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日本共産党文京区議会議員団は、区民のための区政を目指します

〒112-0003 東京都文京区春日1-16-21 文京区議会内

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議会報告Congress report

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2020年文京区議会9月定例議会
代表質問 いたくら美千代区議    2020年9月7日

コロナウィルス感染症対策の抜本的拡充を
感染対策の土台となる感染情報を区民に開示を
駒込病院等、都立・公社病院の独立行政法人化撤回を都に求めよ
区民の命とくらしを守ることを根幹に区政運営すべき
2019年度決算について
耐震改修助成は防火地域も対象にし、補助額も拡充を
避難所の「密」対策と在宅避難者への支援策について
神田川氾濫時、地域に特化した避難行動計画作成を
区の決意として気候非常事態宣言を
コロナの影響により、浮き彫りになったジェンダー格差について



コロナウィルス感染症対策の抜本的拡充を
(いたくら美千代区議)
 質問に入る前に、安倍首相が持病の悪化を理由に辞意を表明しましたが、7年8か月の政治は、憲法破壊、消費税増税、政治の私物化、コロナ対策での迷走など、自公政権の行き詰まりの結果です。しかも総裁選に名乗りを上げている3人は、安倍路線継承の大合唱、まさに二重の行き詰まりです。日本共産党は、今こそ、市民のみなさんと野党の共闘で安倍政治に代わる希望ある新しい政治をつくることを呼びかけます。

 それでは質問に入ります。新型コロナ対策の抜本的な拡充を求め伺います。
 新型コロナウイルスの猛威が世界を襲い、日本でも感染者が7万人を超え、きわめて憂慮すべき事態となっています。このままでは、医療の逼迫、医療崩壊という事態になりかねません。ところが安倍内閣は、感染防止に逆行する「GO TOトラベル」を強行しました。 
 東京都医師会の尾崎治夫会長は、新型コロナウイルス収束のためには、都内の感染状況を分析して感染震源地(エピセンター)を明確にし、そこに検査能力を集中的に投入して大規模で網羅的な検査を行ない、無症状者を含めた感染者を少しでも早く発見することが不可欠としています。
 検査を行う目的を、直ちに、診断目的だけでなく防疫目的に変えることが必要です。無症状者を含めて「感染力」のある人を把握・保護し、感染拡大を抑止することで、安心・安全の社会基盤をつくることができます。区長の認識を伺います。
 安倍首相が4月、PCR検査数1日2万件を目指すとしましたが、感染が急拡大した7月19日〜30日の12日間で1日あたりの検査数が2万件を超えたのはたった2日しかありません。ニーヨークの1日7万件とは大違いです。日本の人口比の検査人数は、8月17日現在、世界215の国と地域の中で151位という低さで、抜本的改善が図られません。
 文京区は、5か所の医療機関にPCR検査委託を行い、今月から区の公園にプレハブを建てPCRセンターを設置します。委託も含め、1週間で最低でも165件の検査を行うとしていますが、対象者を拡大するのにこの件数で足りるのでしょうか。伺います。
 また、5か所の検査委託費用、臨時のPCRセンターの体制と、検査数、予算について、さらに、新たに設置するPCRセンターの体制と、経費、また国庫補助金が出る1日2時間の検査時間延長の検討を求め、併せて伺います。
 東京都医師会は、PCR検査を受けられる医療機関を1,400か所、1万人に1か所まで増やす方針を表明、この基準に照らせば文京区はあと16か所が必要です。今後に備え、さらに増設すべきです。伺います。
 7月15日と8月7日の厚労省事務連絡では、有症者や「濃厚接触者」に制限していた行政検査の対象を「患者が複数発生」するなど感染の確率が高いことなどを条件に、組織、地域に属する全員を対象とする検査は自治体の判断でできるとしています。2回の厚労省事務連絡をどう受け止め、今後の検査体制に生かそうとしているのか、また、国に対して、この事務連絡に伴う充分な予算措置と、社会的検査まで広げていくよう求めていくべきです。伺います。
 この夏、私たちが行った介護関係や障害者関係等の方々との懇談で、一様に出されたのが、PCR検査を社会的検査まで広げてほしいということでした。「いつでも、だれでも、何度でも」という世田谷区では、医師や保健所で行っている感染の疑いや濃厚接触者のPCR検査を1日300件から600件に増やし、社会的検査として介護事業所で働く職員、保育園、幼稚園職員、特養ホーム入所予定者など合計で23,000人を対象にPCR検査を実施するとし、千代田区は区内介護施設等の職員全員を対象とするとしています。文京区も急いで社会的検査まで広げるよう求めるとともに、その財源は、国に求めていくべきです。伺います。
(区長答弁)
 最初に、新型コロナウイルス感染症対策に関するご質問にお答えします。
 まず、現在のPCR検査数についてのお尋ねですが、PCR検査センターは、現在5か所の医療機関に設置しております。複数の検査センターを設置することで、今後、感染が拡大し検査数が増加した場合にも、各検査センターにおいて分散して追加検査を行うなど、柔軟な対応を図ることができます。
 現在のところ検査体制は一定充足しており、検査は適切に行われております。
 次に、PCR検査の委託についてのお尋ねですが、5か所の医療機関に委託する検査数は、5,000件と見込んでおり、委託費は約2億円となります。
 また、臨時のPCR検査センターについては、検体採取を行う医師の派遣等を医師会に委託しております。7月中旬からの検査開始から、9月までに約400件の検査を見込み、委託費等関係経費は約1,000万円となります。なお、8月31日時点で、222件の検査を実施しております。
 次に、新たに設置するPCR検査センターの体制等についてのお尋ねですが、検査業務は、医師会に委託して実施いたします。経費は、委託費等検査関係経費として約4,000万円、プレハブ設置等工事関係経費として約3,000万円を予定しております。
 検査時間は医師会との協議の上、午後1時30分から午後2時30分までの1時間としておりますが、今後、感染が拡大し、更なる検査数の確保が必要となった場合は、検査日や時間の拡充を行うこととしております。
 また、帰国者・接触者外来としてPCR検査を実施している医療機関は、既に区内に34か所あります。
 次に、PCR検査対象の拡充についてのお尋ねですが、区では、新型コロナウイルス感染症の感染が疑われ、検査が必要であると医師が判断した方や濃厚接触者に対し、適切なPCR検査の実施体制を整備してまいりました。
 一方、感染症の収束が見通せず、市中感染が拡大する中、身近で感染が発生したにも関わらず、PCR検査の対象にならなかった方については、大きな不安を感じているものと認識しており、国の通知も同様の考え方によるものと捉えております。
 こうしたことを踏まえ、感染が発生した介護施設や保育園、学校等の利用者や職員等に対し、個々のケースに応じたPCR検査の実施を検討しております。
 また、感染した際に周囲に与える影響が大きい、福祉施設等の職員に対するPCR検査については、今後、施設の状況に応じた検査体制等を検討してまいります。なお、検査対象の拡充にあたっては、必要な財政支援等、国や都の動向を注視してまいります。


