2001年区議会第二回定例会


日本共産党区議団質問

日本共産党区議団の代表質問

質問者 いたくら美千代 議員

(答弁は省略)




二〇〇一年区議会第二回定例会での代表質問

  質問者 いたくら美千代 議員


 区議会第二回定例会にあたり、私は、日本共産党文京区議会議員団を代表して、区の出張所廃止や予算一五%カットなどの行財政運営について、シルバーパスなど東京都の福祉の復活について、介護保険について、競輪復活の動きに関して、区内循環バス新設について、教科書採択に関して、区長ならびに教育長に質問いたします。
 小泉新内閣が発足しましたが、国会論戦の中から、首相が掲げる「聖域なき構造改革」は、国民生活と中小企業に犠牲を押し付ける以外の何物でもなく、「KSD」や「機密費」問題では疑惑隠しに終始する態度が明らかになりました。これまでの自公保政権の経済失政で、不況はいっそう深刻化し、国民のくらしは痛めつけられています。国民のくらしをどうしたら向上できるのか、ここに責任を持つのが政治というものです。がまんを強いるだけで、いま痛みに耐えれば明日はよくなるという展望も示せないのは、まともな政治の姿ではありません。 日本銀行の調査でも明らかなように、いま、国民が政治に求めているのは、雇用や収入の不安の解消、消費税の引き下げ、社会保障の不安の解消です。大銀行や大手ゼネコンを応援する政治から、国民のくらしを応援する政治に切り替えることが必要です。
 石原都政も福祉、医療に対する都の制度を切り崩し、冷たい仕打ちを都民に押し付けています。こういう時に住民のくらしを守ることこそ、文京区が全力を挙げなければならない本来の責務です。しかし、区が現在進めているのは苦境にある区民に追い打ちをかけるものではないでしょうか。
 まず、出張所廃止問題について伺います。
 文京区は、今年二月に文京区行財政改革推進計画を決定し、「出張所を全廃」し、出張所機能を根本的に見直すことを決めました。さらに、「出張所見直し検討委員会」が五月十一日最終報告をだし、今までの出張所を全部なくしたあと、出張所機能を新設する(仮称)区民サービスコーナーと本庁舎で行い、出張所の後に地域活動センターを設置することを決めました。
 出張所全廃問題は、昨年十月、「行財政改革実施計画の中間報告」の中で突然明らかにされてから、区民の中に一気に批判の声があがり、出張所をなくさないでほしいという世論が広がりました。五十年の歴史を持つ出張所の全廃については、町会長などからも反対の声があがりました。「区民サービスを低下させる計画はやめさせましょう」という署名は一万七千人分、「文化の香る文京をめざして」の署名は六千五百人分が寄せられてるほか、ハガキなどによる意見も区に多数寄せられています。これらの状況を見ても、出張所全廃がいかに大きな問題であるか明らかです。
 さらに、文京区が三月五日から九カ所で行った出張所見直し説明会には二百数十名の区民が参加し、様々な意見が出されていました。「始めから出張所の廃止ありきであり、税金の節約というが、もっと区民の意見を聞いてほしい。廃止するのは反対だ」「出張所は五十年以上の歴史があるのだ、区民いじめはだめだ、サービスコーナーをつくるというが、サービス低下にならないと確言できるのか」「区役所の出先を削減するのは本末転倒だ」などほとんどの意見は、出張所廃止に賛成ではなく、「何とか存続できないか」という意見ではなかったでしょうか。また、私たちがこの間、地域で聞いている声も、「年をとり、足腰が悪いのに遠くまで出向くことは無理です。絶対に出張所は無くさないでください」「出張所を残してほしい、老人などは近くで用が済み助かります」などこれらは、いずれも高齢者の方々です。さらに、区民から強く出されている意見は、最初の段階で方針を固める前に、出張所をなくすかどうかも含め、区民の意見を聞く機会をなぜ設けなかったかということです。
 このように、出張所を存続してほしいという区民の切実な願いがかつてない区民運動に広がっているにもかかわらず、これを無視した今回の区の決定と方針は、区民から到底受け入れられるものではありません。区長は、この区民から聞いた意見をどう取り入れてきたのか伺います。また、今回の決定は区長がいう「区民参画」つまり、区政の課題を企画・立案段階から区民参画を求め、区民が主役の区政を実現するという立場とどう相入れるのか、多くの区民が強い疑念を持っていることでもあり、併せて区長に伺います。
 区の説明会でも、区民が心配していたことは、出張所廃止が「区民サービス低下」にならないかということでした。住民基本台帳関係事務、戸籍関係での届出、発行など、印鑑登録・廃止申請・カードをなくしたときの再発行、区民税・国民健康保険・年金などの収納や加入などは、いずれもシビックセンターまで来ることになります。このことは、結局シビックセンターへの一極集中であり、本来「住民のサービスは身近なところで」という方向に逆行するものです。区長の見解をあらためて伺います。
 今回の計画見直しは、「新公共経営の理念に基づいて検討を進めたものであり、二十一世紀の行政のあり方の一端を示すものである」といっていますが、「行革計画」の「出張所改革の基本方針」では、その最初に、職員数の削減を含めたコスト削減を行うことをかかげています。この点では、「行革方針」の七十五名の人員削減は、今回の計画では、何人になるのか。また、区民サービスコーナーの設置による新たなOA関連経費はいくらになるのか。今回の見直しによる施設改修経費はどの位かかるのか。さらに、これまでに出張所のOA化のために、この間かけてきた経費は総額いくらで、これらの経費は無駄にならないかどうか、併せて伺います。
 自治体にとって窓口業務は顔ともいうべきものです。できるかぎり身近なところでより多くのサービスが受けられるよう改善して行くことが自治体本来の姿です。都心の文京区は高齢化率が二十三区の中でも最も高く、今後の高齢化社会の進行を考えたとき、出張所を廃止するのではなく、ミニ区役所としていっそう地域に密着した施設としての役割を果たせるよう、さらに充実し、今回の計画の変更を強く求め区長の答弁を求めます。

