◎格差ただし暮らし・家計第一の区政に向け消費税5%を国に求めよ
◎次期基本構想は「福祉増進」の役割を明記し戦略の呼称は再考を
◎認可保育所の待機児ゼロ実現を・保育所経費の弾力化の実態を問う
◎特別教室や職員室の改修計画含む教育行政独自の計画を区民に示せ
◎教育の機会均等に反する岩井臨海学校の代替措置は白紙撤回を
◎生活保護請求権を認めた生活保護法7条に基づく窓口・相談対応を
◎難病患者に対し心障福祉手当の周知・支給漏れが無いか検証を
◎都市マスタープランの検証と事前協議制含むまちづくり条例を
◎台風19号への対応の検証で避難体制・情報伝達の手段の拡充を
◎まちづくり計画で歴史的・文化的とする藪下通りの情景の継承を
格差ただし暮らし・家計第一の区政に向け消費税5%を国に求めよ
(金子てるよし区議)
まず、消費税10%増税についてです。
安倍政権は10月に2回目となる消費増税を行いました。歴代自民党政権で最大の13兆円の負担増を行ったわけです。内閣府の景気判断は今年1、2月が下方への局面変化、3〜4月は悪化、5〜7月は下げ止まり、8、9月は「悪化」で、実質賃金が年18万円低下し、加えて年金・医療・介護の負担増と給付減の影響は4兆7000億円にのぼる中で消費税増税が強行されたのです。
区長は今年の年頭挨拶で「景気は…緩やかに回復を見せ…雇用情勢や所得環境の改善が続く」と述べ、来年度予算編成方針でも「景気は緩やかに回復」という見解をうのみにし、わが党が9月本会議に至るまで繰り返し増税中止を国に求めよと質しましたが、増税を容認する答弁をしてきたことは問題です。
私たちのところには次のような声が寄せられています。区内のある居酒屋では、金融庁が老後資金二千万円が必要とした報告書の報道の後、サラリーマン客が遠のき、10月の増税で客足が激減し創業39年目にして閉店を決意したといいます。また、ある豆腐店からは「食品は8%だが製造コストは10%で本体価格は上げざるを得ない。こんな消費税は廃止すべきだ」という強い批判です。
そこで第一に、区長の雇用情勢や所得環境の改善が続くという認識は改めるべきですがお答えください。第二に、増税の影響調査を行いつつ、政府の「景気回復」論を引用した来年度予算編成方針は改め、暮らし最優先の方針で予算編成をやり直すべきです、第三に「暮らしの先に未来が見える都市の実現」と言うならば、わが党が提案しているように消費税は5%に減税し、国政野党と市民連合が一致して求める所得・資産・法人の各分野における総合的で公平な税制を作るよう国に求めるべきです、あわせて答弁を求めます。
(区長答弁)
最初に、消費税率の引上げ等についてのご質問にお答えします。
年頭挨拶や予算編成方針における雇用情勢や景気認識等につきましては、内閣府の「月例経済報告」を引用しておりますが、直近の10月の報告でも「景気は、輸出を中心に弱さが長引いているものの、緩やかに回復している。」としていることからも、景気についての認識等を改める考えはございません。なお、消費税等の税制については、国において議論がなされるべきものであり、国に対して意見を申し上げる考えはございません。
次期基本構想は「福祉増進」の役割を明記し戦略の呼称は再考を
(金子てるよし区議)
次に地方自治のあり方について、です。
地方自治の役割は憲法と地方自治法に基づいた「住民福祉の増進」の実現にあります。しかし、「文の京総合戦略 素案」には区民の暮らしの現状や立て直し方向性が憲法や地方自治法との関係で示されていません。今、国が描く自治体のあり方は暮らしとの関係で大変重大な内容になっています。総務省の「自治体戦略2040構想研究会」などでAIの活用で職員の半減化を説き、society5.0を枕詞に行政の標準化・共通化と広域連携で自治権を制約し、自治体を本格的な利益追求の場に変質させる「戦略」を描いているからです。
人口減少を前提に道州制を目指した平成の大合併や地方創生の検証すら無い下で、全国市長会の会長が地方の「努力に水を差す」と指摘し、反発が広がっています。こうした国の「自治体戦略」について認識をお答えください。
文京区は1978年に策定された基本構想で、区長や議会は「区民に奉仕するものであり、決して区民を支配するものであってはならない」と憲法の規定を強くにじませ、学識、住民、議会の代表の検討と議会の議決を経て策定した歴史を持っています。次期計画は国の「自治体戦略」と一線を画すことを明示するためにも、「戦略」の名称は止め、憲法と自治法の立場で「福祉増進」の役割を明言すべきですが、お答えください。
