本文へスキップ

日本共産党文京区議会議員団は、区民のための区政を目指します

〒112-0003 東京都文京区春日1-16-21 文京区議会内

TEL.03-5803-1317

議会報告Congress report

PAGE TOP

2018年文京区議会9月定例議会
代表質問 萬立幹夫区議     2018年9月7日

安倍政治に対する区長の認識と見解
区民負担増とサービス切り捨てをやめ、基金活用で暮らし支援を
公有地に加えて、民有地の活用で福祉施設の整備を
認可保育園の待機児ゼロを実現する対策を
保育士の処遇改善で、保育の質の確保を
教育施設のブロック塀の早期改修を
中学校の道徳教科書選択について
教員の定数増と少人数学級を求める
根津地域の中学校へ特別支援学級の設置を



安倍政治に対する区長の認識と見解
(まんだち幹夫区議)
 最初に、7月の西日本豪雨災害や先日の台風21号、さらに昨日の北海道地震などにより犠牲になられた方々のご冥福と、被害にあったみなさんにお見舞い申し上げます。個人の尊厳や生存権の保障にてらして被災者支援を最優先に、「災害大国」に見合った政治の役割を果たすことを求めるものです。

 「森友、加計疑惑」に始まり延長国会でのカジノ法強行可決によって通常国会が終わりました。6年が経過しようとしている安倍政権の下で、使い捨て労働や過労死のまん延を招く「残業代ゼロ法」の強行、引き続く社会保障の改悪と、自民党の9条改憲案が秋の国会にも提出されるなど、立憲主義・民主主義と平和を破壊する政治に対して、自治体が住民の命と福祉を守る立場を明確にすることが極めて大事になっています。最初に、こうした安倍政治に対する区長の見解を伺います。
 この間、安保法制・共謀罪法の反対につづき、国連の核兵器禁止条約への日本政府の調印や沖縄・辺野古新基地建設反対など一連の国の違憲立法や重要課題に対する請願を区議会は採択し、政府に対し要望書を提出してきました。こうした議会の動向への区長の見解と、区としても明確に意思を発信すべきと考えますが、伺います。
(区長答弁)
 最初に、政治姿勢に関するご質問にお答えします。
 まず、現内閣についてのお尋ねですが、国の政策等については、多くの議論や、国内外の情勢等を踏まえて進められているものと認識しております。
 次に、安全保障についてのお尋ねですが、安全保障は国の専管事項であり、国内外の情勢等を踏まえて進められているものと認識しております。なお、ご指摘の国政の課題に関する請願の審査結果については、区議会としての意思であり、区は見解を述べる立場にはありません。