感染対策の土台となる感染情報を区民に開示を
(いたくら美千代区議)
 感染状況の情報開示は、多くの区民が望んでいます。ところが、都内では新規感染者数とともに、PCR検査数、陽性率を明らかにしているのは、7月28日現在で,新宿区、世田谷区など14区市だけです。感染状況の情報開示は、あらゆる感染対策の土台となるものです。文京区のこれまでのPCR検査数、感染者数、また、陽性率はどうか、併せてこれらのデータを常時開示するよう求め伺います。
 コロナ感染が影響した受診控えは、持病を悪化させるだけでなく医療機関の経営も直撃しています。ある医療機関では、4〜6月分の赤字が昨年1年分に匹敵するとのことです。
 経営悪化は、全国各地に及び、各医療団体は国に支援の抜本的拡充を再三要望しています。日本医師会の中川俊男会長は、7月の会見で「来年度の予算編成を待てる状況ではない」「受診控え、健診控えは容易に回復しないと見込まれる。地域医療の維持が危うくなっている」と警鐘を鳴らし、「地域医療の崩壊を何としても防がないといけません。PCR検査を抑制して感染拡大の封じ込めに失敗したうえ、抜本的支援も行わない国の責任は最後まで問われます。」としています。
 区は介護事業所や障害者事業所に基盤維持支援金を交付しましたが、練馬区は4か所の病院に6億7,000万円の支援金を出しています。わが区も医療施設にも支援金を交付するよう求め伺います。
(区長答弁)
 次に、区で実施したPCR検査数等についてのお尋ねですが、区が検査機関に直接検体を搬入するなど、確実に結果を把握している検査数は、8月31日時点で1,419件、そのうち陽性者数は144人、陽性率は10.15%です。
 現在、月別陽性者数等は、区ホームページで公開しておりますが、検査数等、他の情報については、可能な範囲で、開示していくことを検討しております。
 次に、医療施設に対する支援金についてのお尋ねですが、新型コロナウイルス感染症の拡大により、経営上の影響を受けている医療機関は、国の持続化給付金の対象になるほか、独立行政法人福祉医療機構による医療貸付や優遇融資の利用が可能となっております。その他に、都の「感染拡大防止等支援事業」や「感染症対応従事者慰労金交付事業」等の支援策があることから、区による支援金は考えておりません。