自治体の基本計画に今必要なことは、格差をただし暮らし・家計応援第一の役割を具体化させることです。例えば横浜市は中小企業振興条例により地元中小企業への発注状況を議会に公表し「見える化」させ、世田谷区では公契約条例で最低賃金や原価の底上げを図り、産業ビジョンと一体に活用が進むなどの事例があります。文京区でも待機児・特養待機者解消と公営住宅確保、給食無償化と35人学級実現、格差ない最善の教育環境整備、国保料引き下げ、中小企業振興条例と公契約条例制定など住民多数の暮らし・営業を支え、役立つ取り組みを掲げるよう提起しますが、お答えください。
以上、質してきた地方自治の役割を発揮する上で、現行憲法の全条文を自治体運営に活かすことが必要であり、安倍首相が狙う九条改憲は止めるよう国に求めるべきです、伺います。
(区長答弁)
次に、地方自治のあり方に関するご質問にお答えします。
まず、自治体戦略2040構想研究会報告等についてのお尋ねですが、今後、国内において人口減少が加速し、高齢化がますます進展する局面において、行政資源が限られる中、地方自治体が引き続き持続可能な形で行政サービスを提供していくための方策を探ることは、喫緊の課題と認識しております。
次に、「文の京」総合戦略についてのお尋ねですが、変化が激しく、先を見通すことが難しい社会状況において、多様性を増す行政需要に的確に対応し、将来にわたり持続可能で豊かな地域社会を構築していくためには、これまで以上に、柔軟かつ迅速に区政課題を解決していくことが必要となります。
このことから、計画期間における重要性・緊急性の高い54の主要課題を選定し、課題解決に向けて組織横断的に取り組むべきことと、解決手段となる計画事業を明らかにしてまいります。
加えて、毎年度の行政評価により絶えず検証を加えることで、計画期間中であっても、より効果的・効率的な手段に組み替えるなど、戦略的な事業展開を図る計画とすることから、名称を「文の京」総合戦略といたしました。今後、総合戦略で掲げた、保育サービス量の拡充や子どもの貧困対策、介護サービス基盤の充実など、主要課題を一つひとつ解決していくことが、格差をなくし豊かな地域社会の構築につながるものと考えております。
また、日本国憲法を尊重・擁護し、地方自治法を遵守することは自治体の長として当然の義務であり、総合戦略においても、その礎となるものであると認識しております。なお、憲法改正については、国において十分な議論や手続を経て行われるべきものと考えております。
認可保育所の待機児ゼロ実現を・保育所経費の弾力化の実態を問う
(金子てるよし区議)
次は、保育所の待機児対策についてです。
一昨年、区長はあと1,471人分の保育所増設で待機児をゼロにすると打ち出しました。来年度の見通しはどうか、待機児ゼロは実現するのか、伺います。
10月から消費税10%と引き換えに3才から5才児の保育無償化が行われました。しかし、人口増と相まってさらに保育所の需要が高まるのではないか、見通しと対策、決意を伺います。
次に、保育の質についてですが、情報公開によると、保育園運営費の中から本社に移転された経費が2018年度、区内18施設で1園770万円から2,900万円で、総額3億3,690万円にのぼることが分かりました。中でも小学館アカデミー小石川と茗荷谷園は2園で3,980万円を千代田区の新規園整備に、さらに、クオリスキッズ駒込園は1,500万円を大田区の新設園に、えがおの森保育園千石は2,100万円を阿佐ヶ谷の新設園に、ちゃいれっく新大塚駅前園は1367万円を福生駅前園の家賃・その他に、同じちゃいれっく新大塚駅前園は4,200万円を目黒区の新設園に、それぞれ充当する協議を東京都としています。
こうした「運営費の弾力的運用」は、厚労省通知で、職員配置の順守や給食の栄養量確保、児童の処遇の適切性など7つの要件を満たすことを条件に可能としていますが、区は協議経過と結果にどう関与し承知しているのか、区民のために議決した予算が他区の施策に使われている事は、「弾力的運用」と言われても納得できるものではありません。見解を伺うとともに、「弾力的運用」は止め、文京の子どものために使うのが当然で、国、都に見直しを求めるべきですが如何か、伺います。
次は、園庭・遊び場の確保についてです。
今年8月現在で、文京区の公立と私立認可保育所は100か所となりました。区立・国立20か所を除いた80の認可保育所で園庭がある保育所、園庭の無い保育所の数をそれぞれ伺います。
毎朝、車の往来の激しい大通りを色とりどりの帽子の子どもたちが列を作って歩いています。園庭の無い保育所は、近くの公園や児童遊園を代替園庭として届出していますが、子どもの脚で10分も歩かないと公園にたどりつかないのが実態です。須藤公園や、竹早、駕籠町、久堅、動坂、江戸川,新花、神明、千石公園など区内の多くの公園が、複数の保育所の代替園庭として登録されています。大きな交差点の横断など、保育士の安全への気配りは大変です。以前、複数の園が来ていた公園に子どもを忘れた事例もありました。「散歩」は保育の中で最も緊張し危険と背中合わせの一大事業です。
