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日本共産党文京区議会議員団は、区民のための区政を目指します

〒112-0003 東京都文京区春日1-16-21 文京区議会内

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議会報告Congress report

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2018年文京区議会2月定例議会
代表質問 こうだ久美子区議     2018年2月13日

来年度予算案と区政運営について
ミサイル避難訓練への文京区の協力について
民泊規制の強化について
簡易宿所を規制できる条例の強化について
子どもの貧困対策拡充について
保育園待機児解消について
障害児教育の環境整備について
図書館の指定管理について
湯島総合体育館の指定管理について



◎来年度予算案と区政運営について
(こうだ久美子区議)
 最初に来年度予算案と区政運営について伺います。
 国の来年度予算案では、6年連続で増え続ける防衛費が、過去最高の5兆2千億円と異常に突出しました。安倍政権による9条改憲策動の下、米国の戦争に日本が参戦する態勢づくりのため、際限のない大軍拡への本格的な一歩を踏み出す極めて危険な軍事予算となっています。
 その一方で、概算要求時に6,300億円と見込まれた、高齢化や医療技術の進歩によって増加が避けられない社会保障費の「自然増」を1,300億円以上も削り込みました。来年度予算案で特に直撃されたのは、生活保護の扶助費を最高で5%切り下げ、今年10月から3年かけて160億円も削減することです。さらには目玉にしていた「幼児教育・保育無償化」については先送りです。
 異常な大軍拡は憲法9条に真っ向から反します。生活保護をはじめとする社会保障破壊は、憲法25条の生存権保障などに完全に逆らうものです。こうした改憲に異常な執念を燃やす安倍政権の憲法無視の暴走政治にストップをかけることが今、急務となっています。区長の政府予算案への認識とともに、このような国政のうごきだからこそ、区民の命と健康を守る立場での予算編成が求めれていますがどのように考えているのか、伺います。
 施政方針で区長は、区政運営について、諸課題解決のための分野 横断的協力の必要性を強調しながら「区だけで課題を解決するといった発想を超え…」「固定観念にとらわれない」取り組みの推進を呼びかけています。具体的にどんな課題を指し、施策の運営をしたいと考えているのか、伺います。
 この間、区は、認可保育園増設では私立中心に、高齢者などの福祉施設も民間事業者の誘致で事業展開しています。しかしまさにその中で、保育園をはじめ図書館、戸籍住民課窓口などでの職員の大量退職など、その弊害が噴出しています。区長が言う「民間を含めた…お互いの強みを生かす」とは、効率性や採算優先の運営と言うべきものではないですか。経験豊かな職員が支える安心できるサービスが提供できる区立認可保育園を増やすこと、区がしっかりと住民福祉増進の立場で区政運営に臨むことが強く求められていると思いますが、伺います。
 来年度予算案は過去最大規模の966億4,700万円となりました。この間、我が党が強く要望してきた、子どもの貧困対策の拡充や小学校の改築、全小中学校でのトイレの洋式化が進むなど、これは前進面として評価いたします。
 一方、民生費が今年度比で2%増なのに比べ、都市整備費や土木費は約20%と著しく増額しています。投資的経費226億円のうち、春日後楽園駅前再開発事業助成とシビック改修費の合計予算額と、その占める割合はいかがか、また平成31年度以降の再開発助成とシビック改修費の傾向について、併せて伺います。
 「アベノミクス経済」の下、湯水のように補助金をつぎ込みながら再開発事業を進め、また円安や株高で大もうけした大企業のため込みは過去最高の400兆円を超え、一握りの富裕層が金融所得などで潤う半面、非正規で働く人など年収200万円以下の労働者は4年連続で1,100万人を上回っています。国内総生産の約6割を占める個人消費も低迷を続け、来年10月に迫った消費税8%から10%への増税も国民の不安をかき立てています。
 こうした状況のもと日本共産党区議団は、今議会の予算委員会においても、憲法に保障された区民権利を守り、子育て支援、高齢者・障害者の福祉や教育予算の拡充、商店街振興、防災予算などの修正を予定しています。なにより、今年度末時点で過去最高額となった679億円に達した積立基金を区民のために有効活用すべきと考えます。