駒込病院等、都立・公社病院の独立行政法人化撤回を都に求めよ
(いたくら美千代区議)
 都立駒込病院の独立行政法人化の問題で伺います。
 都は、新型コロナ感染者が増え続けている中、感染症対策の最前線で頑張っている都立駒込病院など14の都立・公社病院を地方独立行政法人化しようとしています。独法化になれば経営効率が優先され、小児、救急、周産期医療など、民間では対応が難しい不採算の医療が切り捨てられることになり、都民の医療要求に応えられません。
 今年3月末までに、都民から1,511件の反対意見が寄せられ、私たちには区民の方から「都立病院を直営のまま守って」という手紙もいただきました。
 コロナ対応の最重要拠点病院になっている都立駒込病院や、区が準夜間の小児診療をお願いしている大塚病院等の独法化をやめるよう都に求めていくべきです。伺います。
 新型コロナ感染症は、戦後最大のパンデミックとなり終息の見通しが立たっていません。同時に災害級の酷暑で熱中症による死者が区内でも発生しています。
 このコロナ禍は、安倍政権が昨年10月、「景気は緩やかに回復している」と言って消費税率を10%に引き上げた下で発生しました。内閣府は8月、GDPが年率換算27.8%マイナスと発表し、増税前からの景気後退を認めました。国民の反対を無視した増税に加え、経済活動やレジャーを止めなければならないほどに感染症が広がり、暮らしや営業を直撃しています。政府は、くらしや働き方を「新しく」といいますが、売上げや賃金、年金が下がる一方で、区民の暮らしは大変です。ですから、区長は何よりも区民の命とくらしを守ることを根幹に据えて区政運営すべきです、認識を伺います。
 国は感染症対策を担う保健所について「感染症の時代は終わった」とし、1994年に保健所法を地域保健法に変え、全国に852か所あった保健所を2020年には469か所まで減らしました。文京区も国の方針に従い、1999年小石川と本郷保健所を統廃合しました。
 その結果、新型コロナ感染症に対応するためには保健師等の応援体制をとっても過重な業務となり、国が濃厚接触者や検査対象をめぐる基準を変えたことも相まって、現場の疲弊を生み出したのです。保健所統廃合の条例審議で、わが党区議団は反対理由に「20数人の保健所職員削減」をあげましたが、国策による保健所統廃合と人員削減こそが自治体の感染症への対応力を弱体化した原因だとの反省はあるのか、伺います。
 また、感染症への体制強化にむけ、旧本郷保健所の建物を活用し、新たに本郷保健所と衛生試験所を設置し2か所の保健所体制を再建するよう提起し伺います。
 6月の本会議で文京区の1年間の保健所費は区民1人当たり667円、23区でワースト2だと明らかになりましたが、なぜ低水準なのか、保健所費は衛生費の中で何に使われ、国や都の負担額はいくらか、それぞれ伺います。
(区長答弁)
 次に、都立病院の独立行政法人化についてのお尋ねですが、都立病院の独立行政法人化は、都が策定した「新たな病院運営改革ビジョン」に基づき実施されるものです。都立病院の運営形態のあり方については、都において十分に検討がされているものと認識しており、都に中止を求める考えはございません。
 次に、コロナ禍における区政運営についてのお尋ねですが、これまで区では、新型コロナウイルス感染症から区民の健康と暮らしを守るとともに、感染症の拡大により大きな影響を受けている、区民生活の回復や地域経済の復興を図るため、予算の流用や補正予算編成といった機動的な対応により、様々な感染症対策や経済対策に全力で取り組んでまいりました。
 今後も、感染症の状況等に応じた適切な施策を展開し、感染症対策と社会経済活動の両立を図ってまいります。
 次に、感染症に対する保健所の体制強化についてのお尋ねですが、このたびの新型コロナウイルス感染症対策にあたっては、全庁的な保健師の応援体制等により適切に対応してまいりました。
 現在、保健所では、今般の感染症対策のほか、地域住民の健康の保持増進や衛生等、様々な保健政策の課題に対して、迅速かつ正確に対応しているところです。また、区民に身近な保健サービスについては、本郷支所を含む2か所のサービスセンターにおいて、適切に提供できており、新たに保健所を設置する考えはございません。
 次に、保健所費についてのお尋ねですが、普通会計決算における保健所費には、保健所に係る人件費、施設の整備費及び運営費等を計上することとなっております。
 本区においては、本庁舎内に保健所を設置していることや、本庁舎外の保健所施設が1施設であることから、保健所費として計上する施設の整備及び運営等に要する経費が、他区と比較し少ないものと考えております。なお、保健所費の財源は、諸収入と一般財源で構成されており、国や都の負担はありません。