区民負担増とサービス切り捨てをやめ、基金活用で暮らし支援を
(まんだち幹夫区議)
 2017年度決算と来年度予算編成にあたって、区政のあり方について伺います。昨年度決算の実質収支額は約49億円を超え、基金総額は前年からさらに6億円増えて過去最高を更新し679億円となりました。成澤区政の11年間だけで約380億円を超える基金が増えるという異常なため込みとなっています。現状での区民一人当たりの積立額と、その東京23区での位置を伺います。
 区は、基本構想実施計画の財政見通しで、平成29年度から3か年で200億円以上基金が減り、さらに10年後、平成38年度末までには、残高が210億円まで減ると推計しています。しかし実際には、既に平成29年度末で599億円の基金総額見通しに対し80億円も増えているのが実態です。多額の財政調整基金を取り崩さないと予算が組めないという見通しを立てながら、しかし毎年基金が増え続けているのが実態です。基本構想実施計画の財政見通しの見直しと、基金の積立と活用の考え方の見直しを求め、伺います。
 区の基金総額を知った区民からは、「知らないことばかりでびっくりしました。基金はどのように使われるのでしょうか」「区民のお金なので、貯め込むくらいなら返して下さい」などの声があがっています。この基金積立がどのようにして進められてきたのか、区民に明らかにすべきです。
 5月から配布した区議団の「文京区民アンケート」には1千人を超える区民から回答が寄せられています。「くらし、雇用、営業」が、「悪くなった」「変わらない」を合わせると実に94.2% でした。
 「国民年金のみにて暮らしています。その年金も2カ月で8万円です。私のように低収入の者にも介護保険料は知らないうちに上がってきます。私は介護を受けてまで生き続けたいと思いません。歩けなくなったらその時は自分で覚悟を決めています。」という高齢の女性。「特養ホームをもっと作るべき。この国は死ぬまでお金を搾り取る。特養は200人待ちといわれ、母は入ることができずに亡くなった。家での介護はお金持ちの政治家にはわからないだろう。ヘルパーやショートスティを利用しても解放される訳ではなく、2年間で心中を考えるほど、心身ともに疲れ果ててしまい、家族間では喧嘩が絶えなかった。」―こんな悲痛な声がアンケートに数多く寄せられています。
 暮らしへの不安が続く中、区は6年前に「受益者負担」の考え方のもと、区施設の使用料や手数料のいっせい値上げ、幼稚園・育成室の保育料の値上げを行いました。この間で幼稚園保育料は2倍に、育成室は2.5倍になりました。さらに来年度、3回目の改定時期を迎えます。この6年間に増えた区民負担総額はいったいいくらになるのか。使用料、保育料それぞれ伺います。
 また、政府の度重なる社会保障改悪によって各種保険料も値上げが続いていますが、現区政が始まった2007年対比で、介護保険料の基準額の変化と、年収300万円の夫婦と子どもの4人世帯の国民健康保険料の変化を、値上がり額と倍率を伺います。
 生活保護利用者には、10月からの生活扶助費平均5%削減が計画されています。利用者全体の67%、利用者の8割を占める単身世帯では78%が減額になるなど暮らしを直撃するものです。憲法25条に保障された「健康で文化的な生活ができる最低限度の生活水準」を壊す基準の設定は違憲と、憲法学者からも指摘されています。こうした事態にも、自治体としての命と生活を守る対応が必要ですが、伺います。
 利用料や保育料、保険料の区民負担の増大や、かつての紙おむつ現物支給事業も要介護度3以上に見直され、布団丸洗いサービスも廃止されたようにサービスも切り縮められてきました。必要な区有施設や教育施設の改修や改築は進めながら基金積立は見通しを超えて増え続けているもとで、春日後楽園駅前再開発事業補助金には100億円という追加投入を議会にも諮らず決定し、結局、もっとも守るべき暮らしへの支援が切り崩されているのではないですか。区民のために、とりわけ支援が必要な方々に対して行政のやるべきことをやらずに基金にまわす、これが貯め込みの構図ではないでしょうか。併せて伺います。
 受益者負担の適正化による使用料や保育料の値上げは、今の財政状況から見ればまったく必要がなかったと言えます。とりわけ保育料は幼児教育の無償化の流れに逆行するものです。これ以上の負担増は、キッパリとやめるべきです。各種保険料の値上げも、区の独自支援でやめるべきです、併せて伺います。
 生活困窮者学習支援に通う児童の中には、自宅では暑くて勉強がでず「涼しいから」と早くから学習会場に来る子、おやつのとき「初めてケーキを食べた」という子もいると聞いています。仕事確保や住宅政策、くらし支援制度など貧困に陥らない対策が区政に問われています。子どもの貧困対策のための実態調査の早期実施と、文部科学省も学校給食費の実態調査に乗りだしたことも受け、全国76自治体、4.4%が実施している小中学校の給食の無償化をぜひ文京区で率先して実施すべきと考えますが、併せて伺います。
(区長答弁)
 次に、区政のあり方に関するご質問にお答えします。まず、基金残高と「基本構想実施計画」の財政見通し等についてのお尋ねですが、平成29年度普通会計決算の速報値における区民1人当たりの基金総額は30万5,000円で、23区中、多い方から5番目となっております。
 実施計画における基金の積み立てについては、当初予算額から一定の決算剰余金を見込み、財政調整基金及び特定目的基金に積み立てるよう推計しております。しかしながら、財政見通しでお示ししているとおり、投資的経費等に充当する特定目的基金からの繰入れに加え、単年度収支不足額も増加を見込んでいることから、総基金残高については大きく減少するものと推計しております。
 今後も、適切な予算編成と執行により生じた財源を、基金に積み立てるとともに、行政需要に応じて有効に活用してまいります。なお、現時点では、基金の中長期的な見通しを見直す考えはございませんが、今後、予算編成時や決算時の実績等を比較し、分析を行ってまいります。また、基金の状況については、区報で区民へ広く周知するとともに、区ホームページの「文の京の財政状況」において、基金の推移について、公表を行っております。
 次に、受益者負担の適正化による影響額についてのお尋ねですが、25年度から30年度までの6年間における会議室等貸出施設の、利用料金を含む、施設使用料については、約3億2,200万円、育成室や幼稚園の保育料については、約2億9,900万円と見込んでおります。
 次に、介護保険料等の変化についてのお尋ねですが、介護保険料の基準額は、19年度は64,700円、30年度は72,200円であり、7,500円、約12%の増となっております。また、ご指摘の条件で国民健康保険料を算出した場合は、概算で、19年度は24万4,600円、30年度は34万8,500円であり、10万3,900円、約42%の増となっております。
 次に、生活保護基準改定後の対応についてのお尋ねですが、生活扶助費を含む生活保護基準については、社会保障審議会生活保護基準部会の報告を踏まえ、国が定めたものであり、減額幅の配慮もなされていることから、区としては、国が定めた方針に基づき、適正に対応してまいります。
 次に、区民への支援施策と基金の積立等についてのお尋ねですが、これまでも、当初予算編成において、重点施策を始め必要な事業を予算化しており、補正予算においても緊急性のある事業等について、予算化を図ってきたところです。また、大規模な学校施設整備等に対応するための特定目的基金繰入れや、歳入不足額を補填するための財政調整基金繰入れなど、基金の活用も図っております。今後も、区民ニーズ等に的確に対応すべく、喫緊の課題や優先度の高い施策について、適切に予算化してまいります。
次に、各種保険料についてのお尋ねですが、各種保険料の改定については、法に基づき適正に対応してまいります。
 次に、子どもの貧困対策のための実態調査についてのお尋ねですが、子どもの貧困とは、親の貧困であり、その現状や実態を把握することは容易ではありません。そのため、29年度及び30年度の重点施策である「子どもの貧困対策」の事業実績を検証するとともに、子ども宅食プロジェクトのアンケートの集計結果や、本年度に実施する「子育て支援に関するニーズ調査」の結果を参考にしてまいります。


