2008年文京区議会第4回定例会

日本共産党文京区議団

代表質問 島 元 雅 夫 区議

2008年11月19日

内容

区民のくらしと営業支援について

(島元雅夫区議)

まず最初に、区民のくらしと営業支援に全力で取り組む区政を求めて質問いたします。

貧困と格差の拡大で家計は「収入減・負担増・物価高の三重苦」です。これにアメリカ発の金融危機による景気悪化が加わって、くらしや雇用、営業は深刻です。こうした国民の苦難を打開することは喫緊の課題です。

ところが、麻生首相が発表した追加経済対策は、株式の売買益や配当に対する軽減措置の延長、銀行への公的資金投入の拡大など、大企業、大銀行、大資本家への応援が中心です。また、政府が目玉としている2兆円の給付金については、小泉内閣以来、庶民には増税と社会保障の切捨てで、年間13兆円もの負担増を押し付けておきながら、給付はたったの1回、しかも、2年後の消費税増税予約給付金では、「バラマキ一瞬、増税一生」で、とても「くらしの安心」にはつながりません。景気対策というなら消費税増税を許さず、毎年2千2百億円もの社会保障費抑制路線を直ちに中止させ、内需を拡大し、生活擁護の経済に転換させることではないでしょうか。区長の見解を求めます。

区政においてはいっそうの、くらしと雇用を守り中小企業の営業を支援する経済対策が求められるときです。

そこで区長に伺います。

第1に、第二回定例会で、わが党の質問に「今後も中小企業支援のため、有効かつ迅速な景気対策を実施する」との答弁があった、「景気対策本部」はこの間どう機能したのか。目前の原油高、物価高騰と金融危機に対応し、何を検討し、対策をたて実施したのか。また、公衆浴場の風呂釜に対するガス化切り替え補助の進捗状況、及び燃料代等補助はどうか。さらに、公共工事の請負代金の見直しや、今後の工事・物品などの契約に際しては、建築資材の高騰等を踏まえた積算基礎を用いること。

第2に、対象業種が10月31日から拡大され現在618業種となった中小企業向け「原材料価格高騰対応等保証制度」は、相談件数が五倍になったと聞いていますが、その実績はどうか。また、区の「緊急事業資金」は、大田、板橋、北、杉並区などでの無利子の融資に学び、期間を決めて無利子にすべきです。

さらに、生活サポート特別貸付事業、就職チャレンジ支援事業が、文京区社会福祉協議会を窓口に8月から受付・相談が始まりましたが、現在までの実績及び課題は何か。

第3に、昨年、自民・公明政権が改悪した信用保証制度は、保証協会への基金増額で、全額保証に戻すよう国に求めること。また、金融機関による中小企業融資の貸しはがし、貸し渋り対策として、区が一度は廃止した預託原資を復活させること。

第4に、小中学校の給食費は4月に値上げされましたが、この間の食材料の高騰で「献立を作るのが大変だ」との声を聞いています。育ち盛りの子どもたちの給食の質、量、栄養価を確保するため、給食費の値上げでなく、区として食材費の補助を行うこと。また、保育園や介護施設等へも同様の対策を講ずること。

等々について、前向きの答弁を求めるものです。

(区長答弁)

最初に、区民のくらしと営業支援についていくつかのご質問にお答えします。

まず、国が発表した追加経済対策に関するお尋ねですが、これらの問題については、国の政策として実施されるべき事柄であり、社会福祉施策に関し、所要の見直しも検討されていることから、注意深く推移を見守っていきたいと考えております。

次に、景気対策本部はどう機能したのか、何を実施したのか、とのお尋ねですが、景気対策本部では、既に「緊急事業資金」や「経営環境変化対策資金」等の不況業種向けの低利融資あっせんなどの景気対策を実施していることから、4月に引き続き、7月の区報で周知したほか、ホームページやブンネット、文京産業ニュース「ビガー」で利用を呼びかけております。また、今回の「原材料価格高騰対応等緊急保証の特定業種」の拡大を受け、融資受付・相談窓口を増設したところであります。今後も区内中小企業支援のため、有効かつ迅速な景気対策を引き続き実施してまいります。