幼稚園は園庭が必置ですが、同じ幼児でも保育所の子どもたちは安心して遊ぶこと自体が一苦労というのは、大きな差別であり、格差ではないでしょうか、認識を伺います。
保育所が激増した今日、「保育所に隣接している」と言える程近くに、代替園庭を確保するのは、自治体の責務ではないのか、伺います。
また、公園・児童遊園の少ない地域など地域偏在について、活用率の低い公園・児童遊園の把握状況について、それぞれ伺います。新たに公園用地を購入する決意と活用の低い公園・児童遊園の魅力アップ策、例えば芝にして裸足で遊べるようにするなどの計画を求め伺います。
(区長答弁)
次に、保育所の待機児童対策や保育の質に関するご質問にお答えします。
まず、保育所待機児童の今後の見通し及びその対策についてのお尋ねですが、本年度期中及び来年度当初において、認可保育所15施設、小規模保育事業2施設、事業所内保育事業1施設、家庭的保育事業1施設の開設と、認可保育所2施設の定員拡充により、合計1,049人の定員を確保できる見込みです。昨年度の定員増947人とあわせると、拡充する定員の合計は1,996人となり、「子ども・子育て支援事業計画」における整備計画を超えるものとなっております。
一方、幼児教育・保育の無償化による保育ニーズへの影響について、現時点で判断することは困難であり、来年度の入所申込状況等を踏まえ、慎重に見極めてまいります。引き続き、就学前児童人口の増加など様々な要因を考慮の上、保育ニーズを的確に把握し、待機児童の解消に向け、私立認可保育所を中心とした開設を積極的に進めてまいります。
次に、運営に要する費用についてのお尋ねですが、私立保育所における委託費の弾力運用については、保育運営事業者が、都に事前協議を行うことになっており、区では、都への申請の前に、厚生労働省からの通知に示された要件を満たす施設かどうかを、毎月の委託費の支払いに係る提出書類や巡回指導を通して確認しております。
委託費の弾力運用は、適切な施設運営が確保されていることを前提に認められている国の制度であり、国や都に見直しを求める予定はございませんが、今後も指導検査を通じて、関係法令や厚生労働省からの通知等に基づき、適正な会計処理が徹底されているかを確認してまいります。
次に、保育所の園庭、遊び場についてのお尋ねですが、本年8月時点で、私立認可保育所は58園開設されており、そのうち園庭のある保育所は12園、園庭のない保育所は46園となっております。
園庭のない私立認可保育所においては、開設時の認可申請に際し、園舎近くに代替遊戯場を設定しているところであり、また、園庭の有無に関わらず、散歩等の外遊びの重要性が高いことから、各園で工夫し計画的に取り組んでいるところです。散歩等の際には、必要な人員の配置、事前のルート確認等を行い、安全に留意しながら実施されているものと認識しております。
あわせて、区立保育園園長経験者等による巡回において、散歩中の職員の動きや緊急時の体制の確保等について助言を行っております。なお、代替遊戯場以外にも新たな遊び場を確保できるよう、引き続き、民間施設等とも協議を進めてまいります。
次に、公園の利用状況などについてのお尋ねですが、公園・児童遊園の地域分布につきましては、「公園再整備基本計画」策定時に調査し、地域別の課題や整備の考え方を示しております。
利用状況等につきましては、公園連絡員などの日々の報告により確認しており、公園や児童遊園等のそれぞれの機能に応じて利用されているところです。
また、公園再整備の際に、公園の規模や地域特性、アンケート調査や意見交換会でのご意見などを踏まえ、多様なニーズに対応した整備を進めており、その結果、魅力ある公園として、子どもをはじめ、利用する方が増えております。なお、公園用地に限らず、既存の区有地の活用だけでは、多様な行政需要に対応できない場合、中長期的な視点から有効活用が可能と判断できる土地等があるときには、取得等について検討してまいります。
特別教室や職員室の改修計画含む教育行政独自の計画を区民に示せ
(金子てるよし区議)
教育について伺います。
区は文京区の子どもの現状について「学力が高く、学ぶ力がある」が「他者との関係づくりが上手くいかない場合がある」と、「新たな学びの視点について」の中で示しています。
