◎第7波における「新型コロナ感染症対策」について
◎高齢者施設における大規模クラスターの発生と対策について
◎子どもの施設における今後の感染症対策と負担軽減について
◎この夏の熱中症対策と生活困窮者への物価高騰への支援を
◎障害者のコミュニケーション手段を保障し、尊厳を守るために
◎英語スピーキングテストの都立高入試への導入をやめよ
◎特別教室の改修と改築予定校の快適化改修工事を急げ
◎文京区の保育予算は全額文京区の子どものために
◎障害児・放課後等デイサービス不足と質の担保の問題について
◎女性相談から浮かび上がる女性の困難をどう支えていくか
第7波における「新型コロナ感染症対策」について
(小林れい子区議)
まずはじめに、第7波における「新型コロナ感染症対策」について伺います。
軽症が多いとされた第7波ですが、死者数は第6波を上回り、8月23日、過去最多の343人が死亡したと発表されました。厚労省アドバイザリーボードは「さらに増加することが懸念される」と警告していましたが、なかでも70歳以上の致死率が上昇、重症化リスクの高い高齢者が、必要な医療を受けられず、命を落としました。
区内でも、特養や老健施設で、深刻な大規模クラスターが複数発生しました。そうした施設では、救急要請するも入院できなかった入所者の「施設内療養」が強いられ、ゾーニングを行い、コロナ病床を確保しながらの看護を行わざるを得ませんでした。
しかし、医療機関のようにコロナの特殊勤務手当てや病床確保の補助金は出ません。新規の入所や通所も受け入れられず、ひと月で一千万円を超える減収になっても、医療機関のようには減収補填もされません。こうした現状に対して、区の認識を伺います。
(区長答弁)
最初に、高齢者施設の感染症対策に関するご質問にお答えします。
まず、感染症対策費の助成や減収補填についてのお尋ねですが、現在、都において、サービス提供体制確保事業として、感染者が発生等をした介護サービス事業所施設等に対し、緊急時の介護人材確保に係る費用や職場環境の復旧・環境整備に係る経費等の助成を行っております。
また、本区において、物価高騰への対応として、介護保険サービス事業者に、食材費や光熱費等の高騰に対する支援を始めたところです。なお、介護保険制度では、介護報酬及び利用者負担分による収益に基づいて、事業所において事業運営を行っているところであり、制度の根幹となる介護報酬の減収分を区として補填することは、考えておりません。
今後とも、国や都の動向を注視し、必要な施策を展開してまいります。
高齢者施設における大規模クラスターの発生と対策について
(小林れい子区議)
第7波(7・8月)の、区内の高齢者施設におけるクラスター発生状況と、入所者・職員それぞれの感染者数について、また入院できなかった件数とリスクの高い感染者に対してどのように対応したのか、施設で亡くなった例は何件あったのか、伺います。
救急医療の逼迫が続き、介護を必要とする高齢のコロナ患者が入院できない状況があった中、高齢者施設における施設内療養の体制を強化し、施設内療養を行なった際のコロナ対策費や減収の補填は医療機関と同様に行うべきです、伺います。
(区長答弁)
次に、区内の高齢者施設における発生状況等についてのお尋ねですが、本年7月から8月までの間に、5人以上の陽性者が発生した入所施設は17施設で、感染者数は、利用者が240人、職員が113人でした。
区において、高齢者施設等で療養する方に対する医師及び看護師による往診等の体制を確保するとともに、重症度に応じた入院調整等を行い、入院が必要と判断された方は、全員入院しております。なお、感染によって施設で亡くなられた方は、施設での看取りを希望していた方を含め、4人となっております。
先程ご答弁申し上げたとおり、区として高齢者施設等への往診等の体制を確保しており、また、都によりサービス提供体制確保事業が行われていることから、減収補填については考えておりません。
子どもの施設における今後の感染症対策と負担軽減について
(小林れい子区議)
子どもの施設においても感染は急拡大し、学級閉鎖が続き、医療機関が逼迫する中、小中学校や幼稚園は、夏休みに入りました。第7波における、子どもの施設での感染者状況を伺います。