次に、公衆浴場への補助についてのお尋ねですが、原油の高騰に対する経営の安定化対策と、環境にやさしいクリーンエネルギー化を目的とし、ガス化に対する補助を来年度実施することとしており、現在その準備中です。また、燃料代等の補助を行う予定はありません。

次に、公共工事の請負代金の見直しや、工事・物品などの積算基礎に関するお尋ねですが、区が発注する建設工事に関しましては、都が市場の動向調査を行って作成した最新の「工事積算標準単価表」などを参考に、積算しております。したがいまして、請負代金や物価の上昇または下落に適切に対応しているものと考えております。

次に、「原材料価格高騰対応等緊急保証の特定業種」の拡大に伴う実績についてのお尋ねですが、11月14日からはさらに指定が拡大され、合計で618業種となりました。これに伴い、経営相談件数が約6倍に増え、不況業種認定もこれまでは1か月15件程度であったものが、1日30件を超える認定となっております。また、緊急事業資金を無利子にすべきとのお尋ねですが、本区では既に、本人負担利率0.3%の「緊急事業資金」や「経営環境変化対策資金」を通年で行っております。これらの制度は、単に表面上の利率のみで判断すべきではなく0.3%という低利や8年という償還期間の長さ、代表者が区民の場合には1千2百万円となる融資限度額などから、総合的に見て、他の自治体の緊急対策と比べて遜色ない内容となっております。さらなる緩和等については、今後の経済状況の変化に応じて、適切に対処してまいりたいと存じます。

次に、都の生活安定化事業についてのお尋ねですが、10月末現在、生活サポート特別貸付事業の相談件数は9件であり、就職チャレンジ支援事業は41件の相談がございました。また、この事業の課題につきましては、対象者の要件が厳しく利用しにくいという指摘があったことから、都は収入要件を緩和するなどの対応をとることを検討していると聞いております。区としましては、社会福祉協議会と連携をとりながら、事業の周知徹底を図るなど利用の促進に努めてまいりたいと考えております。

次に、信用保証制度は全額保証に戻すよう国に求めること、また、預託原資の復活をとのお尋ねですが、責任共有制度は、金融機関と保証協会の間で適切な責任分担を図ることで、金融機関が貸し手としての責任ある融資を行い、保証協会と連携して、中小企業者の経営支援を行うことを目指して導入されたものであります。また、今回の「原材料価格高騰対応等緊急保証の特定業種」に認定されると、信用保証協会の100%保証を受けることができるなど、責任共有制度の対象外となる融資制度もございます。したがいまして、全額保証制度に戻すよう国に求めることは考えておりません。また、預託金制度については、当初の役割を終えたものと判断し、関係機関との協議を行い、十分に検討を重ねて、ご理解を得た上で廃止したものであり、改めて復活させる考えはありません。

(教育長答弁)

学校給食の食材料費補助についてのお尋ねですが、給食費につきましては、平成20年4月に改定したところであり、現在の給食費で、栄養摂取基準に沿った給食を実施しております。したがって、補助については考えておりません。

(区長答弁)

次に、保育園や介護施設等の給食費や食材費に関するお尋ねですが、保育園では、給食費として保護者から費用を徴収することは、いたしておりません。区立保育園においては、必要な予算の措置を行い、給食用食材の価格の高騰に適切に対応いたしております。介護施設等における、食材費につきましては、各運営法人の経営努力で賄われるべきものであり、区が補助を行うことは考えておりません

安心して出産できる周産期医療、認証保育園問題について

(島元雅夫区議)

次に、周産期母子医療について伺います

出産間近に脳内出血を起こした都内の女性が、8つの病院に受け入れを断られ、亡くなるという事件がおきました。

今回の妊婦死亡事件では、新生児のNICU(集中治療管理室)がいっぱいで、文京区の東大病院、順天堂医院も受け入れを断りました。東京の大病院でありながら、産科医もベッドも足りない「現実」に、大学病院がたくさんある文京区でも安心してお産ができないのかと大変な驚きと衝撃が走っています。区内には、お産ができる病院、施設がいくつあって、ベッドは何床になるのか。周産期を扱える病院はいくつあるのか、また、問題点は何か伺います。