実際に小学生の「不登校」は2014年度(H26)32人から2018年度(H30)には73人に倍増、「いじめ」も2014年度(H26)に52件から2018年度(H30)には126件に増えており、事態は深刻です。
中学生の「不登校」は2014年度(H26)63人から2018年度(H30)には107人に増え、「学業不振」や「友人関係」が理由としてあげられています。
こうした子どもの現状を改善するためには、教育環境を整えることが大前提です。35人学級と教職員の増員を行い、長時間、過密労働を軽減すること、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、スクールロイヤーの配置を行うことで、先生が子どもとじっくり向き合い、どの子もわかったと輝ける環境づくりをするべきと考えるが、伺います。なお、来年度は「施設的には小学3年生の35人学級が可能」との答弁を受け、実現するよう求め伺います。また、35人数学級実現のための、学校施設、特別教室、職員室等の速やかな改修・充実も必要不可欠と考えるが、合わせて伺います。
安倍政権は「1年単位の変形労働時間制」を国会に提出、現場の教員から「勤務がもっと長くなる」と怒りの声が上がっています。変形労働時間制の導入は、労働法上の労働者保護の観点から事業所ごとの合意が必要なところ、条例でよしとするものであり大問題です。区として、変形労働時間制の導入を許さない立場をとるべきだと考えるが、伺います。
ICT教育の普及を推進した韓国では、タブレット端末に依存しすぎると問題解決能力が落ち、子どもが一年間に読む本の量も過去最低を記録、学ぶ意欲が薄れたのではないかという教員組織からの報告もあります。公教育では、すべての子どもたちが主体的に考え、生きる力を身につけることが大切です。読書の効果を見直し、全小中学校へ常勤図書館司書の配置をし、週4日から5日に増やすべきです、伺います。
今、「教育振興基本計画」にかえて教育指針が打ち出されようとしており、また課題をピックアップする形の区長部局の「文の京総合戦略」が打ち出されようとしています。教育委員会は区長部局から独立し教育行政を行う教育局の役割を自覚し、教育条件の整備を柱にした「教育振興基本計画」を作成するべきではないか、伺います。
学校給食無償化について、葛飾区では小中学校に通う世帯当たり3人に1人の給食費無料を実施しています。保護者からは「就学援助の対象ではないが、第3子の給食費が無料になり、家計のやりくりが大変助かった」という声も寄せられているそうです。家計消費が落ちこみ消費税10%増税を強行された今こそ、憲法が示す「給食を含めた義務教育の無償」を実施する時だと考えますが、伺います。
(教育長答弁)
はじめに、教育環境の整備についてのお尋ねですが、区が独自に教員を採用して学級編制を行うことは、安定的な人材確保や異動・昇任等の人事管理上の課題があるため、35人学級の実施については、困難であると認識しております。そのため、35人学級の拡大を想定した、学校施設の改修等を行う予定はございませんが、引き続き、特別区教育長会等を通じて、都教育委員会に働きかけてまいります。
また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを配置し、児童・生徒が抱える課題の解決を図り、安心して学校生活を送れる環境を整えているほか、顧問弁護士と契約を結び、学校問題の解決につながる助言をいただいております。なお、学校における働き方改革として、部活動指導員や事務補助者を拡充するほか、留守番電話サービスや学校閉庁日等を導入し、教員の負担軽減を図っております。
次に、変形労働時間制の導入についてのお尋ねですが、現在開会中の臨時国会において、一年単位の変形労働時間制を含め「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律」について審議が行われておりますので、その動向を注視してまいります。
次に、学校図書館司書の勤務日数の拡充についてのお尋ねですが、現在、学校図書館支援事業として、指定管理者により、週4日、1日4時間、年168回、全小・中学校の図書館へ支援員の派遣を行っております。支援員は、子どもたちが調べ学習で活用する図書を、図書館と連携し収集しているほか、教員と連携し、授業や行事等と関連するコーナーの設置や、朝読書におけるブックトークなどを行っております。これらの支援内容及び支援時間については、全ての学校から満足との評価を得ておりますので、現時点において、常勤図書館司書の配置及び日数の拡大は考えておりません。引き続き、学校との連携を深め、より良い支援業務となるよう努めてまいります。