公有地に加えて、民有地の活用で福祉施設の整備を
(まんだち幹夫区議)
 6月、茗荷谷の都バス大塚車庫跡地活用の都交通局の公募条件が明らかになりました。区民からの要望の強かった認可保育園に加え、育成室と一時保育所が福祉施設として含まれたことは成果です。しかし特養ホームや公営住宅は交通局が業務用定期借地として貸借する方針の下で実現しませんでした。
 交通局から文京区に福祉利用の意向調査がきた平成27年12月、「福祉インフラ整備について、具体的意向はありません」と区は回答しました。その後、区民の運動や毎議会での私たちの質問、そして2度にわたる請願の採択で福祉活用方針に切り替えました。区民の福祉増進の立場から、基金の有効活用も考えて早く結論を出していれば、そして区と議会、区民との共同による交渉を推進すれば要望もかなったのではないか、その立場から区の対応の検証をすべきです。今からでも最大限の努力をはかり、特養ホームなど区民要望を汲み尽すべきです、併せて伺います。
 さらに子育て・福祉の拡充のためには、公有地活用にとどまらず、民有地の活用も含めて大きくアンテナを張るべきです。報道によれば共同印刷鰍フ建て替えが決まり、本社建物と工場を含めた約22,000uに、5,400uの新たな社屋を2022年3月に竣工する計画です。同社は敷地内に発生する広大な余剰地の有効活用の検討をしています。共同印刷の土地の定期借地等により、保育所など福祉施設の整備の検討、交渉を行うことを求め、伺います。
(区長答弁)
 次に、都営バス大塚支所跡地の利活用についてのお尋ねですが、本事業は、都交通局において、不動産の有効活用を進め、経営基盤の強化を図るため、計画されたものです。
 本区としては、地域貢献への観点から協議を重ね、地域活動センターや、図書館サービス機能、自転車駐車場のほか、区議会で採択された請願の内容をしっかりと伝えるとともに、保育所、育成室、キッズルームの整備を要望してまいりました。こうした経緯から、区としての要望が反映された公募が既に開始されており、新たな要望や対応についての検証を行う考えはございません。
 次に、民有地の活用についてのお尋ねですが、小石川四丁目民有地の所有者からは、不動産の有効活用を図るため、土地賃借による事業企画提案を募集すると聞いております。利活用にあたっては、大規模建築物等における保育施設の設置について説明し、要請を行っているほか、地域貢献の観点から、引き続き、必要な協議を行ってまいります。