産科医の不足を解消し、出産可能な医療施設を確保し、安心して子どもを産める環境を整えることは国や行政の責任です。今回の事件を踏まえ、安心して出産ができるようにするために、文京区は行政としてどのような対策を考えているのか、お答えください。

第三回定例会で、わが党は、都立大塚病院を例に、医師、助産師、看護師が足りないなかで、近隣の県からもお産や母体搬送、集中治療が必要な新生児の収容を一手に引き受け、生命を救う病院としての役割を担っている都立病院のあり方を問いました。「生命にかかわる三次救急医療とともに、地域の医療体制の確立がどうしても必要です。痛ましい事故を繰り返さないためにも、医師確保と緊急の医療体制の構築を図るためにも、都立病院統廃合計画の見直しを都に求めていくべきです。併せて伺います。

次に、僅か2ヶ月で閉園になった認証保育所「ハッピースマイル」問題に関連して伺います。

9月に開園したばかりの中野区内の認証保育所「ハッピースマイル」など、首都圏を中心に保育所・学童クラブ等29施設を経営する株式会社「エムケーグループ」は10月31日、経営難を理由に、全施設を閉鎖しました。保護者からは、「明日から子どもはどこに預けたらいいの」とか、職員からは「給料が払われていない」の声があがるなど、関係者に不安と衝撃を与えています。

営利企業の参入を認める都独自の認証保育所をめぐっては、4月にじゃんぐる保育園での職員架空申請で初の認証取り消しが起こり、9月に小田急系保育所で補助金の不正受給が発覚するなど問題が相次ぐなかの、今回の事態です。これは、公立保育所に替わって認証保育所を保育の重点に据える東京の施策自体が、すでに破たんしていることの表れではないでしょうか。区長の見解を伺います。

企業が保育事業に参入し利潤を上げることと、良い保育をすることは矛盾するということが、改めて明らかにされました。いつも犠牲になるのは幼い子どもたちや保護者、保育士です。緊急に待機児対策を迫られている文京区だからこそ、保育の質を保ち、区立直営や社会福祉法人による認可保育園の増設を基本にすえた対策が求められています。区長の見解を伺います。

(区長答弁)

次に、周産期母子医療についてのいくつかのご質問にお答えします。

まず、お産ができる病院、施設がいくつあって、ベッドは何床になるのか、また、周産期を扱える病院はいくつあるのか、とのお尋ねですが、区内の分娩施設としては、5病院、1助産院のあわせて6施設ございます。ベッド数につきましては、病院の場合、産科のみのベッド数はわかりませんが、助産院は7床となっております。また、高度な周産期医療を行う病院として、順天堂大学医学部附属順天堂医院にNICU6床、東京大学医学部附属病院にNICU9床がございます。

次に、周産期医療の問題点は何か、というお尋ねですが、今回のような周産期医療の問題は、複合的な要因から発生していると考えられます。その要因として、産科医師の過酷な勤務状況と医師不足という悪循環、そして、分娩を取り扱う医療施設の減少やハイリスク分娩の増加などがあげられます。

次に、行政としてどのような対策を考えているのか、というお尋ねですが、周産期母子医療センターの整備や、医師の育成確保などは国や都の責任であり、さる11月10日に特別区長会として厚生労働大臣に申し入れを行っております。区としては、安全な分娩のためには妊婦の自己管理も重要であることから、妊娠早期から、かかりつけ医を持つことを広く啓発してまいります。また、妊娠届け出時に妊婦健診票14回分を交付し、リスクの高い方への保健指導を行うなど、妊娠中の健康管理を支援してまいります。

次に、都立病院統廃合計画の見直しを都に求めるべき、とのお尋ねですが、都立病院の見直しについては、運営状況を踏まえた検討を行うとともに、医療機能の強化を打ち出していることから、今回の事例とは直接の関係はなく、区として見直しを都に求めていく考えはございません。