子どもの施設において、濃厚接触者の特定を行わないように運用が変わりましたが、特に保育所等において混乱はなかったのか、現状を伺います。
濃厚接触者の特定を行わないことで、保健所の負担は軽減できますが、その結果、陽性者が増えてしまえば、より一層の感染症対策が現場に強いられ、負担が増すだけです。区は、どのように子どもの施設の負担をカバーするのか、伺います。また区では、コロナの影響等による保育士の負担を軽減するための人件費補助を行っていますが、その利用実績も合わせて伺います。
感染者数が高止まりの中、新学期を迎えることで、第7波の長期化も予想されます。子どもの施設を通じて抗原検査キット等を配布し、風邪症状のある場合の積極的な活用を呼びかけるべきです、伺います。また、保育士等の職員の定期的検査を行うべきです、あわせて伺います。
(区長答弁)
次に、第7波における子ども施設の状況に関するご質問にお答えします。
まず、感染者の状況についてのお尋ねですが、本年7月から8月までの、区内保育施設における感染者数は、職員448人、園児859人、学校施設においては、区立幼稚園は職員21人、幼児68人、区立小学校は職員95人、児童1,372人、区立中学校は職員25人、生徒263人となっております。
また、濃厚接触者の特定を行わないとしたことについては、施設と保護者に対して速やかに対応の変更をお知らせしたことにより、特に大きな混乱は無かったものと認識しております。なお、感染者が発生した際は、区が感染の経緯や状況を把握し、必要に応じた助言を行い、感染拡大防止のための支援を行っております。
また、保育士加配促進事業の利用実績については、本年4月から7月までで90園、補助額の合計は約1億2,500万円となります。
次に、検査体制についてのお尋ねですが、区として、抗原検査キットの配布は考えておりませんが、感染者が確認されたクラス等の子どもを対象に、引き続き、任意のPCR検査を実施してまいります。
また、職員の検査についても、随時及び発生時のPCR検査を、引き続き実施いたします。
この夏の熱中症対策と生活困窮者への物価高騰への支援を
(小林れい子区議)
「熱中症対策」について伺います。
この夏は節電が呼びかけられた上、物価高騰の影響でエアコンの使用をためらう人も多く見られたため、党区議団は8月9日、新型コロナと熱中症から区民のいのちを守るための対策を求め、区に緊急申し入れを行いました。
記録的猛暑が続く中、熱中症で亡くなった方は何人いたのか、エアコンの有無や使用の実態はどうだったのか、伺います。また、続いている物価高騰に対して、生活困窮者への電気・ガス料金の負担軽減を行うべきです、伺います。
今年も区は「ぶんきょう涼み処」を開設しましたが、「家から15分歩いて涼み処に行ったら、時間制限が15分とあり、涼む間もなく15分かけて自宅に戻り、かえって疲れた」「あるスポーツ施設では、ベンチや椅子に“プログラム利用者専用”“こちらは休憩用ではありません”という多数の表示があり、涼むどころか座るところもなかった」という声が聞かれました。熱中症対策というのならば、時間制限をなくし、必要な人がいつでも利用できるようにするべきです、伺います。
「介護保険制度」について伺います。
現在、国において検討されている「利用者負担を2割に」「要介護1、2の訪問介護やデイサービスを介護保険から外すこと」「ケアプラン作成の有料化」はやめるべきです、伺います。
生活に困窮する高齢者への負担増は、利用控えにつながり、重症化リスクを高めるだけです。高齢者や障がい者が安心できる介護制度にするため、制度の改悪をストップするよう国に申し入れるべきです、伺います。
(区長答弁)
次に、熱中症対策に関するご質問にお答えします。
まず、熱中症で亡くなられた方についてのお尋ねですが、都監察医務院に確認したところ、23区内において、本年6月から8月中旬までに、熱中症で亡くなられた方は196人、このうち、エアコンの設置状況は、把握できた範囲で、設置有りが130件、設置無しが45件となっております。
また、エアコンが設置されていても使用していなかった方は、115人となっております。
次に、生活困窮者への電気・ガス料金の負担軽減についてのお尋ねですが、本区では、国による一定の基準により、生活に困窮する住民税非課税世帯及び家計急変世帯に対し、臨時特別給付金や住居確保給付金等、目的に応じた様々な給付金事業を実施しております。