 具体的には、幼稚園保育料に続き育成室保育料の値上げを中止すること、乳幼児医療費助成を入院給食費まで対象にすること、ますます利用対象を絞り込む介護保険制度の中で区独自の介護ヘルパー派遣事業を行うことや、生活保護世帯への独自支援や耐震補強工事助成の拡充、少人数学級の実施学年の拡大など、すぐにでも区としても対応すべきです。見解を伺います。
(区長答弁)
 最初に、来年度予算案と区政運営に関するご質問にお答えします。
 まず、国の予算案への認識等についてのお尋ねですが、ご指摘の安全保障費及び社会保障費を含めた予算案については、国において十分な議論がなされるべきものと認識しております。
 また、区の予算編成については、今後とも国の動向等を注視し、適時適切に対応してまいります。
 次に、区政運営の課題についてのお尋ねですが、区では、子育て・介護・防災・まちづくりを始めとした様々な課題への対応が求められており、とりわけ、厳しい待機児童の現状や急速に進行する高齢化、単身高齢者の増加への対応等は、喫緊の課題であると捉えております。
 次に、区政運営の方針等についてのお尋ねですが、自治基本条例では、「協働・協治」を自治の基本理念に位置付け、区民やNPO等との協働や、審議会等への区民参画等、豊かな地域社会を実現するための様々な手法を取り入れてまいりましたが、複雑化している社会的な課題を解決し、多様化する区民ニーズにきめ細かく応えていくため、これまでの発想を超えて取り組んでいくことが求められています。
 そのため、様々なセクターとイコールパートナーシップのもと、それぞれが持つ長所・短所を十分に共有し、お互いの強みを生かすことで、スピード感を持って、効果的に課題を解決し、質の高い行政サービスへとつなげていくことが必要と考えております。
 子どもの貧困対策では、NPO団体等とコンソーシアムを構成し、「子ども宅食プロジェクト」を展開することで、それぞれの強みを生かした事業展開ができたものと認識しており、このような取り組みを、更に広げてまいりたいと考えております。
 次に、区立認可保育園の増設についてのお尋ねですが、本区では、これまでも良好な事業者から保育所開設の事業提案をいただいており、今後も「子ども・子育て支援事業計画」に基づき、民間活力を活用し、私立認可保育所の整備を中心に待機児童対策を進めていくこととしております。そのため、新たな区立保育園の設置は考えておりません。
 次に、来年度予算案における投資的経費の内訳等についてのお尋ねですが、投資的経費約226億円のうち、春日・後楽園駅前地区市街地再開発事業助成とシビックセンター改修の合計予算額は約73億円で、投資的経費に占める割合は約32%です。
 次に、平成31年度以降の傾向についてのお尋ねですが、再開発助成費については、補助対象となる建設工事が進むため、31年度にピークを迎え、その後は減少していくことが想定されます。なお、助成期間は、33年度までの予定となっております。
 また、シビックセンター改修費は、昨年度に策定した「文京シビックセンター改修基本計画」に基づき、他の区有施設整備に影響を及ぼさぬよう、計画期間の年度ごとに、改修経費の平準化に努めてまいります。
 次に、基金の有効活用についてのお尋ねですが、これまでも、当初予算編成において、重点施策を始め必要な事業を予算化しており、補正予算においても緊急性のある事業等について、適切に予算化を図ってきたところです。
 30年度当初予算においては、大規模な施設整備等に対応するために特定目的基金繰入金として63億2,354万円を見込むほか、歳入不足額を補填するために、過去2番目の規模となる52億6,700万円を財政調整基金繰入金として計上しております。
 今後も、区民ニーズ等に的確に対応すべく、喫緊の課題や優先度の高い施策について、適切に予算化してまいります。
 なお、育成室保育料については、子ども・子育て会議等において幅広くご意見をいただきながら検討を進めてまいりますので、直ちに見直す考えはございません。


◎ミサイル避難訓練への文京区の協力について
(こうだ久美子区議)
 平和をめぐる問題と関連して、ミサイル避難訓練について伺います。内閣官房と東京都、文京区は1月22日午前、北朝鮮の弾道ミサイルを想定した都心で初の住民避難訓練を、東京ドームおよび地下鉄後楽園駅・シビックセンター周辺で実施しました。訓練は、弾道ミサイルが発射され、Jアラート・全国瞬時警報システムを発信した状況を想定し、防災行政無線などによる住民への情報伝達、地下施設や屋内への避難を行いました。これには雪の中、地元町会や企業、都区の職員も参加しました。この訓練を、東京都をつうじて内閣官房から文京区が受け入れた理由と、今後一切こうした動きに共同しないことを求め、併せて伺います。