次に、認証保育所についてのご質問にお答えします。

「保育に欠ける」要件の如何に関わらず、希望する日数や時間に柔軟に応じる保育を行ったり、13時間以上の開所により、二重保育を回避する、駅から至近距離での開所など、多様化する保育ニーズに対応してきた認証保育所が果たしている役割の重要性を本区としては、高く評価しております。したがいまして、「保育園待機児童緊急対策」に位置づけている認証保育所の開設誘致の方針を変えることはありません。本区におきましては、区内認証保育所の園長等との連絡会などを通じて、各園の運営状況の把握に努めているところですが、制度や基準を守らない事業者が存在することを取り上げて、認証保育所制度そのものが不十分な内容であるかのような指摘をなされることは、全く当たらないと考えております。

なお、今後、待機児童対策として私立認可保育園の誘致は行ってまいりますが、区立保育園の新設については考えておりません。

後期高齢者医療の撤回と介護保険制度の改善について

(島元雅夫区議)

次に、後期高齢者医療制度の問題について伺います。

差別医療を持ち込み、しかも、2年ごとに保険料が際限なく上がっていく「後期高齢者医療制度は廃止」の声がいっそう高まるなか、10月15日には四回目の年金天引きが行われました。今まで息子さんなどに扶養されていた健康保険の扶養家族の方、1073人からも新たに保険料の徴収が始まりました。この制度に対する怒りの不服審査請求は、9月5日現在、全国で8040件にもなっています。このような中、舛添厚生労働大臣が10月に「高齢者医療制度に関する検討会」に提出した「75歳以上専用バス」のイラストには、「行き先はうば捨て山かな」「早く死ねというのか」など不安げに語る高齢者の姿が描かれており、大臣自らが、「うば捨て山」と認める説明をしています。区長は今でも「高齢者世代と現役世代の負担を明確にし、高齢者が安心して医療を受け続けられるようにするため議論を重ねて導入をされたもの」という認識は変わっていないのですか。お答えください。

また、厚労省の見解では、国による保険料の軽減策で七割の方が軽減されると宣伝していますが、これは今まで負担がなかった人を除外した不正確な調査であることが、わが党の国会論戦で明らかになりました。また、終末期医療の「相談支援料」は凍結されたものの、10月から「後期高齢者退院調整加算」が導入され、高齢者を病院から締め出す具体化が始まっています。「後期高齢者医療制度」は、「見直し」ではなく、きっぱりと廃止することを国に求めるべきです。伺います。

次に、介護保険問題で伺います。

「介護の社会化」といって創設された介護保険制度は、来年の見直しで第四期目となります。

この間の制度改悪によって、保険料は容赦なく取られるが、必要な介護が受けられない事態が相次いでいます。今年3月にまとめられた区の「介護予防給付対象者実態調査」でも、悲鳴にも似た声がたくさん寄せられています。先日行われた「文京社会保障推進協議会」の区との懇談のなかでも、「同居している介護度4の実母を介護し、ろう唖の子どもを学校に連れて行く日常生活に加え、近くに住んでいる主人の母親が介護度1になった。ヘルパーをお願いしたが、歩いて10分以内の距離なので同居とみなされ認められなかった。お昼はお弁当をとったらどうですかと言われた」など、リアルな実態が明らかになりました。区として、こうした実態を把握しているのか、他に同様の例があるのか伺います。

介護ベッドや車イスの取り上げに続き、2006年には厚労省の通達により、「介護保険の適正化」の名のもと、昼間独居でも同居家族がいるなどのケースの場合ヘルパーの派遣が制限されました。しかし、「ゆき過ぎた適正化」への批判に、厚生労働省はこの間、3回もの通達を出し、「同居家族がいることを理由に一律に生活援助サービスをカットせず実情に合った対応をするよう」指導しています。通達を真摯に受け止め改善を求めるわが党の質問に、区は「介護の抑制は行っていない」との答弁を繰り返していますが、10月、「地域推進協議会高齢者・介護保険部会」に提出された第三期の訪問介護の実績では、2006年度、18億円だったものが、2007年度には15億円と3億円も減っています。この数字の実績は何を意味するのか。区の分析でも、訪問介護の実績は計画見込みよりも減少幅が大きい、「給付適正化」の効果が現れていると考えられるとしていますが、これが「介護の抑制」の結果ではないのですか、併せて伺います。