ご提案の事業について、現時点では実施する予定はございませんが、今後とも、国や都の動向を注視し、必要な施策を展開してまいります。
次に、ぶんきょう涼み処についてのお尋ねですが、本年度も、区内に38か所の「ぶんきょう涼み処」を開設し、暑さを避けて涼しく過ごせる場を提供しているところです。
開設当初は、時期が感染拡大期に重なっていたため、感染防止の観点から、滞在時間の制限を設けておりましたが、現在は、制限を設けず、必要な方にいつでも利用いただける状況になっております。今後とも、各施設の利用状況を踏まえ、適切に運用してまいります。
次に、介護保険制度についてのご質問にお答えします。
令和5年度に作成が予定されている、第9期介護保険事業計画について、国の社会保障審議会において議論が行われていることから、国に意見を申し上げる考えはございませんが、引き続き、その動向を注視してまいります。
障害者のコミュニケーション手段を保障し、尊厳を守るために
(小林れい子区議)
手話言語条例の速やかな制定を求め、伺います。
昨年2月の本会議で、わが党区議団の制定求める質問に、区長は「今後、当事者を含む関係団体と協議」を行うと答弁されました。この1年半で「手話は言語である」との認識は十分共有できていると思いますが、協議の到達と区長の認識を伺います。
人は、様々な人と出会い、言葉を交わし、その人らしい人生を送る権利を持つ一方、多くの障害者がコミュニケーション手段の選択の機会を奪われてきました。中でも、ろう者はろう教育の中で口話法が長年行われ、手話の使用が事実上禁止に、ろう者の尊厳が深く傷つけられてきたという歴史があります。
手話言語条例は、この歴史的背景を踏まえ、手話が言語であると宣言し、手話の普及と手話に係る権利を宣言して、共生社会の実現を示すものですが、これらを含む、手話言語条例の制定を急ぐべきです、伺います。
昨年7月に開催された「区政を話し合う集い」では、区聴覚障害者協会から、教育・災害・医療について、切実な要望が寄せられています。
都議会では今年6月に、これら3つの分野に係る願いを反映させ、全会派一致で東京都手話言語条例を制定しました。これは、文京区の聴覚障害者当事者の要望と重なるものだと言えますが、この到達を区長はどう受け止めているのか。
また、都の条例の水準に基づいて、文京区でも、教育・災害・医療に関する当事者の願いを条例上具体化すべきであり、あわせて伺います。
そして、これらの情報保障を行うには、財政措置が必要で、都条例のように文京区でも財政措置の条文を含むよう求め、伺います。
手話言語条例とともに、手話を含む、多様な意思疎通手段による情報保障や、手話通訳者の身分保障など、意思疎通の環境整備の取り組みをすすめる根拠として「意思疎通支援条例」の検討を始めることが必要です。
手話言語条例と意思疎通条例の双方が相まって、聴覚障害者もその他の障害者も、地域住民とともに暮らしやすい共生社会の実現が図れるのではないかと考えますが、区長の認識を伺います。
(区長答弁)
次に、手話言語条例についてのご質問にお答えします。
手話は、障害者の権利に関する条約等において、言語として位置づけられ、区としても、条例制定の必要性は認識しており、本年5月から関係団体と意見交換の場を設け、検討を進めているところです。
また、障害者の意思疎通促進に関する条例についても、手話言語条例とあわせて検討することで、障害の有無にかかわらず全ての人が安心して生活できる地域社会の実現に資するものと考えております。引き続き、都条例や他自治体の条例も参考に、関係団体との協議を重ね、制定に向けた検討を進めてまいります。
英語スピーキングテストの都立高入試への導入をやめよ
(小林れい子区議)
中学生英語スピーキングテストが都立高入試に導入され、対象となる全・区立中学3年生の申込登録が、7月7日から9月6日まで行われました。しかし依然として、入試への導入に対し、生徒、保護者の困惑が広がっています。