 次に、施設使用料の免除規定が廃止された問題です。
 学校施設を使用するスポーツ団体への影響も深刻です。ある小学校に在籍している児童六〜七人で構成しているバレーボールのクラブチームは、一週間に五日、学校の体育館を使用して練習をしています。もちろん三月までは無料でしたが、四月からは部費のほかに施設使用料として部員一人あたり一カ月五千円を超えるあらたな負担がかかり、これではとてもチームを存続することすらできないと、怒りを抑え切れなく訴えていらっしゃいました。使用料の免除規定の廃止を再検討すべきであり、少なくとも小中学生が取り組んでいるクラブ活動などはただちに元に戻すべきです。
 さらに、今年度新たに行われた各部を単位とした十五%カットは、区民生活に深刻な影響が現れ始めてきています。
 小中学校卒業アルバム公費負担一千六百四十八万円が削減されて、全額保護者負担となりました。ある小学校では当初PTA費から支出したいとの考え方がありましたが、五年生までの同意が得られず、卒業対策費から支出することになりました。写真とともに文集を入れる例年どおりのやり方にすると一冊約一万七千円程になり、卒業対策費として二万円程度積み立てた内の大半を卒業アルバムが占めることになり、ほかに予定していたことができなくなってしまい「本当に困ってしまう、補正予算を組んででも元に戻してほしい」との切実な声が出されています。そのとおりだと私も思います。例にあげたこの学校だけではなく、さまざまにやり繰りをしても結局保護者が負担を負わなければなりません。ただちに補正予算を組んで元に戻すべきと考えますが区長の決断を求めます。
また、昨年度まで学校事務非常勤職員が中学校では全校に、小学校では十八クラス以上の誠之小学校など四校に配置され、中学校で一千四百六十四万円、小学校で五百三十二万円がそれぞれ学校運営管理費として予算化されていました。しかし、今年度これを全額削減し、そのことへの激変緩和措置だとしてこれらの学校にわずか四カ月分の臨時職員手当をつけて対応しましたが、相当な支障をきたしているとのことです。
 この他にも、学校給食牛乳代の保護者負担軽減を削り、重度障害者の福祉タクシー代補助の大幅削減や高齢者の福祉電話の補助額の引き下げなどについても怒りの声が相次いでいます。
 「財政がきびしい」とあらゆる分野で施策を縮小または切り捨てて、区民に負担を押し付けてくるやり方に本当に心の底から怒りがわいてきます。いったいどれだけ区民に負担を押し付けようというのでしょうか。これが区のやることなのでしょうか。私は断じて許すことができません。
区民生活に密着した施策の、一律十五%カットはただちに元に戻すよう強く求めます。区長の答弁を求めます。