いま、区には5億円を超す介護給付費準備基金があります。今年度末で、さらに基金が増えるわけですから、このお金を使って、厚労省の通達に基づき必要なヘルパー派遣を増やしていくべきです。また、区は第四期目の介護保険料見直しで、11段階にする案を示し、第4段階の介護保険料について基金の5億円を取り崩せば年間で4100円の保険料の引き下げができるとしています。基金を最大限活用して23区で一番高い介護保険料を引き下げていくべきです。また、国に対して「介護保険制度」に対する国庫負担の増額を要求していくべきですが、あわせて伺います。

さらに、私たちが条例提案を行ってきましたが、区の一般財源による、日中独居の高齢者や高齢者世帯への家事や外出援助のための区独自のヘルパー派遣を行うよう求め伺います。

(区長答弁)

次に、後期高齢者医療制度についての ご質問にお答えします。

まず、本制度に対する認識については、これまでお答えしてきたとおりであり、変わっておりません。なお、必要な改善点については、これまで区長会及び広域連合を通じて要望を行ってきており、今後も必要に応じて行ってまいります。

また、制度の廃止について国に求めるべきとのご意見ですが、本制度については、国において今後1年程度かけて改善・見直しが行われると聞いており、国政の場で十分議論されるものと認識しております。現在、区としては、法に基づき円滑な実施に努めているところであり、今後の国政の動向を見守りたいと考えております。

次に、介護保険制度についてのいくつかのご質問にお答えします。

まず、必要な介護が受けられない実態を把握しているのか、とのお尋ねですが、介護サービスの利用実態については、高齢者実態調査や相談事例等により、把握に努めているところです。介護保険制度では、ケアマネジャーが介護ニーズのアセスメントを行い、必要なサービスについてマネジメントを行うこととなっております。しかし、同居家族がいる場合の生活援助等については、運用の差が生じておりましたので、ケアマネジャーに対し、同居家族がいる場合の「生活援助算定確認シート」の利用を提示するとともに、アセスメント内容を深めるためのグループ討議に取り組んでいるところです。今後も、こうした取り組みを重ね、利用者が適切なサービスが利用できるよう、対応してまいります。

次に、平成18年度に比べ平成19年度の訪問介護の給付額が減少している、とのお尋ねですが、主な要因としては、介護保険の範疇を超えて提供されていたサービスが、適正化によって減少したものと認識しております。適正化は、介護サービスが本来の目的に沿った形で提供されるために必要なものであり、給付額の減少をもって、抑制であるとは考えておりません。

次に、厚生労働省からの通達に関するお尋ねですが、今年8月の厚生労働省の通達では、参考にすべき例として川崎市の考え方が示されておりますが、本区もほぼ同じ考え方に立って対応してまいりました。しかし、未だに運用に差が見られることから、先ほど述べましたように、部会の開催等により考え方の周知に努めてまいります。 サービスの提供は、あくまでも適切なアセスメントに基づいて提供されるべきものであり、今後ともその観点から、対応を行ってまいります。

次に、介護給付費準備基金の活用についてのお尋ねですが、介護給付費準備基金は、計画期間中の剰余金を適切に管理し、次期介護保険事業計画期間において取り崩すことが基本となります。第4期事業計画における保険料算定では、最低限必要な額を除き、その活用を検討してまいります。

次に、「介護保険制度」に対して、国庫負担の増額を要求していくべき、とのお尋ねですが、介護保険制度に関しては、調整交付金を別枠化し、給付費の25%を確実に国庫負担とすることなどを重点要望として、全国市長会を通じて国に要望しております。今後も必要な事項については、積極的に国に要望してまいります。

次に、日中独居の高齢者世帯に対し、区独自のヘルパー派遣を、とのお尋ねですが、日中独居の場合、アセスメントによって必要性が高い世帯に対しては、介護保険での対応を行っております。介護保険が適用できない場合は、社会福祉協議会やシルバー人材センターのサービスを始めとする、様々な社会資源の活用が考えられます。そのため、区独自のヘルパー派遣は考えておりません。

福祉センター、教育センターの建て替え問題について

(島元雅夫区議)