先月、「子どもと教育を守る三多摩の会」の学習会で、英語科教員が、昨年度試験的に実施された英語スピーキングテストの問題を示し、参加者が回答に挑戦しました。講演した教員は、「英語以前に、問題の趣旨の読み取りが難しく、聞き返すこともできない。これで本当に英語力・コミュニケーション力が測れるのか」と話していました。例えば、4コマの絵を見て英語で説明する試験に解答した生徒は、なんと半数のみでした。昨年度、試験的に行った結果を見ても、「ほとんど話せていない」が、約7割を占めたということです。
区教育委員会は6月、英語スピーキングテストの都立高入試導入への不安や疑問に対し、都教育委員会の担当管理職が各区をまわり、正確で丁寧な説明を行うと説明していました。区から、生徒、保護者への説明はどのような形で行われたのか。保護者会の議題の一つとして、公開授業の後などに説明されているようですが、質問時間もないケースが見られます。
学校からの説明文書には、ESAT−Jの「QRコードを見てください」とのみ記されているものもあるそうです。十分な説明ができているとは、とても思えませんが認識を伺います。そもそも受験する中学生への説明は十分なのか、生徒や保護者から出されている心配の声や意見をどのように把握し、都教委に伝えているのか、併せて伺います。
採点者の質が明らかでなく、公平で公正な採点ができるのか、時間差で同一試験を行うため問題漏洩の危険がある、またこれまでも指摘してきた不受験者に平均点を加点する対応など、入試制度として破綻しています。すぐに、都教委に都立高入試への導入をやめるよう強く要求すべきです、伺います。
(教育長答弁)
教育に関するご質問にお答えします。
はじめに、英語スピーキングテストについてのご質問にお答えします。
まず、生徒・保護者への説明についてのお尋ねですが、都教育委員会が作成したQ&A等を含むリーフレットを各中学校から生徒・保護者に配付するとともに、進路説明会において、当該リーフレットを用いて、点数化の方法や調査書への反映方法などについて丁寧に説明しております。
また、テストの申し込みに当たっては、疑問点に対する回答なども記載されている申し込みマニュアルを活用し、各学校で、申し込みのサポートを行っております。
次に、心配の声等への対応についてですが、学校を通して生徒・保護者のテストに関する心配の声や意見を把握しており、そのような声があった場合には、都教育委員会に問い合わせを行い、回答をお伝えすることで解消に努めてまいります。
なお、都立高等学校における入学選抜の実施主体は都教育委員会であり、スピーキングテストの実施について中止を求める考えはございません。
特別教室の改修と改築予定校の快適化改修工事を急げ
(小林れい子区議)
特別教室の改修計画について伺います。
国の学級編成基準の改定による教室増室改修を優先したという理由で、今年度は、予定した特別教室の改修が、根津小学校の音楽室のみとなりました。
6月議会の審議のなかで明らかになった九中、十中の特別教室改修の計画について、具体的段取りを伺います。
九中の美術室の水回り、十中はこの間、音楽室からの音が近隣に漏れ、苦情も出されており、防音・空調対策が急がれています、伺います。
昨年度もPTAから教育委員会への要望書の中には、コロナ対策などとともに学校施設の改修要望が、数多く寄せられています。
小学校からは、プールろ過器や図工室の陶芸窯の更新、家庭科室・理科室の机の更新や、複数校で雨漏りの改修の要望が、また中学校からは音楽室の暖房、生徒会室と更衣室の空調の設置や体育館照明のLED化と要望は絶えません。中には「今年こそお願いします」と訴えるPTAもあります。
区が2020年度に調査し、「大きな劣化あり」「破損・汚損」である「劣化度3,4」が一つでもあった特別教室・準備室202教室のうち、改修が済んだ教室数を伺います。
切実な要望として出されている、以上のような改修や更新は早急に対応しながら、教室増室改修と並行しながら、特別教室の今後の改修予定、計画を示してください、あわせて伺います。
改築中の柳町小、改築予定校の小日向台町小、千駄木小の施設改修は、今回の特別教室調査から外されています。改築完成まで10年近くかかることを考えれば、現状のままで我慢を強いることは大問題です。
これらの学校からは、ある一つの教室で数か所の雨漏りがあり、バケツを複数配置して、雨漏りを避けながら授業をしている、天井に備え付けの扇風機が落下した―、こんな事態まで起きていると聞きました。
今までは快適化改修の対象外でしたが、普通教室と特別教室改修をすぐに行うべきです、伺います。