認可保育園の待機児ゼロを実現する対策を
(まんだち幹夫区議)
 保育について伺います。今年4月の文京区の待機児は100人と公表されていますが、この数は認可外保育所で保育されている乳幼児と育児休職中で、保育所にどうしても入れたいと確認できた家庭以外は待機児として数えないという、待機の実態を覆い隠す国の方針に沿った数であり、待機児の実態と大きな乖離があります。育児休職中や認可外の保育所、幼稚園の預かり保育等いわゆる隠れ待機児を含む、待機児童数は717人にのぼります。昨年度保育所13カ所増設したものの、新たな入所希望者が増え昨年比では待機児は65人減少した結果となりました。区の努力は評価しますが、待機児はゼロにしなくてはなりません。今年度の待機児ゼロの見通しがあるのか、新たな設置決定件と検討中の件数・定員数を伺います。また、その現状に対しての区の認識、今後の方針を答えて下さい。
 白山4丁目の最高裁判所白山宿舎跡地の保育所建設計画は残念ながら撤回となりましたが、今後の高齢者施設や公園としての活用可能性について答えて下さい。
 保育所が急増する中で、園庭のない保育所が急増し、1つの公園に何カ所もの保育園が集まり、自分の園の子を確認するのに必死で豊かな遊びどころではない事態があります。区立園のプールを借りる私立園の保育士は、猛暑の中、水の入れ替えを含め2回往復し、子どもたちも炎天下に帰りには汗びっしょりで本当に可哀そうだという声が出ています。「量の確保」と同時に「質」を確保する方策を抜本的に講じることが急務です。これでは豊かな遊びどころかいつ事故が起こるか予断を許しません。園庭も、隣地に公園もない認可保育所はいくつあるか伺います。
 小規模保育所の認可により、小学校に入るまで園庭もなく狭い保育所で育つ児童が増えてきます。どの子どもも発達が保障されるよう、運動、言語、遊び、認識など比較調査し、対策を講じる必要があります。調査と、子ども同士の豊かな育ち合いのための援助、対策をもとめ、具体策をうかがいます。
(区長答弁)
 次に、保育施策に関するご質問にお答えします。まず、今後の保育所整備方針についてのお尋ねですが、平成30年度期中及び31年度当初において、区内に認可保育所5施設、小規模保育事業2施設、家庭的保育事業2施設を新たに開設し、合計409人の定員を確保できる見込みです。また、これらの計画以外にも、複数の事業者と来年4月の開設に向けた具体的な協議を行っているところであり、引き続き、保育所待機児童の解消に向け、私立認可保育所を中心とした開設を積極的に進めてまいります。
 次に、白山四丁目の旧最高裁判所白山宿舎跡地についてのお尋ねですが、本区では、保育所の整備用地として検討を行いましたが、諸条件を考慮した結果、取得には至りませんでした。現在、国では、当該財産に係る土地利用のあり方を含め、処分方針を検討中であり、区において活用する考えはございません。
 次に、私立認可保育所等の遊び場確保についてのお尋ねですが、屋外遊戯場が敷地内に確保できない場合、近接地に公園等を代替遊戯場として設けることが認可基準上求められております。したがいまして、区内認可保育所については、敷地内または代替遊戯場いずれかの屋外遊戯場が設けられております。しかしながら、新設園の増加に伴い、一つの公園に複数の保育所が集中する状況も発生していることから、遊び場確保に向け、区立小・中学校校庭の利用調整、六義公園運動場及び後楽公園少年野球場の活用、区立保育園との連携による施設利用を進めてまいりました。また、区内企業の協力を得てホールの開放等を実施するほか、公有地を活用して整備する保育所については、園庭やプール等を近隣園が利用できるよう協力を求めるなど、新たな場所の確保についても取り組んでおります。さらに、本年度、旧元町小学校校庭の利用について、学校法人と協議の上、近隣園と調整を進めているところです。
 限られた環境の中でも、安全確保等に配慮し、児童の心身の健全な育成を保障するため、引き続き様々な方策について検討してまいります。
 次に、小規模保育施設への援助・対策についてのお尋ねですが、園児間の発達に関する比較調査を行う考えはございませんが、区では、認可保育所等への指導実績がある園長等経験職員による巡回を実施しており、小規模保育施設の子どもたちの発達に資する指導やアドバイスを行っております。今後も引き続き、丁寧な指導やアドバイスを行うことにより、子どもの成長・発達を最大限に促す工夫をしてまいります。


