ねですが、当該施設の利用者からは、職員の継続雇用や各種事業の継続実施等を要望する意見が寄せられております。
こうしたご意見は、現在の運営事業者が、区で提示した業務要求水準を基に、適切に管理・運営を行ってきた結果であると認識しております。運営事業者の変更に伴う業務水準の維持は、重要であると認識しており、新たな運営事業者の選定に当たっては、選定委員会を設置し、厳正な選定を行いました。
また、児童館及び交流館の管理運営に関する事項や各種事業の実施等について、新事業者と現事業者の間で十分な引継ぎを行うとともに、区としても、必要な助言を行うことにより、安定的な運営に努めてまいります。なお、職員の処遇については、現事業者及び新事業者の企業判断や、職員本人の判断によるところであり、区が積極的に関与することは難しいものと考えております。
目白台運動公園の指定管理の実態伺い、肥後細川庭園は直営に
(石沢のりゆき区議)
「目白台運動公園と肥後細川庭園の指定管理」について伺います。
目白台運動公園の指定管理者の構成員「日本体育施設株式会社」は、芝の管理に長けているとして選定された業者でしたが、現在も公園の芝生は広範囲に枯れ、しろつめくさやカタバミが生えています。区は、この夏の酷暑のためと言いますが、芝刈り機を使用した際にスプリンクラーを破損させ、放置していたことが原因でした。
ほかにも、樹林地等への産業廃棄物の不法投棄・処理、危険木の放置、区の許可なく樹木を伐採するなど、数々の問題が発生しました。2021年度の評価では、「利用者が安全、快適に施設を利用できるよう適切に施設の保守、修繕、清掃等が行われたか」の項目で、7人全員が0点評価だったのは前代未聞です。
この間、目白台運動公園と肥後細川庭園の両方合わせての指定管理者の募集を行なったところ応募者ゼロで、事業者等にヒアリングすることで別々に指定管理者の募集をかけ直すなど、迷走がありました。その結果、目白台運動公園は「目白台運動公園共創パートナーズ」に決まりましたが、これまで区が援助しなければ管理運営できなかった指定管理はやめて直営に戻すべきです、伺います。
目白台運動公園は、樹林地開放として「934万5千円」の予算を計上しているとおり、整備が行われます。この整備が必要になったのは、区も再三「課題がある」と認めているように、これまでの指定管理による樹林地管理の失敗に原因があり、損害賠償を求めるべきです、伺います。
肥後細川庭園については応募者ゼロとのことです。事業者選定をやり直す期間を鑑みれば、1か月に満たない引き継ぎ期間になってしまいますがどうするのですか、3度目の募集をかけるのではなく、直営に戻すべきです、あわせて伺います。
(区長答弁)
次に、目白台運動公園と肥後細川庭園の指定管理についてのご質問にお答えします。
目白台運動公園は、引き続き指定管理により運営していく方針です。
また、今年度実施する園路等改修工事については、経年劣化した既設の管理用通路を改修するもので、損害賠償を求める考えはありません。なお、肥後細川庭園の次年度以降の管理方法については、現在検討しているところです。
20年経つ公共施設の指定管理者制度は全面的な検証を求める
(石沢のりゆき区議)
公の施設の指定管理者制度は、自治法改正で創設され20年、区立施設に導入され17年が経ちました。区内での実態は、人員・経費の削減や業務の質や公共性、専門性の低下の度合い、人材育成が軽視されていないかなど制度運用の全面的検証と再公営化など含め、公共施設の本来の役割を取り戻す必要性が浮き彫りになっています。
指定管理施設における新型コロナ対応で言えば、国の調査でも指定手続き変更を実施したのが9%、感染症の拡大防止のために生じた減収等のリスク分担を選定時に提示もしくは協定等に記載しているのは49%だったと言います。区の感染症拡大リスクへの対応について、全国の実践を踏まえ検証すべきです、伺います。
また、わが党が何度も指摘してきたように、施設運営とサービスの質の検証をする上で、指定管理者に他区では報告されている毎年の人件費の詳細を報告させるべきです。そこで現在、区が指定管理者の人件費の内訳をつかんでいるのは、51ある指定管理施設の内、何施設あり、どの事業者の人件費を掌握しているのか、伺います。
(区長答弁)
最後に、公の施設の指定管理者制度に関するご質問にお答えします。
まず、指定管理施設における感染症リスクへの対応についてのお尋ねですが、令和2年2月以降、新型コロナウイルス感染拡大防止の取り組みとして、区が施設の利用制限等を行ったことにより、利用料金収入が減収となったことから、この減収分について補填を行いました。こうしたことから、施設の利用制限や指定事業の中止、延期等が生じた場合のリスク対応について、運用ガイドラインや募集要項に記載し、周知を図っているところです。
感染症の流行については予測困難なことから、状況に応じた柔軟な対応が可能となるよう引き続き取り組んでまいります。
次に、指定管理者の運営に係る人件費についてのお尋ねですが、人件費については、指定管理者の運用ガイドラインに基づいた報告や労働条件モニタリング等の実施により、すべての指定管理者に確認しております。
引き続き、定期的なモニタリングや利用者アンケート等を実施することにより、管理運営の適正化を図るとともに、区民サービスの向上に努めてまいります。
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