文京区・学校安全衛生委員会は2017年に設置され、学校の教職員の健康の保持増進、健康障害の防止対策等のため、健康診断や長時間労働、公務災害等、年4回、教育委員会と産業医、教職員の代表などで、会議をもってきました。長引くコロナ禍、長時間労働が蔓延する中で、その役割はさらに拡充すべきです。
しかし、教育委員会は昨年度で、教職員当事者や議会にも報告がないまま、いわば一方的にこの委員会を廃止したことは大問題です。なぜ、昨年度で廃止したのか、伺います。
区は、50人を超える教職員がいる学校・園には、職場ごとに安全委員会を設置するとのことですが、それが可能なのは何校・何園か。そのすべてで安全委員会が設置され、機能しているのか。職員が50人を超えない校・園では、これまで学校安全衛生委員会で取り上げてきた要望などは、どういう形で反映されるのか、あわせて伺います。
この間、学校安全衛生委員会からは、超過勤務が月100時間を超えた教職員が、40人を超えた月があったことも報告されています。直近の超過勤務の状況を伺います。
こうした状況を改善し、とりわけコロナ禍で、休みも取れない教員が健全に子どもたちに向き合える環境をつくるために、職場単位とともに全体を統括する学校安全衛生委員会の再設置を求めます。教育委員会の見解を求めます。
(教育長答弁)
次に、特別教室等の改修についてのお尋ねですが、基礎調査を行った特別教室等の改修については、対応の必要性が高い箇所から、順次、複数の教室を同時並行で行っております。そのため、完了した教室は現時点ではございません。
スピード感をもった特別教室の改修計画については、毎年度更新する戦略シートの事業計画及び年度別事業計画書において、お示ししてまいります。なお、九中の美術室の部分補修は、すでに完了しておりますが、十中の音楽室の防音強化など、大きな工事を伴うものは、教室全体の改修時に行ってまいります。
また、改築中の柳町小学校や、改築予定の小日向台町小学校及び千駄木小学校についても、修繕等が必要な箇所については、教育活動に支障が生じないよう、必要な部分改修を行っております。
最後に、学校安全衛生委員会についてのお尋ねですが、労働安全衛生法の規定では、常時使用する労働者が50人以上の事業場(じぎょうじょう)については、事業場(じぎょうじょう)ごとに「衛生委員会」の設置が義務付けられております。
昨年度までは、法令で定める規模の学校がなかったため、教育委員会事務局に「学校安全衛生委員会」を任意設置し、学校職員の労働安全等について調査・審議してきました。
しかし、近年の職員数の増加に伴い、50人以上の規模の学校が増えたため、小学校12校、中学校1校の計13校に設置し、各校それぞれで、職員の心と身体の健康について審議する場として、有効に活用しております。
50人を超えない学校については、労働安全衛生法により衛生推進者の設置が義務付けられており、これまでどおり、各学校の衛生推進者が中心となり、施設・設備等の環境の点検や職員の健康保持の増進等に努めております。
また、超過勤務が月100時間を超えた教職員数については、直近3か月の状況で、5月が12人、6月が27人、7月が7人となっています。これらの長時間労働者に対しては、医師の面接指導を受けるよう勧奨を行っております。
教育委員会事務局に「学校安全衛生委員会」を再設置する考えはございませんが、これまでにあげられた意見等については、引き続き確認・検討してまいります。
文京区の保育予算は全額文京区の子どものために
(小林れい子区議)
子どもの豊かな発達保障を求め、保育の質に関わって伺います。
区内で5園を開設するグローバルキッズ社が、「保育士の名前貸し」による保育士の水増しで、運営費を不正受給していたことが分かりました。
グローバル社は6自治体へ、保育委託費の返還を行い、売上が2,200万円減ったと公表しました。これとは別に、区の認可園でも、グローバル社は同じ方法で2019年4月に不正受給を行っていたことが、6月の子ども子育て委員会で明らかになりました。
区は、不正受給について「不適切」と言うものの、約2年経った2021年3月に、グローバル社が自ら申し出て約50万円を返還したので「不正でない」としていますが、とんでもありません。