次に、教育振興基本計画についてのお尋ねですが、教育委員会では、教育理念である「教育ビジョン」及び「教育目標」に基づき、社会の変化にあわせ、迅速かつ柔軟に教育課題の解決を図るため、教育の施策全体の方向性を示す「教育指針」を今年度中に策定する予定です。
この「教育指針」の基に、毎年度、推進すべき施策を教育委員会の主要施策と定め、時宜に即し、着実に実施してまいります。
次に、学校給食費の無償化についてのお尋ねですが、本区では、学校給食法に基づき、給食に係る食材費等は保護者の負担としておりますが、要保護・準要保護世帯、ひとり親家庭、特別支援学級の児童・生徒の保護者については、給食費を無償としており、経済的な負担の軽減は図られているものと認識しております。
教育の機会均等に反する岩井臨海学校の代替措置は白紙撤回を
(金子てるよし区議)
岩井臨海学校と代替措置について伺います。
教育委員会は11月5日の定例会で、来年度、連携自治体での自然体験教室と民間委託の岩井臨海学校を希望者ごとに参加する形に変えたうえ「新幹線や飛行機利用となるため補助も行うが保護者負担が高くなる」と報告しました。
まずは白紙撤回し、全員が等しく参加できるよう岩井臨海学校の継続を求めますが、お答えください。さらにこうした措置は「経済的地位によって、教育上差別されない」とする教育基本法4条違反そのものですが、その認識はお持ちでしょうか、伺います。
(教育長答弁)
最後に、岩井臨海学校に関するお尋ねですが、宿泊施設の不足等により、現在の形で継続することが難しいことから、岩井臨海学校については、令和元年度をもって廃止することといたしました。
また、連携自治体の協力により実施を予定している夏季自然体験教室については、現在、参加費等の詳細について、受入れ自治体と協議中ですが、保護者の負担を考慮し、一定の公費負担について検討してまいります。なお、生活保護や就学援助受給世帯の参加費については、これまでの岩井臨海学校と同様に、全額補助ができるよう調整してまいります。
生活保護請求権を認めた生活保護法7条に基づく窓口・相談対応を
(金子てるよし区議)
安倍政権が行おうとしている社会保障削減の中止を求め伺います。
検討されているのは75歳以上の医療費や介護利用料を原則2割に倍増することや、介護利用料について現在、年金収入280万円で2割、340万円で3割の方も増やそうとしています。これは高齢者のくらし破壊そのものです。
また、要介護1・2の方も保険から外し要介護認定者の6割を保険外にするもので「保険あって介護なし」のひどい事態です。これら負担増・給付減の検討について、区の認識を伺います。
介護サービスは削られる一方で、65歳以上の一号被保険者の保険料は上がり続けています。14億円ある介護保険準備基金は、介護保険料引き下げに活用すべきです。伺います。
次は生活保護についてです。
生活保護基準は2013年8月から史上最大の10%引き下げられ、2018年からは生活扶助が最大5%も引き下げられました。あまりにひどい改悪で、3万件近い審査請求が申し立てられ、全国で一千名以上の裁判が行われています。
文京区では、生活保護の方は1992年以降増える傾向でしたが、2014年から減っています。2014年に相談実件数845件に対して、保護開始世帯数は340件で40%でしたが、2018年には相談実件数が805件に対して、保護開始世帯数は230件、29%と、保護開始の割合は11%も減少しています。減少の要因は何か、また、2013年からの生活保護削減との関連性について見解を伺います。さらに2度の削減で影響を受けたのは、何世帯か伺います。
この間、文京区では住所がないと生活保護が受けられない、家を売らないと申請できないとの対応や、昨年度には生保利用者の終末医療に際して、医療機関に「最小限の医療でお願いします」との連絡があった等の対応が行われています。しかし、1950年(昭和25年)に改定された生活保護法第7条が国民に生活保護請求権を認めた当時、すでに厚生省は事務次官通知で「保護の漏れることのないよう配慮する」よう示しています。これは、たとえ要保護性がないと考えられる人が申請を希望した時も申請は拒めず、受理した上で調査し却下することが法に基づく対応であることを示したものです。この通知に基づいて窓口対応や相談業務を行い、相談者の生活状況に細心の注意を払い急迫の事情の有無に関わらず、保護が漏れることがないようにすべきです。伺います。
また、台東区では保護利用で対象者全員に健康診査の受診券やインフルエンザ予防接種の予診票を一律に送付しています。文京区でも台東区のように実施することを求め伺います。
(区長答弁)
次に、社会保障制度に関するご質問にお答えします。