次に、福祉センターと教育センターの建て替え問題について伺います。

福祉センター及び教育センター建て替え地等検討協議会は、11月に第5回目が行われましたが、区側の考えと協議会メンバーとの思いに隔たりがあるように伺えました

新福祉センターには、多くの関係者の皆さんの期待が込められています。五中に整備予定の障害者福祉施設について民設民営、公設民営の二つの提案がありましたが、「公設公営という選択肢はないのか」、「民設民営では社会福祉法人であっても区がきちんと責任を負えないのではないか」という不安の声があります。区が民設民営にこだわる理由は何か、伺います。

区内に初めて設置される入所施設は40人規模の計画ですが、現在遠隔地も含め区外の施設に入所されている方が120人近くおり、入所施設が新設され希望者が増えることを考えれば、この規模が適切なのか。10人規模の短期入所施設についても可能な限り希望者の要求に沿う施設とすべきです。そして、入所者には地域生活への移行を促進するとしていますが、整備が進まないグループホームなどの受け皿をどうしていくのか、併せて答弁を求めます。

また、自立訓練事業は、就労も視野に入れるとしています。一歩すすんで、そこに関係者の悲願である「パン工房など製造・販売ができるような施設にしてほしい」と思いますがどうか。

さらに五中は、文京区全域で考えた場合、交通の利便性に難点があること、江戸川橋駅には地上まで出られるエレベーターが設置されていないことなどをどう解決するのか、併せて伺います。

新教育センターについては、協議会の中に現場の教員や保護者が入っていないことで、センターの機能・内容をどうするのか、踏み込んだ議論がなされないまま、場所の議論だけとなっていることに、委員から「分科会を設置して議論する必要がある」と提案がありました。徹底的に議論し子どもたちが理科や科学に興味を持ち楽しく学べる場であるとともに、指導に当たる教員の要望が反映される施設となるよう対応すべきですが、伺います。

また、教育センター整備予定地の1つである大塚女子アパート跡地については、10月の第四4協議会で委員から、「誰もが通える茗荷谷の女子アパート跡地に建設してほしい」との強い要望が出されました。区は「候補地に挙げているが、本当に実現可能かどうかむずかしい」という答弁でした。しかし、区のプランでも大塚女子アパート跡地は、「交通至便な場所に位置しており、利用者の利便性はきわめて良好」、「交通の便が重要な要素となる」と述べていますし、福祉センター通園児保護者アンケートでも「交通の利便性」を要求する回答が一番多かったという点も、しん酌すべきです。また、次回の協議会でも議論の俎上に載せる予定の区としては、あくまでも可能性を追求していくべきです、答弁を求めます。東京都財務局は、文京区が活用の意向を示すのであれば、まだ検討の余地はあるとしていますので、区として東京都に、売却もしくは貸与の申し入れを早急に行うべきです。お答えください。

(区長答弁)

次に、福祉センターと教育センターの建て替えに関するご質問にお答えします。

まず、障害者福祉施設の運営形態についてのお尋ねですが、施設の整備にあたっては、社会福祉法人のスキルやノウハウを十分活かすことで、効果的かつ効率的な施設整備が可能になるものと考えております。

次に、入所施設の定員規模についてのお尋ねですが、入所施設につきましては、短期入所施設を含め、可能な限り地域の中で自立した生活ができるよう、自立訓練事業の実施等により、自立生活への移行を促進してまいります。そのため、計画規模の定員で対応が可能であると考えております。

次に、グループホームなどの受け皿はどうするのか、とのお尋ねですが、障害者が地域で自立した生活を実現していくためには、グループホームやケアホームは必要な施設であり、その設置については今後の重要な課題であると認識しております。そのため、民間事業者等による事業の誘致に努めてまいります。

次に、自立訓練事業の内容と関係者の要望に応えた施設にすべき、とのお尋ねですが、自立訓練事業は、身体障害者等が可能な限り残存能力を活用し、自立した日常生活や社会生活が営めるよう、機能訓練や生活訓練を行い、就労にも結びつくよう支援するものです。現在は建て替え地等を中心に検討を進めている所ですが、実際に施設を整備するにあたっては、関係者の要望を踏まえて検討してまいります。