本来なら「不適切」な請求がわかった時点で、区民と議会に公表すべきではなかったのか。また、グローバル社が申し出る以前に、実地検査で「不適切」な請求を指摘できなかったのはなぜか、あわせて伺います。
グローバル社が区内に開設する保育園では、2020年度までの5年間だけでも2億7千万円を「弾力運用」しています。
「弾力運用」とは、文京区が保育園に払ったお金が、文京の子どもには使われず、保育会社が余らせ、貯め込んで、他の自治体での保育園建設や運営に使ったり、高齢者介護や学童保育など、保育以外の事業にさえ使うことを認めるもので、2000年に株式会社が保育へ参入することを解禁する際に国が始めたものです。
保育委託費の弾力運用は、保育の質に関わる大問題であり、人件費を削り、余らせ、貯め込んで、保育の質低下を招いているのではないか、との疑念は尽きません。グローバル社が、弾力運用する原資を増やすために、「不適切」な不正受給を行ったのではないかとの推測を否定する材料を、区は持っているのか否か、伺います。
弾力運用は、情報公開により2015年度から2020年度までの6年間で総額・約15億円でしたが、2021年度に弾力運用した保育園の数と総額をお示し下さい。また、各事業者提出の財務諸表に基づく人件費率について、弾力運用する園としない園の数と平均、並びに最高値と最低値を園名とともにそれぞれ伺います。
昨年度、弾力運用した金額の最高はベネッセ千石保育園の4,436万円で、この内1,631万円は本郷の都型学童に、832万円は内神田の都型学童の運営費にあてる協議の最中と分かりました。
文京区では、40人定員の都型学童に年1,800万円の補助金を払い、児童1人あたり利用料を月3万円徴収するのに、なぜベネッセ千石保育園から2,434万円もの公金を投じる必要があるのか、2つの都型学童はいつまでにこの資金を必要としているのか、ベネッセに質し、あわせてお答えください。
弾力運用額の第2位は、ベネッセかごまち保育園の4,258万円でした。このうち133万円は、ベネッセが多摩市に開設する訪問介護事業所に、またベネッセが三鷹市から受託する市立大沢台保育園に1,004万円、市立東台保育園に617万円、調布市から受託する市立ひまわり保育園に653万円を、それぞれ全て運営費としてあてると協議しています。
しかし、介護施設は保険収入があり、三鷹や調布の公設民営の保育所の運営費は、自治体が必要な経費を全額支出しているはずです。区として、これらの公金を多摩の介護事業所や3つの市立保育園の一体何の運営経費に使おうと言うのか区長、ベネッセと3つの市に聞いて確かめ、答えて下さい。
「弾力運用」は、「適切な施設運営が確保されていることを前提に認められる」と区長は繰り返し答弁されますが、この議会で決めた予算が他自治体で保育とは異なる事業に使われるのを、黙って唯々諾々と許すのですか、弾力運用には矛盾があるとの認識はありませんか、伺います。
国は、保育会社が委託費を使わず、余らせ、貯め込んで、保育以外の事業にすら使える「弾力運用」を続けるのに加え、保育の質を検査する実地検査の法的根拠をなくそうとしましたが、子どもの豊かな成長を求めて反対する多くの声を受け断念しました。
ところが今度は、政令に「天災その他やむを得ない」とか「前年結果から見て実地検査実施が困難」など、どのような解釈もしうる抽象的な文言で、例外規定を作ろうとしています。これは、検査未実施の実態を容認し、緩和するものですが、区長はどう考えるのですか、伺います。私は、子どもの安全と成長を保障する立場から、区独自にでも、全園で毎年実施すべきと考えますが、伺います。あわせて2か年度で、実地検査を行った園数と実施率を伺います。
(区長答弁)
次に、保育の質に関するご質問にお答えします。
まず、委託費の返還等についてのお尋ねですが、事業者から申出があった時点では、誤りが判明したことによる返還であったため、公表する案件とは捉えておりませんでした。
勤務実態の確認については、これまでも、指導検査において、雇用契約書や労働者名簿と職員名簿の照らし合わせ等を行っておりましたが、今回の件を受け、同様の事案が生じないよう、本年度は、タイムカードの詳細確認や、職員紹介として園に掲示されている職員と名簿に掲載されている職員との照らし合わせを行っております。