 住民の命と暮らしを守るのが自治体の役目です。「国民保護計画」に沿って、政府とともに地域住民をまき込んで、住民に不安だけをあおる訓練に駆り立てるのではなく、戦争にならないようにする外交こそを政府に迫るべきではないでしょうか。そして、圧力一辺倒でなく、対話によって北朝鮮のミサイル問題の平和的解決を進めるため、区としても声をあげるべきです。併せて伺います。
(区長答弁)
 次に、「国民保護計画」に基づく避難訓練に関するご質問にお答えします。
 まず、訓練の実施等についてのお尋ねですが、今回の訓練は、国民保護法第42条第1項に基づくものであり、区としては、弾道ミサイルが日本に飛来する可能性がある旨の情報伝達があった場合に、区民等が落ち着いて行動できるよう、屋内避難等の対処方法を周知することが必要であると判断し、実施を決定したものです。
今後とも、国民保護法及び「文京区国民保護計画」に基づき、必要な訓練を行ってまいります。
 次に、北朝鮮のミサイル問題の平和的解決についてのお尋ねですが、我が国の外交と安全保障に関わる問題であり、国において、国内外の情勢等を踏まえて対応していくものと認識しております。


◎民泊規制の強化について
(こうだ久美子区議)
 民泊に関する条例について伺います。
今年6月施行される「住宅宿泊事業法」(民泊法)はこれまで許可が必要だった旅館業法による宿泊営業を規制緩和し、「届出」だけで営業出来るようにするものです。今でも許可を得ていない「違法民泊」がありますが、これを合法化し広げるもので重大です。
 京都では「民泊」仲介サイトAirbandbの登録施設約5000件のうち3000件以上は旅館業法の許可を得ない「違法民泊」といわれ、新宿区では違法民泊が4000件を超し、大田区でも600件近くにのぼるといわれています。文京区の旅館業法による民泊登録件数、また許可なしに営業をしていると思われる件数、区民からの苦情の実態を伺います。今後区内にどのくらいの民泊が開業するとされるのか見通しを伺います。
民泊を巡って今、様々な問題が起きています。
夜中のドアの開け閉めや大きな音、近所のチャイムを鳴らす、早朝・深夜の外での電話、吸い殻のポイ捨て、ゴミ出しのルールが守られない、キャリーバックを引く音等に苦情が殺到しているのです。外国の業者が、区内の空き住宅等を民泊開業目的に借りようとする動きも顕著になってきています。区の「住宅宿泊事業に関する条例」はこうした問題に対処でき、真に「環境の悪化を防止する」ものでなくてはなりません。
 文京区の条例案は新宿区条例と同型で、住居専用地域でも金曜日から日曜まで宿泊事業を可能としています。新宿区は巨大商業地域を抱える区ですが、文京区はほとんどが閑静な住宅地域であることから、より居住者の生活環境悪化防止のための対策が必要ではないでしょうか、伺います。
 住居専用地域、木密、細街路、袋小路、学校・児童福祉施設周辺は管理者常駐以外は大田区のように「営業日数0日」も含めた規制を行う必要があると考えますが、伺います。
 区は、管理者不在型を「管理者は宿泊者が宿泊している期間、当該住宅を巡回するよう努める」とし認める方向ですが、不測の事態が起きた時の安全の保障がなく、管理者常駐を義務付けるべきと考えますが、区の考えを伺います。
 事業者には近隣住民への周知の他、説明会と協定書の義務付けも求め、伺います。「違法民泊」根絶に対する具体策についても答えて下さい。
(区長答弁)
 次に、住宅宿泊事業に関するご質問にお答えします。
 まず、旅館業法に基づく許可等についてのお尋ねですが、同法には、民泊営業という種別はありませんが、平成30年1月末現在、旅館業法に基づく総許可件数は、43件です。
 また、区民からの問合せ等については、昨年度は30件、本年度は4月から1月までで32件ですが、その全体像を捉えることは困難であり、無許可営業施設の数については承知しておりません。
 次に、住宅宿泊事業の届出件数の見通しについてのお尋ねですが、日々の問合せの状況や、民泊仲介サイトへの「文京区」としての登録件数が、現時点で3百以上あることを勘案すると、相当数の届出がなされるものと考えております。
 次に、生活環境の悪化防止策についてのお尋ねですが、本区は、面積の約6割を住居系の地域が占め、良好な住環境を形成しており、準工業地域においても、住宅地としての土地利用が進んでおります。また、豊かな歴史・文化的資源や良好な教育環境に恵まれた「文教のまち」というイメージが定着しており、区民の地域への思いは強いものと認識しています。