次に、候補地としての区立第五中学校の利便性の確保についてのお尋ねですが、 障害者福祉施設等の整備にあたっては、五中周辺の歩道整備を図るとともに、敷地内に車の駐停車スペースを十分に確保するなど、アクセス面の向上を図りたいと考えております。また、東京メトロの江戸川橋駅のエレベーター設置については、引き続き要望し、バリアフリー化を図ってまいりたいと考えております。

次に、新教育センターについては、教員の要望等が反映されるように対応すべき、とのお尋ねですが、喫緊の課題である両センターの建て替え候補地について検討しているものであり、両センターのあり方については、それぞれの現場関係者を含め、既に一定の内部検討の成果を踏まえているところであります。

次に、大塚女子アパート跡地についてのお尋ねですが、本敷地につきましては、賃貸の可能性は残されていることから、候補地のひとつとして協議会に提示しているところですが、都においては、独自に活用方法を検討しているとのことであり、また、区においても、相当の新たな財政負担が生じることになるものと想定されます。

今後、答申が出された後、総合的な観点から対応してまいりたいと考えております。

建設中の音羽中学校について

(島元雅夫区議)

次に、来年9月開校の予定で建設中の音羽中学校について伺います。

私は、将来ビジョン素案における統廃合年次計画の廃案の中に五中・七中の統合計画も含めるべきとの立場をとっていますが、音羽中学校は、開校を急ぐあまり、使いやすく・教育効果を考えた教室とは程遠いものとなっているという話が聞こえてきます。たとえば美術室は、絵画を描かせるためには自然採光が必要であるのに地下室であり、家庭科室は二酸化炭素を出さないためにオール電化でガスを使用しての調理指導ができない、他の特別教室の水回りなどについても不具合があるなどです。また、地上6階、地下2階の合計8階建ての校舎に11人乗りのエレベーターが一基です。災害時の避難所となることを考慮するなら、十分とはいえません。これから数十年も使っていく校舎です。現場の教職員が長年培ってきた経験や知恵が活かされるよう、今からでも必要な見直しを行ない、だれもが納得でき夢や希望を持てる教室に仕上がるようにすべきと考えます。教育長の決断を求めます。

併せて、「隣接する校庭」確保の問題では、筑波大学は特別支援教育のさらなる推進の目的から、春日1丁目にある大塚養護学校も含め、近県に所在する養護学校などを再編や集約するなどの構想を打ち出していると伺っています。そうした状況も鑑み、私たちがこの間提案しているように、筑波大学との交渉を含めグラウンド用敷地の確保に向け動き出すよう要望し、答弁を求めます。

(教育長答弁)

次に、音羽中学校の新校舎の設計を見直すべきとのお尋ねですが、音羽中学校の校舎につきましては、生徒が常時使用する普通教室を、日当たりと眺望に恵まれた南側の3階から5階に配置すると共に、夜間開放する場合の動線分離やセキュリティーの確保に配慮するため、地下階に特別教室や地域開放室を設けております。

美術室につきましては、美術室の前に、幅6メートル以上のドライエリアを設け、十分な採光と通風を確保しています。また、家庭科室につきましては、環境と安全面への配慮並びに経費の節減のため、オール電化にしたものでございます。その他の水回りにも十分配慮して対応しており、エレベーターも、他の小中学校と異なった設計にはなっておりません。

また、音羽中学校の運動場は、第七中学校跡地に建設いたしますので、隣接敷地の取得については、考えておりません。

春日・後楽園駅前再開発の問題について

(島元雅夫区議)

次に、「春日・後楽園駅前再開発事業」について伺います。

再開発事業の説明会がおこなわれた八月以降、「文京区の環境を守る会」をはじめ、近隣町会・商店会からの要望や意見書が提出され、その後も10月31日には本郷・下真砂町会有志などからも計画変更を求める陳情書が提出されるなど、変更を求める声が広がっています。

この間、住民の会と区、また準備組合との懇談が持たれていますが、双方の意見の溝が埋まっていかないことが大きな問題だと思います。区として、近隣住民から出されている意見を集約して、それに正面から応える姿勢が大事ではないでしょうか、伺います。

わたしたちは再開発事業自体に反対する立場ではありませんが、この計画は、高さに象徴されるように規模の問題でも、周りに与える環境面でも、また住民の生活や営業を守る点からも計画の見直しが必要だと考え、以下何点か具体的に伺います。