保育士の処遇改善で、保育の質の確保を
(まんだち幹夫区議)
 区内認可保育園職員の平均経験年数は5年以下が多く、保育士の賃金は全産業平均と比べ月10万円の差があると言われます。認可保育園職員の給与引き上げ・待遇の改善を国・都・区でさらに図る事が必須ですが、伺います。
 保育園と幼稚園の格差解消について伺います。保育の外遊びには幼稚園と同様に、保育計画に沿った集団的・個別的保育指導ができる場所が必要です。保育園と幼稚園の保育指針を統一したわけですから、子どもの育ちに格差が生じないよう遊び場の確保を進めること、その際、空き家対策等とも関連させることなど、区が積極的対応策をとるべきです。伺います。
 また、認可園などが公立保育所のプールを使用する場合の人員を配置すること、猛暑対策として往復のマイクロバスを手配すること、別の場所に何らかのプールを確保することなど、どの子にも同じように遊びを保障することは区の責務です。暖かい答弁をお願い致します。
 保育の質を担保するためには、保育士等職員の継続性が必須です。厚生労働省や内閣府の想定では、事業活動収入の7割〜8割が人件費とされています。今年4月に発行された岩波新書「ルポ保育格差」によると、文京区西片にある社会福祉法人立の認可保育園では、26.5%と23区でワースト3にランキングされておりショックを受けました。それは改善されたのか、また、文京区の他の認可園の保育従事職員の人件費割合は、厚労省等の想定以下のところがどれだけあるか、20%台、30%台、40%台など具体的に答えて下さい。待遇と保育従事者の継続性、保育の質には連関性があります。区の認識、対策を伺います。
 また、保育の質向上のための都の「キャリアアップ補助金」を受ける施設は、人件費比率、平均勤続年数など記載された財務諸表を職員や保護者に公開する義務があり、保育所内の分かりやすい場所に掲示されていなければ、この補助は都に返金しなければならないとされていますが、実施されているか、調査し、答えて下さい。
 認可保育所が急増する中、区立、社会福祉法人立、株式会社立、企業主導型、ベビーホテルなど様々な運営形態の保育所が混在するようになりました。給与など待遇をどう把握しているのか、区職員と比較しどのような水準か、また、民間で働く職員の継続性、退職の実態、保育への影響、区の指導等について伺います。
 企業主導型保育所は国の管轄で、指導監督は国が行うとなっています。しかし同じ区民の子どもです。国の指導監督内容が区の共通の認識となるよう、情報の区への提供を要請すべきです。また、区の研修会や、保育交流会等への案内を他の認可園と同様に行い、交流できる条件を担保すべきです。伺います。
 世田谷区は新システム施行に合わせ、事故報告等の提出義務、施設ごとの経理区分、財務諸表の公表、職員賃金台帳の整備、出頭命令、立入検査の権限を定めた「特定教育・保育施設及び特定地域保育授業の運営の基準等に関する条例を」制定しました。そして、人件費比率が50%以下の事業者には区独自の補助金支給をしないなどの措置も取り入れました。文京区も保育の質確保策としてぜひ導入すべきと考えます。積極的答弁を求めます。
 さらに、保育所の急速な拡大の波が学童保育に押し寄せています。文京の学童保育の質を維持し、職員資格の緩和を許さず、「鍵っ子」を出さない決意と今後の設置計画を具体的にお聞かせ下さい。
(区長答弁)
 次に、認可保育所職員の給与等待遇の改善についてのお尋ねですが、保育士等の処遇改善策として、給与の算定基準に、人件費に充当する「処遇改善等加算」が27年度に創設され、昨年度には技能・経験に応じた「処遇改善等加算U」が新たに加わりました。この他にも「保育士等キャリアアップ補助金」や「保育従事職員宿舎借り上げ支援事業補助金」等があり、これらを積極的に活用し、保育従事者の処遇改善を図っているところです。今後も、国や都の補助制度を積極的に活用するなど、保育従事者の処遇改善策に取り組んでまいります。
 次に、人件費等についてのお尋ねですが、設置主体が社会福祉法人や公益財団法人等の認可保育所については、保育士等キャリアアップ補助事業の実施主体が都になっております。ご指摘の認可保育所は、都の所管となっており、現時点において、29年度財務情報等が未公表のため、人件費率が前年度と比べて改善されているかは把握できませんが、直近で実施した巡回指導において、運営状況に問題のないことは確認しております。
 一方、設置主体が株式会社や学校法人等である認可保育所や小規模保育事業等については、補助事業の実施主体が区市町村になっております。本区において財務情報等を把握している園は、補助金を支給している31園であり、事業活動収入に占める保育従事職員給与支出の割合は、29年度実績として20%台が1園、30%台が13園、40%台が8園、50%台が9園でした。これらは、人件費支出のうち、施設長、事務長等を除く「保育従事職員」の給料・賞与支出となっているため、低く抑えられた数値となる傾向があります。
 なお、処遇改善は、保育従事者の確保・定着及び保育サ−ビス向上を図ることを目的として実施しており、各種補助金の実績報告等を通じ、適切な執行の確認を行っております。また、保育士等キャリアアップ補助金等を支給した園には財務情報等の提出を求めており、31園においては、掲示による公表や職員への周知が適切に実施されていることを確認しております。
 次に、給与等待遇の把握についてのお尋ねですが、私立認可保育所等勤務職員については、職層別のモデル賃金及び施設職員全体の平均給与月額を把握しております。しかしながら、給与体系等が異なるため、直接的に区職員の給与と比較することは難しいと考えております。
 また、設置者の運営形態や事業実績等により、職員の継続性、退職の実態は異なりますが、保育への影響がないよう個々の施設や職員の状況に基づいた指導を実施しております。
 次に、企業主導型保育事業所についてのお尋ねですが、公益財団法人児童育成協会が行った指導監査において、適正な保育内容及び保育環境の確保の観点から重要と思われる内容については、都道府県を通じて区市町村に情報提供されることになっております。また、講習会等については情報提供を行い、交流の機会にしてまいります。
次に、保育の質を確保するための取り組みについてのお尋ねですが、本区においても、「子ども・子育て支援法」の施行に際し、「特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営の基準に関する条例」を制定し、保育事業者が遵守すべき基準を定めております。区では、指導検査を実施するとともに、処遇改善の取り組みを促すことにより、保育の質の確保に努めてまいります。