次に、石原都政のもとで昨年、「財政再建推進プラン」にもとづいて切り下げられた福祉の復活について伺います。
日本共産党都議団は、石原都知事の施策にたいし、「良いものには賛成、しかし悪いものには反対」という態度を貫きながら、都民のくらしと福祉をまもるために全力を尽くしてきました。
シルバーパスの有料化や、マル福、老人福祉手当の段階的廃止は、残念ながら自民・公明・民主・社民党などが選挙時の公約に反し賛成したため、昨年、都議会で採択されてしまいましたが、日本共産党は、はっきりと反対を貫くとともに、制度を元に戻すことを求めています。
昨年十一月、東京都の政策報道室がおこなった「都民生活に関する世論調査」でも、都政はどこに力を入れてもらいたいかという質問にたいして、「高齢者対策」が四四・七%で一番多く、世代別の調査でも、男性三十代以上、女性四十代以上のすべての世代で、高齢者対策が第一位で文字通り圧倒的な都民の声となっています。  老人医療費助成の年齢引き上げによって高齢者は、高額の医療費を負担しなければならなくなり、月十二万円の収入のうち一万五千円、十二%が医療費に消えてしまうという悲痛な訴えや切実な声が、私ども日本共産党にもたくさん寄せられています。
文京区では、この年齢引き上げにより、昨年度と比べて千人程度が老人医療費助成(いわるゆマル福)の対象からはずされました。六十歳代後半では二人に一人が何らかの病気をかかえています。この年代に多い糖尿病や高脂血症などが重症化する前に、早期に医者にかかって治療する機会をひろげ元気で長生きしてもらうために、都の老人医療費助成が欠かせない大きな役割を果たしていることは明らかです。
 日本共産党都議団は、三月都議会で、シルバーパスの無料化、マル福、老人福祉手当の復活など切り下げられた福祉の復活と、介護保険の保険料・利用料減免などを求めて、予算の組み替え要求をだしました。シルバーパスの復活は二十億円、マル福は五十四億円、老人福祉手当は六十三億円、これらだけで都の予算のわずか〇・一%、百三十七億円でできることを示して石原知事に実現を迫りました。都の財政規模は、お隣りの韓国の国家財政をも上回るもので、臨海開発などの不要不急の計画を見直せば、借金の返済を計画的にすすめながら、福祉や暮らしに回すお金は十分にあります。
今年十月からは、六五歳以上の高齢者の介護保険料が満額となり、いっそう大変な状況になるなかで、切り捨てられた三つの福祉を復活させることは都民の切実な声です。
 そこで区長に伺います。以上、都の三つの福祉制度の必要性についてのご認識と、すでに有料化ないし廃止が決定されたことについて、どのように評価されるのか。また区民の立場に立って、これらの制度の復活を都に強く求めていくべきと思いますが、ご答弁を求めます。