まず、制度の見直しについてのお尋ねですが、後期高齢者医療や介護保険等の社会保障制度については、現在、国の「全世代型社会保障検討会議」等において議論されております。区といたしましては、引き続き、その動向を注視してまいります。
次に、介護保険料についてのお尋ねですが、次期「高齢者・介護保険事業計画」策定時に、介護保険準備基金の活用も含め、法に基づき適正に算定してまいります。
次に、生活保護世帯の状況や基準改定との関連性についてのお尋ねですが、生活保護相談件数に対する保護開始世帯数の割合が減少傾向にあることについては、雇用環境の改善など、社会経済情勢の変化による様々な要因が考えられるものと捉えております。
このような状況に加え、平成27年度より行っている生活困窮者自立支援事業により、相談者が保護申請に至る前の段階で、自立に結びついたことなども、減少要因のひとつと考えております。
次に、生活保護基準の改定により影響を受けた世帯数についてのお尋ねですが、生活保護費が減額となった世帯は、平成25年の改定時が1,869世帯、30年の改定時が1,655世帯となっております。なお、国では、生活保護基準額が減額となる場合に、それぞれの制度の趣旨や目的、実態を考慮しながら、できる限り、その影響が及ばないよう対応することを基本的な考え方としております。区においても、国の考え方を踏まえ、低所得者向け施策に影響のないよう対応しているところです。
次に、制度の運用についてのお尋ねですが、医療扶助を含めた生活保護制度については、生活保護法及び関連法令に基づき、適正に実施しております。今後も、個別に生活状況などを伺いながら、相談者の状況に配慮した対応に努めてまいります。
次に、生活保護受給者の健康診査及びインフルエンザ予防接種の実施についてのお尋ねですが、健康診査については、対象となる40歳以上の生活保護受給者全員に、担当するケースワーカーが健診の案内を送付しているほか、個人の状況を見ながら必要に応じて個別に受診の勧奨も行っております。
また、インフルエンザの定期予防接種については、65歳以上の対象者全員に、接種の案内と接種を受ける際に必要な予診票を一律に送付しております。なお、生活保護受給者の方は、保護証明書を医療機関に提出することにより、接種費用が無料となります。
難病患者に対し心障福祉手当の周知・支給漏れが無いか検証を
(金子てるよし区議)
心身障害者福祉手当に関して伺います。
2018年2月議会の本会議で共産党区議団は、当時すでに2007年から、都の難病医療費助成を受けていた方が、区の福祉手当の受給資格もあることに気がつき議員団に相談があり、その対応について質問しました。
その後、港区で難病医療費助成の申請手続きの際、心身障害者福祉手当の説明を行うことになっていたが、怠っていたケースについて、未支給の4年分の福祉手当74万4千円を支払うことを決定しています。
文京区は難病医療費申請時にチラシを配布しているとのことでしたが、きちんと説明し9階の障害福祉課の窓口で申請をすることが、徹底されているのか伺います。また、港区は手当を説明した際に記録に残すことや、難病医療費の更新の時に、手当の有無について複数の職員で確認を行う等、再発防止を徹底するとのことです。文京区も同様にすべきですが伺います。区でも手当の周知と支給漏れがなかったのか再度確認すること、漏れている場合には遡って支給するよう求め伺います。
(区長答弁)
次に、心身障害者等福祉手当の支給についてのお尋ねですが、保健サービスセンターにおいて、難病医療費助成の新規及び更新申請を受け付けた際に、心身障害者等福祉手当の案内チラシを配付し、申請窓口が障害福祉課であることをご案内するとともに、説明を行った旨を記録しております。
また、心身障害者等福祉手当の制度については、区報及び区ホームページにおいて周知を行っているところです。なお、手当の受給資格の認定を受けた方への支給漏れはございません。
都市マスタープランの検証と事前協議制含むまちづくり条例を
(金子てるよし区議)
次は、まちづくりについてです。
5年前に指定された絶対高さ制限に対し、「引きあがった高さ」や「都市核」の設定に対する異論の声が出され、また、区議会には建築紛争を未然に防止するための新たな仕組みづくりや、事前協議制を含むまちづくり条例の制定を求める請願が連続して提出されています。これらを受け、まちづくり条例をつくるべきです、伺います。
区長は、2011年の都市マス改定のあいさつで、「おおむね5年ごとに進捗状況の検証を行う都市マス進行管理を新たな方針と定めた」としているが、8年経過した現在まで行われていません。人口増などの社会情勢や土地利用の変化などに即し、早急にパブリックコメントや都市計画審議会を開催する等、手続きに入るべきです、伺います。