 こうしたことから、本区の条例案では、区民の生活環境の悪化防止や学校運営等への影響を考慮し、住居専用地域だけでなく、住居地域、準工業地域及び文教地区も規制の区域とし、平日の事業実施を制限することとしたものです。
 次に、営業日数をゼロ日とする制限についてのお尋ねですが、法のガイドラインでは、条例によって、住宅宿泊事業の実施を年間を通じて一律に制限することは、法の目的を逸脱するものであり、適切でないとしております。
 そのため、本区の条例案においては、日曜日の正午から金曜日の正午までの間の住宅宿泊事業の実施を制限することとしております。
 次に、家主不在型における管理者常駐の義務付けについてのお尋ねですが、住宅宿泊事業法では、住宅宿泊「事業者」に対して、宿泊者の衛生や安全の確保、周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関する必要な事項の説明、苦情等への対応などの義務が課せられており、住宅宿泊「管理業者」にも同様の義務が課せられています。
 そのため、家主居住型か不在型かに関わらず、住宅宿泊事業の適正な運営が確保されることから、管理者常駐の義務付けは考えておりません。
 次に、近隣住民への説明会と協定書の義務付けについてのお尋ねですが、法のガイドラインでは、住宅宿泊事業の届出者から、周辺住民に対し、事業を営む旨を事前に説明することが望ましいとしております。区としても、書面による事業計画の事前周知によって、近隣住民の不安が軽減されるとともに、周辺地域との良好な関係性が保たれ、住宅宿泊事業が円滑に実施されるものと考えております。
 なお、区の条例案においては、住宅宿泊事業を営もうとする者は、近隣住民からの申出があった場合に、住宅宿泊事業に係る内容について説明を行うよう努めることを規定しております。
 次に、「違法民泊」の根絶についてのお尋ねですが、住宅宿泊事業の実施に伴って生じる様々な事例に応じて、庁内の関係部署や警察署、消防署等と連携し、適切に対応してまいります。
 また、住宅宿泊事業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、法の規定により、住宅宿泊事業者等に対し、業務改善命令・停止命令等を行ってまいります。


◎簡易宿所を規制できる条例の強化について
(こうだ久美子区議)
 簡易宿所、いわゆるカプセルホテルについて伺います。
 第一種住居専用地域に囲まれた近隣商業地域で、33人の宿泊が可能となるカプセルホテルの建設計画が持ち上がり大問題になりました。
 事業者は「法律や条例は守らねばならないが、区の要綱による規制は法的拘束力を持たないから要綱に従わなくても裁判で争える」という趣旨の発言を繰り返し、区内の閑静な住宅地の中に日常的に世界中から数十人の旅行客が毎日行き交うような状況がつくられようとしたのです。ごく最近、住民の反対運動の中、計画は撤回されたと聞きますが、いつまた同じような問題が持ち上がるか予断を許しません。
 こうした深刻な住環境の悪化が予想される事態に対し、静かで安全な住環境を守る立場に行政がしっかり立ち、住民をバックアップする必要があります。見解と対策の強化について区の決意を伺います。
 過去に湯島地域では簡易宿所建設問題で、近隣住民との協議と合意が建設許可の前提になるという、先進的な要綱がつくられました。しかし民泊事業の緩和政策で、区内住宅地を含むどこでもこうしたカプセルホテルなどの安価な宿泊施設計画が増え、住民とのトラブルが頻発することが懸念されます。「裁判になれば、要綱の規制は関係ない」という業者から住環境を守るため、条例での歯止めが必要です。強化策を具体的にお答え下さい。
(区長答弁)
 次に、簡易宿所についてのご質問にお答えします。
 簡易宿所の建築等により、地域の生活環境に悪影響があってはならないと考えております。衛生管理やまちづくり等のあらゆる面から、区民の良好な生活環境を確保するとともに、今後の対応についても研究してまいります。


◎子どもの貧困対策拡充について
(こうだ久美子区議)
 次に子どもの貧困対策の拡充を求め伺います。
 都が行った若者生活実態調査で東京の子どもの貧困が浮き彫りになりました。小学5年生20・5%、中学2年生21・6%、16〜17歳の24・0%が低所得で、公共料金等を払えなかった経験や誕生日を祝う等の体験がない。実に4〜5人に1人の家庭が「生活困難層」の子どもだということです。