教育施設のブロック塀の早期改修を
(まんだち幹夫区議)
 大阪北部地震後の対応について、伺います。
 大阪・高槻市では、学校のブロック塀の倒壊で小学生の幼い命が失われました。高槻市の学校は国の基準で耐震化率100%でしたが、ブロック塀等は対象外で、これが盲点となって今回の悲劇が起こったという背景を胸に刻む必要があります。安全であるべき学校で命が失われるようなことがあってはなりません。
 文京区でも学校施設のブロック塀等の点検が行われ、林町小、一中、文林中、柳町子どもの森、青柳小、根津小で撤去や補強の工事が行われていますが、災害被害の予防対策の「盲点」はこれで一掃されるのか、伺います。
 校舎の耐震化は、わが党も阪神淡路大震災以来、要求し、耐震化率は「100%」と報告されています。一方、文科省の基準では学校の「渡り廊下」は事実上、耐震化の対象外だったことが、わが党の辰巳参院議員の質疑で判明しています。文林中の渡り廊下や校舎の接続部などの耐震化の状況はどうか、伺います。
 私たちが実施した学校施設調査の中で青柳小では護国寺と、関口台町小では椿山荘との間の万年塀等のように、敷地境界の塀について、早急に持ち主を確定しなければ点検や改修などの安全対策につながらない等の課題は、他の学校を含む区有施設でもあるのではないか、把握状況を伺います。
 さらに6月22日に厚労省が「安全点検の状況についての確認について」との事務連絡を出していますが保育所や児童館、高齢者施設などの福祉施設のブロック塀などについて、把握状況と対応を伺います。
 区は小学校の通学路174`、504路線の沿道のブロック塀について点検を行っていますが、劣化・老朽化し課題が抽出されたところでは、所有者に対し、改修費用や対象を広げるなど、区の支援が重要だと考えます。
 また、通学路に限らず、区内全ての道路、細街路に面したブロック塀などの点検を行うことも必要です。現に、本郷弥生交差点に面した東大の壁に「地震の際には近づかないで下さい」と張りだされましたが、朝晩には歩道は人で一杯です。当局に点検と劣化した壁の安全対策を、一気に行うよう要請すべきですが、見解を伺います。
(区長答弁)
 最後に、大阪北部地震を踏まえた区の対応に関するご質問にお答えします。
 まず、ブロック塀の把握状況等についてのお尋ねですが、区有施設と区立学校等の安全点検調査を行い、建築基準法に適合していない可能性のある14施設と、建築基準法に適合しているものの、安心・安全を最優先して対応を行う4施設のブロック塀等について、本年度、撤去の上、改修を行ってまいります。また、民間所有者と隣接するなど、協議調整を要するブロック塀等については、今後、調査し、隣接地所有者等との協議を行ってまいります。
 次に、東京大学の塀についてのお尋ねですが、現在、大学においてご指摘の塀の外観調査を行っており、今後、内部の詳細調査を行い、適切な対応を図っていくと聞いております。
(教育長答弁)
 次に、学校施設の災害被害の予防対策に関するお尋ねですが、ブロック塀等については、大阪北部地震を受け、職員による学校及び幼稚園の点検を既に行い、対応が必要な施設については、現在、撤去や是正の工事を順次実施しております。
 また、耐震改修促進法の対象の規模に満たない渡り廊下等については、耐震診断等は行っておりませんが、建築基準法の規定による定期調査や、必要な改修等を行っているところです。なお、その他の建築物についても、建築基準法等の法令や関係省庁の通達に則り、適切に維持・管理しているところです。