また、都市マスでは「大学の都心回帰傾向」や「大規模敷地における施設の老朽化等に伴う機能更新などが今後想定され、これらの機会をとらえた地域貢献など、適切な土地利用の誘導が必要」としています。
こうした中で「都バス大塚支所跡地を区民本位に活用させる会」のみなさんから、都バス車庫跡地の借地権者が建設する建物に保育園・特養ホームをと要望した請願が採択され、私たち区議団も要求してきた結果、保育園設置が実現しました。それに続き、昨年9月議会で共同印刷本社の建て替えで発生する約17,000uという広大な余剰地を、区が定期借地等により保育所などの福祉施設の整備の検討と交渉を行うよう提起し、区長は「協議を行う」と答弁しています。
本年9月2日、共同印刷に対し区長名で出した「本社社屋建て替えに伴う敷地内の活用について」との要望書では、公益性の高い計画として保育所・育成室などの子育て施設の整備や災害時への対応、様々な交通手段への取り組みを要望しています、その後の協議内容についてお答えください。
日本共産党の提案として、第一に保育園や8割に上る園庭のない私立保育園の子どもが遊べる児童遊園や広場、特養ホームやシルバーピアなど公営住宅の建設に活用できるようにすること、第二に、交通手段の取り組みについては、上野公園と大塚駅を結ぶ都バス上60の増便を東京都交通局に要望すること。第3に「名勝及び史跡」の小石川植物園への景観に配慮し、大規模敷地・総合設計の特例など適用せず、高さ制限の範囲内に収める建物となるようにすること、以上答弁を求めます。
(区長答弁)
次に、まちづくりに関するご質問にお答えします。
まず、まちづくり条例についてのお尋ねですが、建築紛争の予防や解決に当たっては、現行の制度等の活用により、十分に対応できていると考えております。
また、より効果的・効率的な取組となるよう、適宜、業務の改善を行っており、新たな条例の制定は考えておりません。
次に、都市マスタープランについてのお尋ねですが、都市マスタープランについては、社会情勢の変化等により、必要に応じて見直すこととしております。近年、都において、まちづくりに関する各種方針・計画の改定が進められていることや、その他社会情勢の変化等を踏まえ、既に、来年度から都市マスタープランの見直しを行うべく検討を進めております。
次に、小石川四丁目民有地の活用についてのお尋ねですが、土地所有者からは、不動産の有効活用を図るため、敷地内の活用について、土地賃借による事業企画提案を募集し、借地権者を決定したと聞いております。
借地権者による土地の利活用にあたっては、土地所有者に対し、学校等への影響、防災への影響、公共交通機関への影響について、さらに、土地所有者、借地権者と本区の三者による協議の場の設置について、本年9月、私自らが要望書を持参し、配慮を求めております。なお、借地権者による土地の利活用開始が令和6年頃の予定と聞いており、活用計も未定であることから、現時点では、まだ具体的な協議に至っておりません。
本区といたしましても、新しく創出される施設を含めた環境が、区民の安全と豊かな暮らしに資するものになるよう、地域貢献の観点から、保育所・育成室などの子育て施設の整備要望のほか、引き続き、必要な協議を行ってまいります。
台風19号への対応の検証で避難体制・情報伝達の手段の拡充を
(金子てるよし区議)
次は台風、地震をはじめ相次ぐ自然災害が被害をもたらしている件です。
今、災害から命と暮らしを守る政治の役割が問われ、被災者の生活と生業の再建に希望がもてるように、国の被災者支援の抜本的強化が求められています。
10月の台風19号の対応で、区は11日15時、臨時水害対策本部を設置、翌日午前10時に11か所の避難所を開設しました。区の水害・土砂災害対策実施要領によって「水害」「土砂災害」の指定避難場所としての対応ですが、11か所にとどめたのはなぜか。水害予想区域から近距離で避難できる高台の千石や本駒込、また他区の避難者が45名いたことからみて洪水浸水予定地区に近い根津・千駄木地域でも避難所開設が必要ではないか、要領の変更も含め検討すべきで、併せて伺います。
12日午前10時には「警戒レベル3避難準備・高齢者避難開始」が発令され、自発的な避難や、要配慮者は「立ち退き避難」が求められました。その直後に区長はツイッターで、土砂災害警戒区域等で高齢者・障害者などで心配な場合や危険だと思う方へ避難を呼びかけましたが、「それ以外の方に避難を呼びかけるものではありませんので、自宅等で安全に気を付けてください。」と発信していました。まずは安全確保のためと「自主避難所」を開設した区も少なくありませんでした。避難対象地域でない住民の避難も受け入れる体制が必要であり、可能だったのではないか、併せて伺います。