また、巡回指導時においても、職員の勤務実態の確認を行うなど、複数の対策を講じ、職員の勤務体制の確認を徹底しております。なお、委託費の積立てについては、各運営法人において、それぞれの事情により行われており、弾力運用を想定しているかについては、区として把握しておりません。
次に、昨年度の弾力運用の実績についてのお尋ねですが、区を通じて都に協議書を提出する対象の私立認可保育所62園のうち、昨年度に弾力運用を行ったのは43園、総額は約8億4千万円であり、弾力運用を行わなかったのは19園となります。
また、財務情報公表様式によると、弾力運用をしている園の人件費率の平均は53%、最高値はグローバルキッズ後楽二丁目園で66%、最低値はアイアイナーサリー新大塚で37%となっております。弾力運用をしていない園の人件費率の平均は49%、最高値はキッズハーモニー・白山で78%、最低値はキッズラボ千石園で33%となっております。
次に、ベネッセ千石保育園及びベネッセかごまち保育園の弾力運用についてのお尋ねですが、両園の弾力運用については、現在、事業者と都が協議中であり、協議内容の可否については、都において適切に判断されるものと認識しておりますので、区として確認する予定はありません。
次に、弾力運用に対する認識についてのお尋ねですが、弾力運用は、国の通知に基づき、様々な要件を満たした上で実施できるものであり、区として意見を申し上げる考えはございません。
次に、指導検査の実施方法等についてのお尋ねですが、国において、指導検査の実施方法について検討がされていることは承知しており、国の動向を注視してまいります。なお、本年度、区では、感染症の感染状況を見極めつつ、全ての私立認可保育所等に対する指導検査を行うこととしております。
過去2年の指導検査の実施状況については、令和2年度は16施設で実施し、実施率は19%、昨年度は34施設で実施し、実施率は37%となっております。
障害児・放課後等デイサービス不足と質の担保の問題について
(小林れい子区議)
「放課後等デイサービス」を増やすことを求め、伺います。
障害のあるお子さんを育てる保護者の方々から、「放課後デイに入りたくても入れない。近隣他区でも見つからず、30人以上の待機児がいると言われたこともあるが、通常はキャンセル待ちに登録できるシステムもない」、「障害の種類や子どもの特性に合わせて事業所を選びたいが、選べる余地もなく、嫌なら他へ行ってくださいと言われる」など、多くの切実な声が寄せられています。
現在、区内の放課後デイは10施設ありますが、利用したい児童数、利用できない児童数はそれぞれ何人か、利用できない児童は今どういう状況にあるのか、伺います。
区では、障害児通所支援利用者が増えていることから、希望する障害児が相談支援を受けられる体制を目指し、相談支援事業所を拡充するなどしていますが、サービスの利用計画が作成されても、利用できる施設がなければ意味がありません。
区内に放課後デイが増えない理由を伺います。放課後デイを民間まかせにせず、区の責任で増やすこと、区直営の放課後デイも増やすべきではないのか、あわせて伺います。
また、2017、18年に、給付費の不正請求等による行政処分を受けるなどした4社・5事業所の放課後デイ等が、その後撤退したことは大きな問題です。この問題をどう検証し、再発防止および放課後デイの質の担保をどう具体的に行っているのか、伺います。
事業所は、「文京区には設置条件に合う物件が見つからない。家賃が高い」「報酬が低く、専門職員が定着しない、確保することも難しい」と言います。
また、令和3年の基本報酬の改定による減収、職員配置に関する加算の変更による減収も痛手になっていると言います。国や都に、報酬や加算の引き上げや減収補填を求めるとともに、区としても独自に補助を行うべきです、伺います。
(区長答弁)
次に、放課後等デイサービスに関するご質問にお答えします。
まず、利用状況についてのお尋ねですが、支給決定人数は、昨年度末で415人となります。
なお、サービスの支給決定後は、利用者と事業者との契約によりサービスを開始するため、区は個々の状況について把握しておりませんが、サービス支給決定の人数は増加しており、区外の事業所に通う児童もいることから、一定の需要はあると認識しております。