中学校の道徳教科書選択について
(まんだち幹夫区議)
 中学校で来年度に使われる道徳の教科書採択について伺います。
 「特別の教科 道徳」は国が定めた「節度」「感謝」「愛国心」等、22の徳目を満たし、検定済み教科書で授業が行われます。国が定めた特定の価値観が押し付けられ、子どもの内面が操作され、成長・発達がゆがめられないか懸念は尽きません。文科省は教科化にあたり「数値で評価して他の子どもたちと比較したり、入試で活用しない」としましたが、区の教科書展示で77人から寄せられた40項目の意見の中には「教科書によると大人の考えの押し付けになる」と意見が寄せられています。区民意見や教員の意見は教育委員に全て示されたのか、採択にどう反映されたのか、伺います。
 特に、文京区が採択した教育出版の教科書には「心かがやき度」を3段階で生徒自身に自己評価させる欄があるのを始め、8社中5社の教科書に自己評価欄があり、研究者からは「学習指導要領の趣旨に抵触しているのではないか」との指摘があるほどです。
文科省は今年3月の通知で「綿密な調査研究を踏まえ」「採択結果や理由」について保護者・住民への説明責任を果たすことが重要だとしています。5社の自己評価欄について、展示会の区民意見と教科書図書調査研究会、審議会でどんな意見・議論がされたのか、教育出版の「心かがやき度」への心配の声はないのか、伺います。
 教科書採択を行った8月9日の教育委員会では、答申や区民意見、研究会の内容などの資料は傍聴者に配布されず、8月末まで時限秘され情報公開申請すら受け付けませんでした。ところが、8月24日には区HPで答申、区民意見、研究会のまとめが公開されました。本来これらの資料は教育委員会で傍聴者へ配布し改善すべきですが、時限秘にしてきた根拠とあわせて伺います。
(教育長答弁)
 次に、道徳の教科書採択に関するご質問にお答えします。まず、区民や教員の意見についてですが、教科書センター等に寄せられた区民等の意見、及び各中学校に設置された研究会から聴取した教員の意見は、全て教育委員に示してございます。
 次に、意見が採択にどのように反映されたのかとのお尋ねですが、採択までには、区立中学校の教員で構成された教科用図書調査研究委員会において、審議資料をまとめ、学校関係者や区民委員等で構成された中学校教科用図書審議会では、審議資料と展示会実施報告及び寄せられた区民意見等をもとに審議し、教育委員会に答申しております。教育委員会では、その答申に基づき議論が行われ、採択に至っております。
 次に、自己評価欄についてのお尋ねですが、展示会では、子どもが自分の心を評価することの難しさについての意見がありました。また、調査研究委員会では、生徒が教材を通して学習した内容を振り返ることの重要性について、審議会では、学びを振り返り深める際の、家庭との連携や指導上の工夫についての意見がありました。なお、「心のかがやき度」については、特に心配の声はございませんでした。
 次に、教育委員会における資料の傍聴者への配付についてのお尋ねですが、教科書採択における公正確保の徹底に努めることから、採択の手続きが終了する前に採択に関する資料を配付することは考えておりません。
 次に、採択に関する資料を時限秘としてきた根拠についてのお尋ねですが、審議会等では、採択の公正確保のため、教科書採択期間である8月31日までを時限秘としておりましたが、今年度は9日に採択を行い、手続きが31日より前に整ったことから、審議会等の了承を得て、24日に公開したものです。
 次に、教員の業務に関するお尋ねにお答えします。まず、区立小学校教員の週当たり平均持ち時間数についてのお尋ねですが、学級数と専科教員の配置により、学校によって担任の持ち時間数も異なってまいりますが、最大値は26時間で、最小値は21時間です。個別の調査は実施しておりませんが、小学校教員は週当たりおよそ25時間程度の授業を担当しております。