 この間、党区議団も子どもの貧困対策の一環として求めてきた、就学援助・入学準備金の前倒し支給や増額が文京区でも前進し、今年度は中学校、来年度は小学校で実施されます。また23区で初めて就学援助費目をPTA会費まで広げ、さらに学習塾代として中学2年生は年間5万円、3年生は10万円を限度に補助されます。今後はあまりに小さい就学援助の対象範囲を生活困難層にまで広げることができるかが大きな課題です。区として生徒会費など費目の拡大と補助単価の引き上げ、何より就学援助認定基準の倍率(生保収入基準の1.33倍)を引き上げ、周知方法を緻密にし、漏れる人がないようにすることを求め、伺います。
 食べ盛りの中学2年生の9人に1人が必要な食べ物が買えなかった経験を持っていることもショックでした。私どもはかねてより、所得の高い層の子どもと貧困の下で苦しい生活を送る子どもとの格差を解消するために、「子どもの貧困対策条例」を制定し、子どもの貧困実態調査を義務付け、貧困対策の目標を決めて取り組むこと、また、定期的に対策の見直しを図るなど、予算措置をする土台をつくることを求めてきました。区が「宅食プロジェクト」や「子ども食堂」支援など手がけ始めた今が、その時ではありませんか。重ねて伺います。
 また、高校進学前に、経済的に困難を抱える中学3年生に対し、返済なしの「入学支度金(給付型就学金)」が学用品等の購入費用の一部として、私立は10万円、都立は6万円を支給されることになりました。我が党区議団は、2016年6月の本会議でも、「給付制」の奨学金の実現を迫った経緯があり、23区初の制度を大いに歓迎するものです。しかし、不足分の支度金は、区の貸し付けに頼ることになります。今回改定された「貸し付け条例」には、せっかく「子どもの貧困」を「経済的に支援」するとした制度の利用を抑制する文言が新たに挿入され、これは認められません。「文京区入学支度金の融資あっせん及び貸し付け条例、第11条のうち「五、住民税を滞納していないこと。」を削除し、従前通りとすることを求め伺います。
(区長答弁)
 次に、子どもの貧困対策についてのご質問にお答えします。
 関連する法律や「子どもの貧困対策に関する大綱」を踏まえながら、引き続き、子どもの貧困対策に関する各事業を実施してまいります。
 また、昨年度、関連部門の行政情報を活用した実態把握を実施したところであり、既に顕在化している事象にいち早く対応するため、本年度に続き、平成30年度の重点施策として子どもの貧困対策事業を位置付け、様々な事業を実施してまいります。
なお、実態調査については、今後とも調査・研究を行ってまいります。
(教育長答弁)
 教育に関するご質問にお答えします。
 はじめに、就学援助制度についてのお尋ねですが、平成30年度よりPTA会費及びクラブ活動費を費目に加え、支援の充実を図りましたが、生徒会費につきましては、区立学校において徴収していないことから、支給費目に加えておりません。
支給金額につきましては、今後とも生活保護基準の動向等を踏まえ、適切な額を設定してまいります。
 認定基準につきましては、生活保護基準の改定による影響が対象世帯に及ばないよう試算し、適切に係数の見直しを行っております。なお、周知方法につきましては、区立学校の全児童生徒の保護者を対象に、案内文書及び申請書を配付するとともに、区報やホームページへの掲載に加え、今年度よりケーブルテレビでも周知を図るなど、申請漏れのないよう幅広く周知しております。
 次に、入学支度資金ついてのお尋ねですが、「住民税を滞納していないこと」の規定については、条例改正前から同様の取扱をしているところ、納税が住民の義務であることから条文化したものであり、削除する考えはありません。
 なお、滞納がある場合でも、協議の上、納税の意思が確認できた場合は、制度が利用できるよう既に対応しております。


◎保育園待機児解消について
(こうだ久美子区議)
 次に保育園待機児童解消を求め伺います。
 昨年7月、東京都が発表した保育園待機児童数は依然増加傾向で、大田区など他自治体でこれまでの待機児童解消策を見直す動きがでています。
 昨年認可保育園に入れない子どもが史上最悪の782人も出た文京区に対し、党区議団は11月議会でも「事業者による提案任せ」ではなく「区自らが増設計画」を立て、具体化に全力を挙げ「待機児童解消」に汗を流す姿勢を求めたところです。 