区民の命とくらしを守ることを根幹に区政運営すべき
(いたくら美千代区議)
 自治体の行政サービス提供体制についても転換が必要です。
 政府はコロナ禍を「地方行政のデジタル化」のチャンスととらえ、手続き業務の無人化で「職員が介在しなくても完結するサービス」を目指すといいますが、とんでもありません。窓口の職員は手続き業務を通じ、住民が抱える問題を見つけ支援策につなげる役割を持っています。積極的に支援の手を差し伸べる、福祉の心を持った職員の育成と体制の拡充こそ必要であり、1980年代の臨調・行革路線で自治体の職員削減を進めてきた路線の転換こそすべきです、伺います。
 また、区役所本庁の「密」を回避するには、かつて9つの出張所が、戸籍の転入・転出手続きや国保等の相談と手続きの機能を持っていたように、分散型の体制を再建することが必要です。総額200億円かけるシビック庁舎改修は可能な限り先延ばし、行政サービスをシビックセンターに集中させる体制の転換を検討すべきです、伺います。
 これらの転換を図るには、区長が今年度の予算編成でも掲げた「選択と集中」の掛け声に代表される、新自由主義による公的責任の投げ捨て路線から、社会保障・福祉に手厚い国と地方自治実現の路線への転換、外需依存でなく内需・家計を経済政策の軸に据え、人間の命にとって必要なものは自分の国と地域でつくるという経済への転換が必要です、見解を伺います。
 2015年6月議会で「35人学級の実現」を求める請願が採択されましたが、この実現に力を尽くしていたら、教室の「密」を緩和でき、また「寿会館廃止やめよ」の声に従っていれば、高齢者の涼みどころがお風呂付で確保できていたに違いありません。区民の声こそ区の施策の柱にすべきです。文の京総合戦略や地方創生戦略でも感染症パンデミックを想定していなかった反省をもとに、以上、要求してきた区政転換を総合計画に明記し、コロナ第2波と言われる今こそ、第3波に備え、施策を緊急点検し総合計画に公衆衛生の向上・増進の責任は国にあると規定する憲法25条と、地方自治法の住民福祉の増進の役割を改めて明記して、抜本的に見直しすることを提起し伺います。
 新型コロナ感染者の約5割は東京圏に集中しています。これも国が巨額の税金投入で都市再開発と称する高層ビル建設に邁進し、東京圏への一極集中を誘導して、人口や企業が集中し感染症含む、あらゆる自然災害に弱い構造をつくってきた結果です。自粛対策をとれば経済、社会、教育、文化への被害が極端に大きくなり、経済恐慌が東京から起きかねない事態です。
 区長は春日・後楽園駅前再開発への補助金が従来65億円でしたが、2016年1月8日、持ち回り庁議で100億円も増額する決定をしたように、まちづくりの国策を推進してきた経過があるのですから、今度は、東京医師会の尾崎治夫会長の「都内に1400か所の検査センターを」との訴えに応え、財政調整基金の活用も含め感染症対策への財政投入の抜本増の決断をすべきです、伺います。
(区長答弁)
 次に、自治体行政サービスの提供に関するご質問にお答えします。
 まず、職員の育成と体制についてのお尋ねですが、職員の育成については、常に区民に寄り添い、区民の視点で考えるという意識に基づいて取り組んでいるところであり、今後も更なるサービス向上に向け、職員育成に努めてまいります。
 また、人員の配置については、これまでも事務量等を十分に精査した上で、適切に配置するよう努めており、今後も適切に人員配置を行ってまいります。
 次に、行政サービスの提供体制についてのお尋ねですが、これまで区では、行財政改革の取り組みとして、社会状況の変化を踏まえ、事務事業の見直しや行政サービスの効率化等を進めてまいりました。限られた財源の中で、窓口のワンストップ化など行政機能を集約し、より効果的な行政サービスの提供体制を構築してきたことから、サービスの提供体制を転換する考えはございません。
 また、自治体と国は、それぞれの立場から住民の生命や財産を守る役割を担っているものと認識しております。区政運営を担っていく上で、経済政策をはじめとする国や都の動向を注視し、様々な行政課題に適切に対処していくことは言うまでもありません。
 今後とも、新型コロナウイルス感染症の拡大防止と社会経済活動の両立を図るため、時勢を捉えた行政サービスの提供に努めてまいります。
 次に、「文の京」総合戦略についてのお尋ねですが、総合戦略においては、毎年度の行政評価により絶えず検証を加えることで、計画期間中であっても、より効果的・効率的な手段に組み替えながら、戦略的な事業展開を図っていくこととしております。
 このたびの新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、総合戦略に示した各施策にも幅広く影響を与えており、戦略点検シートを用いた進行管理において、その状況も踏まえた今後の展開を示しております。
 感染症対策については、これまでも感染拡大の状況に応じて、補正予算等で機動的に対応してきましたが、今後も中長期的な視点で対策に取り組む必要があることから、総合戦略の新たな主要課題に加えてまいります。なお、区政運営においては、時代の変化に伴い、絶えず行財政運営の見直しを行うことにより、限られた経営資源のもとで、行政サービスを効果的に実施してきたものと認識しております。
 次に、感染症対策への財政投入についてのお尋ねですが、これまでも、喫緊の課題解決のために必要な事業の予算化を図っており、今般の新型コロナウイルス感染症への対応としても、5月補正予算及び9月補正予算により、感染症対策等の事業経費の予算を適切に編成してきたところです。
 今後も、感染症から区民生活をしっかりと守るため、必要かつ有効と考えられる事業には優先して予算を配分し、財源に不足が生じる場合は、躊躇なく基金を活用してまいります。