文京区と災害協定を結ぶヤフーの情報では、土砂災害警戒地域の住民は3,652世帯5,191人と示されていました。しかし実際の避難者は、他区からの45人を含め328人、わずか5%でした。当該地域からの避難者は何人だったのか、その地域内すべての住民に避難の情報が伝わるようになっていたのか、併せて伺います。
また、日常的な区民への風水害時の避難所情報の周知徹底、「安心防災メール」の登録者の拡大、青色パトロールの運行計画、また防災無線・個別受信機の放送の基準、さらに、避難所の広さを定めたスフィア基準を順守した整備など、今後の区の対応を見直すべきと考えますが、伺います。
(区長答弁)
次に、風水害時の避難所開設等についてのお尋ねですが、避難所の開設については、浸水予想等を踏まえ、災害の種別ごとにあらかじめ定めております。
しかしながら、本年9月に、第二次土砂災害警戒区域等が指定されたことや、台風19号の対応における課題等を踏まえ、「水害・土砂災害対策実施要領」や「避難所運営ガイドライン」の改定を検討しております。
台風19号では、避難所の開設に当たり、過去最大級の規模であるとの想定から、実施要領に基づき、避難所を11か所開設することが必要と判断したところです。実際には、開設した避難所において、本区以外の方や避難対象地域ではない避難者を受け入れておりますが、今後、受け入れ体制を含め、改定の中で、開設する避難所の増設について検討してまいります。
次に、土砂災害警戒区域等からの避難者数や避難情報の周知等についてのお尋ねですが、ホームページ、SNS、文の京安心・防災メールや緊急速報メール等で周知しており、避難情報は伝わっていると認識しておりますが、避難所の受付で住所を記入された方のうち、土砂災害警戒区域等からの避難者数は21人でした。
台風19号対応では、区からの情報発信における伝達内容やタイミングなどの課題があったと認識しており、区民が的確に避難行動を取れるよう、情報発信の方法について検討してまいります。なお、避難所の収容基準の見直しは考えておりませんが、引き続き、国や都とも連携し、避難所機能の向上に努めてまいります。
まちづくり計画で歴史的・文化的とする藪下通りの情景の継承を
(金子てるよし区議)
最後に「藪下通り」に面した玉石の石垣や「汐見坂」と掘り込んだ石碑がマンション建設で消滅の危機にある件で、伺います。
地元小学生から残してとの声が区へ寄せられた後、「藪下通り汐見坂の石垣を守る会」が結成され、石垣等の存続を求め区と住民・業者を含めた協議を求める署名が1,650筆集まっていると聞いています。
一葉研究家で文芸評論家の澤田章子さんによれば?外を尊敬し観潮楼を訪れていた永井荷風は随想「日和下駄」で「東京中の往来のなかでこの道ほど興味ある處はない」と書き、一葉は明治27年の日記に「団子坂より藪下を過ぎて根津神社の坂にかかる」と記しているそうです。観潮楼歌会に参加した佐々木信綱や与謝野寛、石川啄木も歌論を語り合い石垣の脇をたどったのではないか、と指摘されています。藪下の道は近代日本文学を意義づけた文学者の面影を彷彿とさせる貴重な遺跡で石垣は残された唯一の象徴です。
藪下通りの石垣部分は教育委員会発行の「文京の史跡」に掲載され、都市計画部も1997年度(平成9年度)に景観基本計画で写真付で掲載し「まちの歴史」書き、2011年度(平成23年)策定の千駄木駅周辺まちづくり計画でも「歴史的・文化的なまちの資源を生かし…風景を継承した景観形成を進めます」としています。2013年度(平成25年度)の景観計画も「文豪ゆかりの史跡」と書き込み写真を掲載しています。
”文の京“と呼ぶにふさわしく、この丸みをもつ珍しい石垣や石碑を含む情景が次世代に残るよう、開発者と住民を含め協議の場を作るなど、区のより一層の役割が待たれていますが、伺います。
(区長答弁)
最後に、藪下通りの石垣等についてのご質問にお答えします。
石垣については、住民の方々から要望を伺い、その内容等を事業者に伝えるなどの対応をしております。しかしながら、建築基準法に基づく道路拡幅の必要性などにより、現況の石垣を残すことは困難な状況です。
新たな擁壁の建設に当たっては、景観事前協議を行い、周辺環境に馴染んだものになるよう事業者に要請し、一定の配慮をいただいております。なお、石碑については残せるよう、現在、事業者が検討していると聞いております。
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