 次に、介護保険について伺います。
 多くの区民、高齢者の方々が、介護保険の保険料・利用料の重い負担に苦しんでいるなかで、十月から高齢者の保険料が現在の二倍にはねあがります。その通知が各家庭につぎつぎ届いており、「なんとかしてほしい」「サービスが利用したくてもできない」などの切実な声が、いっそう高まっています。昨年十二月から今年にかけて行った区の「介護サービス利用状況及び満足度調査」でも、「支給限度一杯にサービスを利用している」「限
度以上に利用している」を合わても全体の二七%ですが、「限度額一杯までは利用していない」が六〇%を占めています。特に要介護度四と五の方々は、限度額一杯まで利用できない理由のトップに「利用料金の負担が大変だから」をあげております。介護における保険料・利用料の軽減対策はまさに待ったなしの課題になっています。
 私ども日本共産党区議団は、事態改善のために、昨年も二回、本年は三月議会で介護保険料と居宅サービス利用料の二つの「助成条例」を提案し、四月十七日には小竹ひろ子都議と緊急申し入れを行ったところです。
 すでに都内でも六割を超える三十八の自治体が独自の低所得者対策の実施を表明しており、東京都も「社会福祉法人等による利用者負担の減免措置の活用にむけた区市町村の努力にたいし、都としての支援策をできるだけ早く検討し、行いたい」とこれまでの姿勢を変えてきました。
 そこで区長に伺います。
 都が社会福祉法人等の利用者負担の減免措置を支援する方向を打ち出した以上、文京区においても直ちに法人等への支援に踏み切って行くべきではないでしょうか。そして都にたいしても本格的な利用料の減免制度をつくり、早期に実施するよう強力に求めるべきです。
 その際、国の特別対策の特別養護老人ホーム、デイサービス、ショートステイ、ホームヘルプサービスだけでなく、都として対象サービスや事業主体を拡大するとともに、所得制限をできるだけゆるやかなものとし、都民の大幅な負担軽減に実際に役立ち、利用しやすい制度にすること。社会福祉法人をはじめとする事業者負担はできるかぎり軽減し、事業者が実施しやすい制度にすること。区市町村が行っている利用料減免をさまたげず、いっそう充実できる制度にするよう求めるべきです。
 また特別区長会としても、都にたいし利用料とともに保険料の減免に踏み出すよう要請すべきです。
 さらに、区長はかねてより満足度調査の結果を見て、事態改善に取り組むとしてきました。今回の調査で明らかになった介護の現実をどう受け止めかつ改善しようとするのか。十月からの保険料全額徴収が目前に迫っているこの時期に区は、保険料・利用料の低所得者対策を実施すべきとだと思いますが、重ねて伺うものです。
 第二に、介護保険が実施されて丸一年、区の運営委託費の削減が特別養護老人ホームの経営に大きな影響と不安をを与えています。改めて区に、運営委託費を元の金額に戻し継続させることを求めます。また利用者数が超過したり、職員数が基準に満たない場合に介護報酬が削減され、経営が困難になっているショートスティやデイサービスの施設運営を改善させるため、国や都に早急な対策を求めていくべきだと考えます。
 さらに四月にオープンした特養老人ホーム「千駄木の郷」に次ぐ第五の特養ホーム建設の具体化を早急にはかるべきです。区長の答弁を求めます。

 次に、後楽園競輪復活の動きに関して質問いたします。
 三月中旬、東京ドームホテルにおいて、競輪ファン、報道関係者を中心に「ファン感謝の夕べ」が開かれ、二一世紀を迎えた競輪・ファン感謝祭実行委員長より、区内の近隣商店会長さんにも、「甚だ唐突で誠に恐縮ではございますが」と出席要請の案内状が出されています。また、三宅島の災害復興対策の財源確保のために「東京ドームで競輪復活」ということも、もれ聞こえてきました。災害復興対策として競輪復活が取りざたされたのは、長崎県の雲仙・普賢岳に続いて二度目です。こうした動きに、少なからぬ区民は不安と怒りでいっぱいです。
 後楽園東京ドームでの競輪復活の動きが明るみに出た一九八七年以来、文京区民の多くは、一貫して競輪復活を望んでいません。また、文京区議会に提出された競輪復活反対の請願は、今議会で実に五十四回に及び、住民の反対運動が引き続き粘り強く展開されています。
 四月十二日付の「日経新聞」によりますと、全国的に競輪の事業は不振で、北九州市は半世紀の歴史を持つ門司競輪を廃止する方針を打ち出し、全国で五十ヵ所ある競輪場の三分の一が赤字だと報道しています。事業の赤字化で、自治体の開催権返上も相次ぎ、開催権を持つ自治体は九五年度の二百五十五から百二十八に半減しています。大阪府では岸和田競輪の一部開催権を持つ泉大津市などの四市が、今年度を最後に運営から手を引く方針を打ちだしています。また、所沢市のように自治体が自転車振興会に売上げの一部を納める交付金をめぐるトラブルも表面化しています。
 後楽園競輪は一九七三年に、社会的公害が看過できないこと、自治体の財源をギャンブルに頼るべきでないこと、都民の多数が廃止を望んだことで廃止されたものです。三宅島の復興は、きちんとした政治の責任で災害対策を取るべきで、ギャンブルに財源を求めるべきではありません。
 地元の文京区が反対の態度を明らかにすれば、競輪復活は事実上不可能です。この際、災害復興に名を借りた競輪復活が浮上しないよう、区長は、区民への公約である「後楽園競輪復活は基本的に反対」との意思をはっきりと表明すべきと思います。見解を伺います。