2019年度決算について
(いたくら美千代区議)
 2019年度決算について伺います。
 1年間の財政運営の結果、実質収支56億円は史上最高額で、実質収支比率もバブル前後の水準です。莫大な剰余金はなぜ生まれたのか、認識を伺います。
 自治体の財政は福祉増進のため、喫緊の課題、社会的・経済的弱者のために活用すべきです。一例ですが、居住支援協議会では委員から「生活保護世帯は単身だと家賃が53700円で住むのが大変」「障害者も高齢者と同じように、住まいについて問題を抱えている」「退院後、区内では物件が見つからず…埼玉県や多摩地区を探し文京区に戻ってこられない」など厳しい現実が次々と発言されています。そうした認識を持っているなら、具体的に打開策を考え実行するのが自治体の役割ではありませんか、伺います。
 そして、未だ有効な施策を打っていないからこそ、史上最大の剰余金を生んだのではありませんか、伺います。
 わが党は、居住福祉の向上にむけ、まず生活保護の住宅扶助について増額を国に求めるとともに、高齢者・障害者・若者・ひとり親への家賃補助とシルバーピア拡充を行い、東京都へは都営住宅増設と区移管を求めるよう提起し、それぞれ伺います。また、その財源となるべき2019年度末の基金残高の総額を伺います。
(区長答弁)
 次に、昨年度の決算に関するご質問にお答えします。
 まず、決算剰余金等についてのお尋ねですが、元年度2月補正予算において、各事業の執行状況に応じた減額補正を行うとともに、一般財源の増収を見込み、基金の取り崩しを抑制するなど、財源の有効活用を図ったところです。しかしながら、歳出予算の執行残のほか、特別区民税や特別区財政調整交付金等の一般財源が、想定を上回る増収となったことから、予算現額との間に乖離が生じたものと認識しております。
 また、元年度末の基金残高の総額は、約636億円で、そのうち学校施設建設等の特定目的基金が約433億円となっております。
 なお、居住支援も含め、行政課題の解決のため、これまでも当初予算編成において、重点施策をはじめ、必要な事業を予算化するとともに、補正予算においても、緊急性のある事業等の予算化を図ってきたところです。
 次に、居住に関する福祉の向上についてのお尋ねですが、区では、すまいる住宅登録事業により、高齢者等の入居機会の確保を図るとともに、入居希望者が登録住宅以外に入居された場合でも、あっせん謝礼を支払うなど、高齢者の住宅確保に努めているところです。
 また、高齢者、障害者、ひとり親世帯が立退き等で転居する際に、転居前後の家賃の差額等を助成し、高齢者等が住み慣れた地域の中で安心して居住できるよう支援しております。
 今後も、高齢者等の居住安定を図るために、「文京すまいるプロジェクト」を推進してまいりますので、現時点で、家賃補助の実施やシルバーピアの拡充は考えておりません。
 都営住宅の区への移管については、協議の整ったものから進めていくことになっておりますが、移管の条件が整わず、都区協議は進んでいない状況にあります。また、都営住宅の増設については、都において検討されるべきものと考えております。なお、生活保護の住宅扶助については、一般低所得者の家賃実態等を考慮しながら国が定めるものであることから、国に増額を求める考えはございません。