教員の定数増と少人数学級を求める
(まんだち幹夫区議)
 教員の定数増と少人数学級を求め伺います。
 「子どもたちが下校するまで休憩時間すらない」という学校現場の悲痛な声には明確な原因があります。義務教育法が想定する小学校教員の1週間の持ちコマ数は26ですが、文科省調査で1日当たりの授業時間は4時間25分で、単純計算で週あたり約29.4コマ、ほぼ毎日6時間授業と言うのが常態化しているのです。文科省の初等中等局長もわが党の畑野衆院議員に国会で認めています。そこで、区立小学校の教員の週当たり平均持ちコマ数と最大・最小値を伺います。
 教員の多忙化を解消にはコマ数削減しか、道は無いのです。文科省も2017年11月の臨教審「中間のまとめ」で教員の業務量が正規の時間内で終わらないことを認めています。しかし、教員増員は打ち出していません。
 幸い文京区議会は区独自に35人学級を求める区民の請願を採択しました。請願趣旨に沿い、国に35人数学級の実現を求める共に、区独自に実施することを求めます。また、教員の実態把握のため、直ちにタイムレコーダーを設置すべきです。また、教員の労働安全衛生の確保のためには現在の1人の産業医しかいないのでは学校巡視すらなかなか回ってこないことになります。産業医を少なくとも1人増員し教員の健康確保に区が本気で取り組む体制を作るべきです、それぞれ伺います。
(教育長答弁)
 次に、区独自で35人学級を実施することについてのお尋ねですが、区が独自に教員を採用して学級編制を行うことは、安定的な人材確保や異動・昇任等の人事管理上の課題があるため、困難なものと考えております。
 特別区教育長会では、これまでにも、東京都教育委員会に対して、小学校第3学年の35人学級について加配措置を要望しており、今後も働きかけてまいります。
 次に、教員の勤務の実態把握についてのお尋ねですが、教員の出退勤時間を把握するため、今年度、現在の校務支援システムに出退勤記録機能を追加する予定です。
 次に、学校等における安全衛生の取組みに関するお尋ねですが、平成29年度から新たに教育委員会独自に安全衛生委員会を設置し、区立の小・中学校及び幼稚園の職場巡視や相談体制の整備など、教職員に対する安全衛生への取組みを行っているところです。
 当面、産業医の増員については考えておりませんが、引き続き効果的な安全衛生事業の推進に努めてまいります。


根津地域の中学校へ特別支援学級の設置を
(まんだち幹夫区議)
 根津千駄木地域の中学校での特別支援学級開設を求め伺います。
 昨年、特別支援学級の平成30年度開設を求める請願が採択されたものの、区は平成31年度開設を困難とし、請願趣旨の実現に背を向けていることは重大です。
 7月以降、文京区特別支援学級連絡協議会、汐見、根津地区の町会長連名で開設を求める要望書が出され、区はしおみ学級の4〜6年生の保護者にヒアリングを実施しました。区は八中に支援級開設を希望するのは31年度2人、32年度3人、33年度5人と把握しています。
 しかし、8月22日に教育委員会が行った町会長などに向けた説明でも「31年度開設は困難」としたことは当事者の児童、保護者や地域の意思を棚上げするものです。
 しかも、困難な理由として支援を必要とする児童数は増えていないとし、1学級8人が東京都の学級編成の方針との説明もありました。
 区の教育振興計画が特別支援教育の方向性とする「個別の教育的ニーズに応じた支援体制の充実を図る」との観点に本気で立ち、8中に特別支援級を31年度に開設すべきです、伺います。
(教育長答弁)
 最後に、根津・千駄木地区の中学校への特別支援学級開設についてのお尋ねですが、中学校の知的固定制特別支援学級については、現在、地域バランスに配慮し3校に設置しております。この間、各校2学級編成、教員3名配置を維持してまいりましたが、近年の在籍者数は増加傾向にはなく、本年4月の新入生が0となった学校もある状況です。
 こうしたことから、新たな知的固定制特別支援学級の設置については、平成31年4月の中学校特別支援学級への入学状況及び、学級数や教員配置数の変動も踏まえ、入学する生徒や保護者、地域の方々の意見を伺いながら、平成32年度に向けて、引き続き検討してまいります。



都バス車庫跡地活用

info.情報

日本共産党文京区議会議員団

〒112-0003
東京都文京区春日1-16-21
        文京区議会内
TEL.03-5803-1317
FAX.03-3811-3197