 区長は、待機児童解消の目標値等は、「子ども・子育て支援事業計画」を踏まえ」るとし、かつ具体的な計画については、「本年4月1日現在の待機児童数を踏まえ、ニーズ量及び今後の確保策を見直し、『子ども・子育て会議』に示し、議論をいただく」との答弁でした。待機児童解消の目標値、ニーズ量、今後の確保策をどのように見直し、どういう計画・数値を「子ども・子育て会議」に示し、どのような結論を得たのか、経過を含め明らかにしてください。区は今年4月に認可保育園5園、小規模保育所3か所を開設予定ですが、すでに昨年12月段階で入所を希望する0歳児が679人、1歳児が743人申し込むという深刻な事態になっています。これ以外の計画もお示しください。
 児童福祉法24条1項による保育の実施責任を負う区長が、「2017年度4月1日現在の待機児童の実態」、すなわち認可保育園に入れなかった児童が782人(前年比+83人)どんな保育も受けられない子どもは283人(+26人)、そのうち、178人(+6人)は両親ともに常勤でした。文京区史上最悪の事態を踏まえ、保育意向率50.8%を満たす保育所増設計画をもち、早急に全員入所実現の目標を設定し、区立保育園を含む認可保育所の増設で、待機児童解消へあらゆる手立てをとることを求め、伺います。
(区長答弁)
 次に、待機児童解消に関するご質問にお答えします。
 まず、子ども・子育て会議での検討結果等についてのお尋ねですが、会議での議論を踏まえ、ニーズ量については、直近の出生数及び0歳人口の動向を捉えるとともに、潜在的なニーズとして、過去の利用意向率の伸び率を考慮した算定方法としました。
 また、確保策については、私立認可保育所を中心として、保育所待機児童の多い低年齢児を対象とした小規模保育事業所A型の開設も合わせて進め、平成31年度までに1,471人分の保育サービス量を新たに確保することで、保育所待機児童を解消できる見込みです。
 これらを踏まえ、本年3月に「子ども・子育て支援事業計画」を改定いたします。
 次に、保育所整備計画についてのお尋ねですが、30年度以降も、公有地を活用した保育所整備を推進するものとし、31年4月の開設に向け、大塚三丁目都有地、第一中学校校庭敷地内及び音羽地域活動センター跡地の各公有地において、私立認可保育所の整備に向けた準備を進めてまいります。
 また、先程ご答弁申し上げたとおり、新たな区立保育園の設置は考えておりませんが、改定後の「子ども・子育て支援事業計画」に基づき、民有地等の活用により私立認可保育所等の更なる整備を進めるほか、定期利用保育の実施等、様々な方策により待機児童解消に向け、必要な保育サービスの拡充に取り組んでまいります。


◎障害児教育の環境整備について
(こうだ久美子区議)
 次に障害児教育の環境整備を求め伺います。
 直近の文教委員会で特別支援教室「学びの教室」についての報告がありました。すべての子どもが教育を受ける権利を保障するうえで、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥・多動性障害)等、発達障害の子どもたちを含む「特別支援教育」の整備は待ったなしの状況です。
 全国では2016年までの10年間に特別支援学校の生徒は1.3倍、特別支援教室の生徒は1.8倍、通級(支援を必要とする児童・生徒が通う)は2倍へと増加しています。文京区の、この10年間の固定制の特別支援学級と「学びの教室」の設置数及び児童生徒数の変化、伸び率、教職員数の増減も伺います。
 今年度から実施の小学校では、「子どもが通級する方式」から、「専門教員が各学校を巡回指導する方式=学びの教室」に替えるなかで入室児童数が前年対比で倍増しています。全国的にも児童の激増に見合う、人的・物的な教育条件は整備されていず深刻です。巡廻方式で激増する児童に見合った施設の確保や整備・改善、専門教員の増員を含む補正等を求め伺います。
 固定制の特別支援学級を根津・千駄木地域の中学校に求める請願が議会で採択されて1年が経過しようとしています。知的障害、自閉症・情緒障害を持つ生徒に対する教育支援では少人数での学びや通学面での地域的な面でも合理的配慮が必要だと指摘されています。教育委員会の早い決断を求め伺います。
(教育長答弁)
 次に、この10年間の固定制特別支援学級と「学びの教室」の設置数、児童生徒数の変化、伸び率及び教職員数についてのご質問にお答えします。
 まず、小学校についてお答えします。
 はじめに、知的固定制特別支援学級についてですが、設置数は、平成20年度が6学級、平成29年度は13学級です。児童数は、平成20年度が41人、平成29年度は87人で、その伸び率は、2.1倍となっております。教職員数は、学級数に伴って、10人から18人に増加しております。
 次に、情緒固定制特別支援学級についてですが、設置数は、平成20年度が2学級、平成29年度は5学級です。児童数は、平成20年度が11人、平成29年度は26人で、その伸び率は、2.4倍となっております。教職員数は、学級数に伴って、3人から7人に増加しております。