耐震改修助成は防火地域も対象にし、補助額も拡充を
(いたくら美千代区議)
 災害対策について伺います。
 区は、災害時の避難は原則在宅でとしていますが、在宅避難のためには建物の耐震化が要です。2008年度に策定した耐震改修促進計画は来年3月で終了予定です。計画では、旧耐震の一般住宅の耐震化率を2015年は90%、さらに2020年度は95%を目指して進められてきましたが、現時点の耐震化率と検証の内容についてお答えください。さらなる改定に向けた調査を行っているとのことですが、今までの延長では進まないことは明らかで、23区で唯一行っていない防火地域も対象にし、さらに財政支援を強化すべきです。今後の取り組みについて伺います。
 中央区は、耐震診断・設計は全額助成、補強工事では高齢者・身体障害のある方がいる世帯は上限300万円全額助成し、一般は300万円を限度に2分の1を助成、また、一部屋補強にも150万円の補助金制度を設けています。計画の改定に合わせ、文京区の助成額も大幅に拡充すべきと思います。お答えください。
 区の地域防災計画では、地震等の災害による避難者は約4万人と想定し、避難所は33か所指定されていますが、各避難所の受け入れ可能面積に対し受け入れ人数を超えているのは16か所あるとの区の認識です。コロナウィルス感染防止のために「密」を避けた避難所とするためには増設が喫緊の課題で、早急に施設確保が必要です。特に、200%を超えている避難所は何か所あるのか、また解消の取り組みについて伺います。
 江戸川橋体育館は指定管理者施設で、体育館スペース以外は多目的室1室と剣道場、柔道場しかなく、加えて給食施設もなく、コロナ感染に対応するためには全く不十分な施設です。学校では普通教室・特別教室も使用できますが、ここでは「密」を避けるために、学校とは違う特別な対応が必要な避難所であり、避難者を何人と想定しているのか、どのような対策を考えているのか、伺います。
 現在、東京都からの要請もあり9か所のホテルや旅館等との避難施設としての協定協議を進めているとのことですが、進捗状況、都立高校との協議はどこまで進み、いつ公表するのか、併せて伺います。
 2次的避難所とされる地域活動センターは収容可能スペースの検討だけでなく、非常用電源や備蓄物資の確保・充実も求められています。
 8月13日夕方、落雷により汐見地域活動センターは停電し電話も通じず、業務継続が困難になり、終業時間を繰り上げたと聞いています。災害時・緊急時の避難や駆け込みの場となる地域活動センターが停電で役割を果たせないのは問題であり、電力のバックアップ体制を早急に構築することが必要ですが、汐見地活と同様に非常用電源がない施設は学校も含めどこか、また、どのように改善するのか、お答えください。
(区長答弁)
 次に、災害対応に関するご質問にお答えします。
 まず、住宅の耐震化についてのお尋ねですが、住宅の耐震化率については、平成27年度末時点で、戸数ベースで88.8%となっております。現在、「平成30年住宅・土地統計調査結果」等を用いて、昨年度末時点での耐震化率を調査しております。
 今後、調査結果に基づく検証を行い、本年度末に「耐震改修促進計画」の改定を行ってまいります。
 次に、耐震改修助成事業についてのお尋ねですが、防火地域は、耐火性能を備えていない木造住宅を制限しているため、木造住宅の延命化につながる助成は考えておりませんが、昨年度より、防火地域も木造住宅除去助成の対象とすることで、支援の強化を行っております。
 耐震に関する助成事業については、20年度の事業開始以降、高齢者や障害者が居住している建物に対する助成額の拡充をはじめ、制度の見直しを重ねることで、助成内容の充実を図っております。
 本年度は、緊急輸送道路沿道建築物の助成を拡充しており、引き続き事業の啓発に努め、耐震化を促進してまいります。