次に、事業所の整備促進についてのお尋ねですが、整備にあたっては、家賃の負担や、適当な物件の確保が課題であると認識しております。
区直営の施設を新たに開設する考えはございませんが、民間事業者による整備を促進するために、今後も、きめ細かな相談対応や、施設整備費等の補助制度の周知を図ってまいります。
次に、過去の不正請求等の再発防止及び質の担保についてのお尋ねですが、指導検査は、事業者指定を行う都が主体的に実施しておりますが、これまでも都の検査への立ち会い等によりノウハウの蓄積に努め、区による実地検査を実施してまいりました。今後も、実地検査を計画的に実施するとともに、年間を通じて、事業者からの給付費請求書類が適正であるか点検を行い、事業所運営や利用者支援が適切に行われるよう指導してまいります。
次に、報酬についてのお尋ねですが、福祉人材の確保や育成及び処遇改善のための財源の確保については、区長会を通じて国に要望しており、区として独自の補助を行う考えはございません。
女性相談から浮かび上がる女性の困難をどう支えていくか
(小林れい子区議)
最後に、女性相談から浮かび上がる女性の困難をどう支援していくか、伺います。
新型コロナウイルス感染症が流行した影響により、2020年3月から今年6月にかけて、国内で増加した自殺者は約8,000人にのぼるとの試算を東京大などのチームがまとめました。
最多は20代女性で19歳以下の女性も比較的多く、仲田泰祐・東大・准教授は、「男性より非正規雇用が多い女性は経済的影響を受けやすく、若者の方が行動制限などで孤独に追い込まれている可能性がある」としています。
この夏、ある子ども食堂には、「国からの給付や社協の貸付などもすべて使ってしまった。コロナに感染して非正規の仕事も解雇され、子どもたちをどうやって食べさせていったらいいのか」という、シングルマザーの方からの相談がありました。
国からの給付金や、区の住居確保給付金、社協の貸付等をすべて利用してしまった後の若い女性の生活困窮を、区はどのように支援しているのか伺います。
「にんしんSOS東京」や豊島区の若年女性つながりサポート事業「ぴこカフェ」等を運営するピッコラーレによると、「コロナ禍においては、生活困窮の課題を抱えた方たちからの相談が増加し、生活保護の申請・居場所の確保のための女性相談などへの同行を必要とする人が増えた」とのことです。
区では、婦人相談員による対応が行われていますが、コロナ禍の中で相談数および相談内容がどのように変化しているのか、伺います。
また、区では「女性による女性のための相談会」も行っていますが、その事業から見えてきた女性たちの困難の実態に対して、今後、区としてどのように支えていくのか、伺います。
困難を抱える女性への支援法が成立し、ハイリスクの若い女性たちへの支援の強化も自治体の責務となりました。困窮する女性が増え、より深刻化する相談内容に対応する婦人相談員の増員と、正規雇用化および報酬の引き上げも行うべきです、伺います。
(区長答弁)
最後に、困難な問題を抱える女性への支援に関するご質問にお答えします。
まず、生活困窮女性への支援についてのお尋ねですが、若年女性を含め、生活困窮者自立支援制度に基づき、相談者のニーズに応じ、適切な支援を行っております。引き続き、早期の自立に向けて、相談者に寄り添った支援を行ってまいります。
次に、婦人相談についてのお尋ねですが、婦人相談の相談延べ件数については、令和元年度7,821件に対し、コロナ禍である2年度は11,149件、昨年度は9,553件と推移しており、その内容については、離婚問題、DV等の暴力被害に関することが多くを占めております。
これまでも、被害者に寄り添った迅速で適切な相談支援を行ってまいりましたが、複雑化、多様化したDVや貧困などの女性の困難な課題に対して、関係機関との連携・協働により、女性の自立に向けた、切れ目のない相談支援体制の構築を検討してまいります。なお、婦人相談の体制強化として、2年度に相談員を1人増員し、昨年度は報酬の引き上げを行ったところです。
現在、適切に相談支援を行っており、現時点では、相談員の増員や報酬の引き上げ、正規職員としての配置は考えておりません。
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