 次に、平成29年度から「学びの教室」となりました情緒通級指導学級についてですが、設置数は、平成20年度が5学級、平成28年度は8学級です。なお、平成29年度の「学びの教室」からは、在籍校に通うため、学級数は数えないことになっております。児童数は、平成20年度が49人、平成28年度は86人で、「学びの教室」となった本年度は、133人となっております。児童数の伸び率は、10年間で2.7倍となっております。教職員数は、学級数に伴って、7人から14人に増加しております。
 次に、中学校についてお答えします。
 はじめに、知的固定制特別支援学級についてですが、設置数は、平成20年度が5学級、平成29年度は6学級です。生徒数は、平成20年度が30人、平成29年度は39人で、その伸び率は、1.3倍となっております。教職員数は、学級数に伴って、7人から9人に増加しております。
次に、情緒通級指導学級についてですが、設置数は、平成20年度より、すべて2学級となっております。生徒数は、平成20年度が12人、平成29年度は20人で、その伸び率は、10年間で1.7倍となっております。教職員数は、学級数に変化がないことから、3人となっております。
 次に、特別支援教室「学びの教室」の施設の確保や整備・改善、巡回指導教員の増員についてのお尋ねですが、「学びの教室」の施設の整備につきましては、既に整備した教室だけでなく、学校全体の教室の活用状況を踏まえて、弾力的に対応してまいります。
 巡回指導教員の配置につきましては、都の教員配置基準が、児童10人につき教員1人となっており、児童数の増加に応じて、適切に配置しております。
 なお、本区としましては、児童一人ひとりに、よりきめ細やかな指導をするために、これまでと同様に、区独自に週 24時間の講師を2名配置し、巡回指導にあたっております。
 次に、知的障害、自閉症・情緒障害特別支援学級の設置についてのお尋ねですが、教育委員会としましては、「根津・千駄木地域への特別支援学級設置に関する請願」の採択を踏まえ、知的障害特別支援学級や、自閉症・情緒障害特別支援学級の開設の有無については、区全体における特別支援学級の配置バランスや、入学可能性のある生徒の居住地との関係、交通の利便性等を考慮し、検討してまいります。


◎図書館の指定管理について
(こうだ久美子区議)
 図書館について伺います。
 指定管理になってからの職員の離職者は2010年から7年半で219人にのぼり、利用者の新規登録者の減少や建築設備の法定点検をしない、苦情や要望に対して中央館に「依存」し主体的対応がなされていないという指摘をされる現状は、「劣化、退化は起きているとは考えていない」と区は言いますが、図書館事業が細ってきている証左そのものです。23区でトップレベルの図書館行政と言われていたのと比べ今昔の感があります。
 2011年片山総務大臣は「公共図書館とか、ましてや学校図書館なんかは、指定管理になじまない」「行政がちゃんと直営で、スタッフを配置して運営すべき」と記者会見で答えています。
 2017年には、衆議院総務委員会で高市早苗国務大臣が図書館等4業務について、「司書や学芸員などの専門性の高い職員を長期的に育成、確保する観点から、指定管理者制度を導入していないという意見が多い」と答えています。日本弁護士連合会は、昨年「指定管理者制度基本条例案」を発表しました。「経費の節減を目的として指定管理者制度を導入してはならない。」また、指定管理者を該当しない施設として、「図書館その他公の施設に係る事業が長期の継続的な方針の下に行われる必要がある施設」としています。
 文の京を標榜する文京区では図書館は直営にもどし、司書など専門的職員の長期的育成、確保に転換すべきです。伺います。
 浜松市は文京区と同様に多くの図書館をもっており、指定管理者制度が導入されています。しかし、浜松市の図書館で指定管理者が行う業務は、図書館資料の整理、保存、利用に関する業務や読書相談、時事に関する情報提供等、書籍など他の図書館との相互貸借等や施設設備の維持管理などに限定されており、それ以外の図書、記録、郷土資料、視聴覚資料その他資料の収集、整理、保存、利用などは指定管理者の業務から外されており、市が直接行います。
 この例のように、当面、区固有の資料や貴重なものは直営で行なうという図書館の指定管理業務の範囲見直しを求め、伺います。
(教育長答弁)
 次に、区立図書館についてのご質問にお答えします。