避難所の「密」対策と在宅避難者への支援策について
(いたくら美千代区議)
 新たに策定した避難所運営ガイドラインの「新型コロナウィルス感染症対策編」は全国一律で、文京区独自の対応となっていないという批判の声があります。避難所ごとの運営マニュアル作成については、避難所運営協議会の方々との綿密な打ち合わせを行い、各地域の状況が反映されるものとすること。またそれに沿った訓練の取り組み等、現状について、伺います。
 避難所に行かないという選択肢もあり、在宅避難者へは区と避難所運営協議会が対応するとしていますが、名簿・避難状況・ニーズ把握・食料品の確保、また何よりもコロナウィルス感染で療養中の方への対応など問題は山積で、避難所運営協議会の方々が対応するには限界があり、そこに人手がとられ少人数で避難所運営を回すことになり、現実には非常に無理があります。地域の方々の負担を軽減するためにも職員の増員が必要ですが、対応策を伺います。
(区長答弁)
 次に、避難所等についてのお尋ねですが、避難所の受入可能面積に対し、「3つの密」を避ける対応とした場合に200%を超える避難所は江戸川橋体育館の1か所です。
 江戸川橋体育館は、避難者数を1,440人と想定しており、避難所運営ガイドラインに沿った運営やパーテーションを活用した避難スペースの整理、二次的な避難所の開設等により、「3つの密」の回避に適切に対応してまいります。
 さらに、区内の旅館やホテル等と、協定の締結に向けた協議を進めており、年内を目途に新たな避難先の確保に努めてまいります。なお、二次的な避難所としての都立高校の利用については、既に地域防災計画に定めているところですが、引き続き、分かりやすい周知に努めてまいります。
 次に、避難所等における非常用電源についてのお尋ねですが、地域活動センター及び学校施設には、災害対策用に、投光機や携帯端末の充電等に使用できる発電機が備えられており、また、一部の施設には、3日分の電力を確保できる非常用電源を整備しております。非常用電源については、改築等の機会を捉え、施設の状況に合わせ、順次整備してまいります。
 また、東京電力との協定に基づき、災害時に早期に電力を供給できるよう、適切に対応してまいります。


神田川氾濫時、地域に特化した避難行動計画作成を
(いたくら美千代区議)
 北区では、今年3月「大規模水害を想定した避難行動の基本方針」を策定し、「大規模水害時の避難行動の基本方針〜避難の心得五か条〜」を掲げ、「北区は全庁あげて支援を行います」と宣言しています。避難が必要な地区ごとに地域特性・避難行動時の問題点、避難行動様式をわかりやすく示した避難行動の方針をつくり、避難行動の支援に向け、この基本方針もとに、より詳細な避難行動支援計画を策定する予定としています。
 文京でも水害ハザードマップを全世帯に配布するとともに、自分の住んでいる場所への影響を確認できるよう援助し、どこに避難するのか、避難の際気を付けるべきことは何かを「想像する」力を養うことや準備ができるよう、周知徹底することは区民の命を守るための区の責務であり、神田川氾濫時、関口1丁目地域は垂直避難や新宿区の施設への避難となることから、北区のように、地域に特化した避難行動計画を作成し、行動できる援助を強化するよう求め、伺います。
(区長答弁)
 次に、避難所運営マニュアルの作成等についてのお尋ねですが、各避難所運営協議会に対し、避難所運営ガイドライン「新型コロナウイルス感染症対策編」を配付し、マニュアル作成を促すとともに、必要に応じて助言等を行っております。
 また、避難所運営協議会とともに、ガイドラインに基づく訓練や避難所施設の利用計画の策定等を行っており、引き続き避難所運営協議会の活動を支援してまいります。
 次に、在宅避難者への対応についてのお尋ねですが、災害対応は、自助・共助・公助による連携が不可欠となります。在宅避難者への対応については、避難所運営協議会の方々にも担っていただくことになりますが、職員に対する研修や訓練の実施によりスキルアップを図るとともに、ボランティア等を活用することで、地域の方の負担軽減を図ってまいります。