 次に、区内を走る循環型バス路線の新設を求めて質問します。
 近年、ますます発達した地下鉄は、このシビックセンターを囲むように、現在、営団丸ノ内線、南北線、都営三田線、大江戸線と、四路線が走行するのをはじめ、営団千代田線、有楽町線が区内を走行しています。この路線深度は、新設されるたびに地下五階、六階にもなる深さになってきています。
 わが党も、かねてから要求してきたことですが、このたび、多くの人の努力が実って、都営三田線の白山駅と千石駅にエレベーターが設置されることになり、たいへん喜ばしいことです。しかし、その具体的な設置と供用開始までには、これから三年ほどの期間が必要になっています。
 上野――渋谷間の営団銀座線とは異なり、近年設置された地下鉄路線の地上からホームまでの深さは、エスカレーターがかなり設置されているとはいえ、高齢者などには率直に言って、敬遠される乗り物になっているのではないでしょうか。
 網の目のように発達した東京の地下鉄は、東京郊外や近県にある生活圏から、首都中心地への通勤に主眼があるのですが、地下鉄路線の新設のたびに、文京区内をはじめ都内を走る都バスが廃止されたり、運行回数の削減が行われてきました。住民の立場に立てば、これは、大きな問題です。
 こうした中で、いま、路面電車の再評価とバスの便利さが見直されています。「安心できる、安全で便利な乗り物」としての平面交通の良さは、東京では都電荒川線であり、そこ、ここに行き交うバス路線があることではないでしょうか。
 このバス路線が縮小・廃止されたために、杉並区では運賃百円のマイクロバスを運行させ、葛飾区では、JR綾瀬駅を起点にして九人乗りの乗合タクシーを低廉な運賃で提供しています。お隣の台東区では、上野――浅草間の二階建てバスを廃止したものの、新たに区の施設を中心に循環バスの新設をすすめました。都下の「あきるの市」では昨年十月から、こちらも運賃百円で二十九人乗りのバスを市民に提供し、「病院へ行くのにタクシー代が二千円以上かかっていたので、市のバスは有り難い」と、喜ばれているそうです。
 文京区でも、こうした他の都市の例に習い、循環型バスの実現をはかるべきではないでしょうか。
 山坂の多い文京区の地形を考えた場合、区内の文化施設つまり、ふるさと歴史館や鴎外記念図書館、ふたつの体育館、また六義園や後楽園などの都市公園、老人ホームや中間施設、福祉センターなどの施設や区内の大学などを回るバスがあれば、多くの人に喜ばれるものになるのではないでしょうか。
 本年二月十九日、文京区福祉環境整備要綱が改正されました。
 この要綱の対象施設になるものは、建築物、道路、都市公園ならびに児童遊園ですが、私は、これらの施設を結ぶ交通環境の整備も「誰もが暮らしやすい、福祉のまちづくり」というテーマに欠かせない課題であると考えます。
 福祉環境の充実と、区民および来訪者に便利な区営循環バスの実現をめざして、区長が研究・検討をすすめることを願い、ご答弁を求めます。