 まず、図書館を直営に戻し、司書など専門的職員の長期育成、確保に転換すべきとのお尋ねですが、区では、平成22年度より指定管理者制度を導入しましたが、これにより開館時間及び開館日数が大幅に拡大し、利用者への利便性が向上しました。また、民間事業者の柔軟な発想等により多様な行事が実施され、充実したサービスを展開しており、利用者アンケート等においても高い満足度が得られているため、区直営に戻す考えはありません。
 なお、専門的職員の育成・確保に関しては、司書講習の受講、都立中央図書館等の研修への参加などにより、育成及び資質向上に努めております。
 最後に、区固有の資料や貴重なものは直営で行うという指定管理業務の範囲見直しについてのお尋ねですが、区固有の資料や貴重な資料の収集等は、真砂中央図書館において区職員が行っております。


◎湯島総合体育館の指定管理について
(こうだ久美子区議)
 総合体育館の指定管理について伺います。
 2013年にオープンした体育館は、当初からカビ・錆、苔まで発生したことから大問題となり、原因は営業終了後換気を切っていたこと、清掃にも問題があると指摘されていました。徹底清掃が行われるまで真摯な対応策をとらなかったことは、東京ドーム・ミズノ共同企業体の管理責任について根本的に問われる事態です。
 昨年の指定管理者評価委員会で、このカビ、錆びについて問われ、ドーム側が「主にスポーツセンターの休館(17年度)に伴い、利用者数が増えたことで、施設の汚れ、劣化が進むスピードが速くなったことが原因と考えている」と昨年初めて起きたことのように答えるなど、この問題について反省も解決能力も責任感もないことを露呈しました。
 また、利用者からの苦情、要望は文書でも40件近く寄せられ、言っても改善されないと訴えるものが多く、背泳ぎのために天井にラインをと要望してもやってもらえない、ジャグジーのジェット噴射が故障したのにいつまでも修理しない、採暖室の温度がスポーツセンターは45度設定なのに総合体育館プールは35度で、寒いと訴えても改善されない、シャワー室のカーテンのカビ、コンクリ床とすのこのカビがひどい、アリーナの照明の明度を競技によって変えて欲しい等、いずれも道理ある要望ですが放置されてきました。
 1月末にまた視察をしてきましたが、ようやく1月から採暖室の温度が40度に上げられ、カーテンのクリーニングをするなど一部改善されたものの、全く不十分です。ぜんそく児がカビ胞子が飛んでいる環境で水泳訓練をするというのは許されません。
 そこで総合体育館の管理について以下求めます。
 一 プール天井のライン、設備の故障対応、清掃の更なる徹底、採暖室・ジャグジーの温度設定アップ、アリーナ照明の競技ごとの調節の実施など、利用者の要望を放置せずただちに対応すること。
 一 改善点について利用者にわかるよう掲示等行い、周知すること。
 一 区の責任で、第3者機関による「(仮称)総合体育館検証委員会」を立ち上げ、苦情・意見対応を含む管理運営、利用料金収入還元について、指定管理料の妥当性、区の監督のあり方、その他課題等について検証し方針を打ち出すこと。
(区長答弁)
 最後に、総合体育館に関するご質問にお答えします。
 まず、総合体育館におけるカビやさびの発生については、これまでもご答弁申し上げてきたとおり、複合的な要因によるものと考えております。
 また、指定管理者の管理運営状況については、評価検討会において、おおむね適正との評価を受けております。
 次に、利用者からの要望への対応についてのお尋ねですが、いただいた要望を真摯に受け止め、指定管理者と区が協力し、可能なものについては適切に対応しております。
 設備の故障対応、清掃、採暖室やジャグジーの温度設定、アリーナ照明の調節などについては、業務要求水準書に基づき適切に対応するほか、プール天井のラインについては、コースロープを目印にして泳いでいただくこととしております。
 なお、ジャグジーのジェット噴射について、これまで不具合は確認されておりません。
 次に、改善点の周知についてのお尋ねですが、利用者アンケートで寄せられた要望や意見については、施設からのコメントや改善点を具体的に付して施設内に掲示し、周知に努めております。
 次に、第三者機関による検証についてのお尋ねですが、施設運営にあたっては、毎月の定例打合せを実施し、生じた課題をその都度解決するとともに、毎年度、評価検討会を開催し、管理運営の適切性についての評価を行っておりますので、新たな検証組織を設置する考えはありません。


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