区の決意として気候非常事態宣言を
(いたくら美千代区議)
 地球の平均気温は産業革命前と比べて1.1度上昇しています。そのもとで激甚な気象災害が頻発し、多くの人命が奪われています。気候変動枠組み条約のエスピノサ事務局長は、「新型コロナは人類が直面する緊急の脅威だが、最も大きな脅威は気候変動であることを忘れてはならない」と警告を発しています。気候変動から人類の未来を守るために早期に「温室効果ガス排出量実質ゼロ」を実現することが強く求められています。
 本年5月時点で、17都道府県、41市、1特別区、24町、8村の合計91自治体が2050年までに二酸化炭素排出「実質ゼロ」を表明し、さらに気候非常事態宣言は、国内では2019年9月、長崎県壱岐市が初めて宣言し、本年8月3日茨城県取手市が全国27番目となる宣言を表明し、6月には千代田区議会が「気候非常事態宣言に関する決議」を全会一致で可決しました。
 区が本年3月に策定した地球温暖化対策地域推進計画で、二酸化炭素の排出量削減については2030年までに基準年である2013年比28%削減を目指すとしていますが、低すぎます。こうした他自治体の取り組みを区はどのように受けとめているのか、計画策定直後ではありますが削減率のさらなる引き上げが必要で、いつ見直しを行うのか、本気度が問われています。伺います。
 私たち一人一人がこの気候の危機を「自分のこと」として考え、全員で共有して、二酸化炭素削減に取り組む必要がありますが、区の決意として気候非常事態宣言を行うべきと思うが、お答え下さい。
(区長答弁)
 次に、区民の避難行動への支援等についてのお尋ねですが、水害ハザードマップについては、「文京区防災地図」や「神田川洪水ハザードマップ」と併せて、シビックセンターや地域活動センター、区立図書館等で配布するとともに、ホームページやSNS等を効果的に活用し、周知を図っております。
 また、本年度作成する「高潮ハザードマップ」や、風水害時に各自の避難行動計画となる「東京マイ・タイムライン」について、防災講話や各種訓練等の機会を捉え、引き続き丁寧な周知に努めてまいります。
 次に、二酸化炭素の排出量削減率等についてのご質問にお答えします。
 本年3月に改定した「地球温暖化対策地域推進計画」における二酸化炭素の排出量削減目標については、国等の削減目標と比較しても妥当なものと認識しており、現時点で計画を見直す考えはございません。
 また、本計画では、地球温暖化及び気候変動に関する本区の考え方として、将来的な「脱炭素社会」を目指すこととしており、現時点では「気候非常事態宣言」を行う予定はございませんが、国内外の動向を注視してまいります。


コロナの影響により、浮き彫りになったジェンダー格差について
(いたくら美千代区議)
 最後に、コロナの影響により、浮き彫りになったジェンダー格差について、伺います。
 特別定額給付金の受給権者が世帯主になったため、DVや虐待被害者の女性が排除される懸念が高まりました。女性に不利になりがちな、家父長制度が前提になっている世帯主制度を今こそやめるよう、国に要望していくべきです、伺います。
 災害時の避難所でのプライバシー保護や、女性や子どもに対する暴力の発生を防ぐための視点は、いまだ大きく欠けていると言わざるをえません。コロナと水害や地震など、複合災害となった場合には、避難所の密を避けるためにもさらなる配慮が必要です。避難所の運営に女性の意見を反映させる仕組みをつくるべきだと考えるが、伺います。
 コロナの影響が深刻化し、長期化していることから、居場所のない10代の女性たちが、ふだんに増して苦しい状況に追いやられています。文京区内で、DVや虐待の被害にあっている女性や子どもたちに、どのような影響があったのか、伺います。公的支援が届きにくいハイティーンの支援を強化し、シェルターなどの居場所の設置、確保を早急にするべきだと考えるが伺います。
(区長答弁)
 最後に、ジェンダー格差に関するご質問にお答えします。
 まず、世帯主制度についてのお尋ねですが、世帯主制度は、国において議論がなされるべきものであり、国に対し要望する考えはございません。
 次に、避難所運営における女性の意見の反映についてのお尋ねですが、避難所運営協議会の委員に女性を推薦していただくよう、町会・自治会に働きかけるとともに、訓練の実施にあたっては、各班の基本的な役割を性別で分けることがないよう配慮をお願いしております。
 次に、コロナ禍でのDV被害等への影響についてのお尋ねですが、新型コロナウイルス感染症により、長引く外出自粛の中で、夫婦で過ごす時間が増え、家庭内での女性に対するDVが悪化したなどの相談が寄せられており、これに対し、婦人相談員が、関係機関と連携し、迅速に対応しております。
 また、児童虐待への影響については、外出自粛や休校等により、家庭が密室化し、子どもの見守りが困難な状況となっております。こうしたことを受け、子どもが通う保育園や幼稚園、小中学校等の協力を得て、安全確認に努めてまいりました。
 今後も、コロナ禍が続くことが想定されることから、関係機関と情報を共有し、連携を図りながら対応してまいります。
 次に、若者への支援強化等についてのお尋ねですが、公的支援が届きにくい18歳・19歳のハイティーンへの支援としては、親権がある中での複雑な対応が求められることを踏まえ、弁護士等と連携を図り、相談・支援を行っているところです。
 なお、シェルター機能のある一時保護施設については、民間も含めた既存施設で、適切に対応が行われていることから、区として、新たに設置する考えはございません。


都バス車庫跡地活用

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