 最後に、教科書採択の問題に関して教育長に伺います。
 「新しい歴史教科書をつくる会」の中学校「歴史」と「公民」の教科書が、それぞれ百三十七カ所、九十九カ所の訂正を経て文部科学省の検定に合格し、全国で一〇%の採択をめざすとしています。
 この教科書は、事実にもとづいた歴史の科学性を否定し、七ページにわたり神話を史実であるかのように描き、アジア太平洋戦争を「大東亜戦争」と呼び、少年や少女たちまで「勇敢に戦」い、「死を覚悟して特攻をくり返していった」などと、国家のために若い命を捧げたと美化し、「特攻隊員の遺書」を囲みで取り上げたうえ、「戦争中の人々の気持ちを、特攻隊員の遺書や回想録などを読んで考えてみよう。」と歴史の教科書としては非常に不適当な問いかけをしています。また大日本帝国憲法を礼讚し、国民を「朕(天皇)」の「臣民(家来)」とする教育勅語全文を掲載する異常ぶりです。南京大虐殺という明確な史実についても「論争が続いている」と事実ではないかのように理解させようとしています。さらに検定合格が決まった後も学識者たちから、地名など明かな誤りが五十カ所以上指摘されているありさまです。
 公民教科書でも、日本国憲法の制定について、GHQからの押し付け憲法論を展開しており、各政党が憲法草案を作成し国民の間で議論され、審議過程で修正されたこと、国民の多数が憲法を歓迎したことには全く触れていません。そして憲法九条については、徹底してこれを敵視し「自衛隊はわが国の防衛には不可欠な存在」で「大きく期待されている」などと最大級に美化し、「集団的自衛権を憲法に明記すべきとの主張もある」と改憲論を強調しています。また日本の核武装を推進する立場に立ち、「核兵器廃絶が…合意されたら、…世界の秩序にとってもっとも危険な瞬間」と主張しているのです。これでは「戦争ができる国」をめざし、「子どもたちを戦争に行かせるためにつくられた教科書」としか言いようがありません。日本国憲法を否定し、国際孤立の道へ踏み込む危険な教科書は、一冊も子どもたちに渡すわけにはいきません。
 今回の教科書採択は、区市町村に採択権が委譲されて初めての、新しい教科書を選ぶ機会です。そして来年度からの学校完全週五日制実施に向けての、学習指導要領改定とあいまって、教科内容の大幅な変更を伴うなかでの採択という意味で、どの子にも二十一世紀に生きる主権者として必要な知識・教養・人格の育成に寄与する教科書を選ぶ、重大な使命を持っていると言わなければなりません。
 そこで教育長に伺います。
一、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義という、憲法三原則に照らして、「つくる会」の教科書を読まれての感想はいかがでしょうか。お聞かせください。
一、教科書採択に関して一九九七年三月二八日の閣議では、「将来的には学校単位の採択の実現に向けて検討していく必要がある」として、「教科書採択の調査研究により、多くの教員の意向が反映されるよう…都道府県の取り組みを促す。」と決定し、さらに同じ年の九月には文部省から同趣旨の「通知」が出され、十二月には行政改革委員会の最終意見でも同じ趣旨の決定がなされています。この精神は、「教える教師が教科書を選ぶ 」と
いうことであり、教科書採択に際しては、教員の意見を重視しなければならないということです。 文京区では教員の意見がどのように採り入れられ、重視されるのでしょうか。
具体的にお応えください。
一、東京都教育委員会は、ことし二月、区市町村教育委員会に対し、「教科書採択事務の改善」についてという「通知」を出しました。石原知事のタカ派的バックアップにより、採択にあたっては「歴史に対する愛情を深め」「国民としての自覚を育てる」方向での調査研究と、いわゆる教科書候補の「絞り込み」などの規定を採択制度から取り除くよう指示するもので、これは区の自治権を無視して特定の見解を押し付けようとするものです。こうした干渉を排除し、文京区の良識をかけて採択を進められるのか、教育長の御決意を伺いたいと思います。
一、区民の教科書についての関心に応えるためにも、見本本の学校循環による公開をすべきです。また、採択後ひき続き全教科の見本本の循環公開をすべきと考えますが、いかがでしょうか。

 以上で、私の質問を終わりますが、答弁のいかんによって再質問を留保いたします。
 ご清聴ありがとうございました。