第1に、再開発事業の規模、とりわけ建物の高さの問題です。

住民から出されている「なぜ155mなのか」の質問に区は、権利者と長年話し合い、公共性などを考え、結果として155mになったと説明しています。「区の見解」のなかでは「シビック周辺の(ドームホテルと後楽西再開発の)二つの先行事例により」決定したとしていますが、区は先行事例をどう評価しているのか。近隣住民が共通して要望している「周辺ビルより突出しない高さに」は、切実な願いだと思うがどうか。また、高さの見直しをしない理由は何か、併せて伺います。

昨年の第三回定例会では、東大赤門わきのマンション建設問題で、「環境や景観の悪化に対する住民の不安を考慮して十分な協議を重ねるよう、建築主に対して指導」することを区長に求める請願が採択されました。これを受けて区長は野村不動産社長に対し、請願の採択を重く受け止めて計画の再検討をすること、事業に当たっては、法令を遵守することなど「良好な近隣関係を損なうことのない計画とされる」よう申し入れをおこなっています。この立場は今度の再開発事業にどのように生かされるのか、明確にお答えください。

第2に、風害など環境に与える影響の問題です。

風力については平均値でなくて北風の強い時期の最大値のシミュレーションを区民に示すべきです。事業者説明会では、実施設計が固まる段階で詳細調査のうえ対策を検討するとのことでしたが、都市計画決定後に行うのでは意味をなしません。区長も「環境影響評価書」への意見の中で「現況の風環境に近づけるよう努められたい」と表明しているわけですから、それを保障する対策を求めるべきです。また、CO2排出量は、計画通り街区が完成した場合、現状と比べてどれくらい増えることが予想されるのか。都内の業務部門のCO2排出量はこの15年間で33%増えていますが、それは事務所ビルの床面積が、7万uから11万uに増加したからだと分析されています。この面からも事業の見直しをすべきと考えます。

さらに地下駐車場への出入りの関係で、エンマ商盛会通りの交通渋滞が予想される対策はどうなったのか。現在の検討状況と今後の対策をお示しください。併せて伺います。

第3に、まちづくりの角度から伺います。

「都市マスタープラン」ではこの地域を、「多様な行政サービス機能の充実を図り、にぎわいのある区民生活、文化のシンボル拠点」としていますが、他方で区民からは、静かで地域に根付いた商店街があり、繁華街と違った良さ≠求める意見もだされています。六本木ヒルズ再開発では、従前からの商店が建物の外装や営業時間、会計システムまで統一を強制され、結局二軒しか営業を継続できなかったといいます。地権者の居住権と営業権の保障をどう考えているのか。また、再開発ビル内には大型スーパーの参入も噂され、近隣商店街が存続できるのか心配の声が上がっていますが、商店街を守る対策についても明らかにすべきです。

さらに、住民合意のない超高層ビル等による住環境の悪化を許さないための規制とコントロールをするための、「まちづくり条例」の制定が必要と考えますが、併せて伺います。

第4に、区民への事業説明が一方的、押し付け的であるとの声が上がっていることへの改善を求めます。

一例ですが、「地域貢献度の高い」という公共施設の計画内容、都市計画決定前の現段階で、事業費額、保留床処分金や補助金の試算、ビル床処分価格など、区民に再開発事業の是非を判断できる情報を提供し、住民の納得が得られるよう真摯な対応を求め、区は指導すべきです。それが自治基本条例を制定した区の姿勢であると思いますが、どうか、今後の区民説明会の予定とそのあり方についても併せて伺います

(区長答弁)

次に、春日・後楽園駅前地区市街地再開発事業についてのご質問にお答えします。

まず、近隣住民への対応についてのお尋ねですが、都市計画素案の説明会後、区や準備組合が近隣住民の要請に応え、地域ごとに説明を行うとともに意見交換も行い、現在も進めているところです。また、区としても、近隣住民から出されている意見を正面から受け止め、これまで行った説明会などにおいて寄せられた、意見・要望などの中で反映できるものについては、区から準備組合に要請を行っているところです。

次に、155mの先行事例をどう評価しているのか、とのお尋ねですが、先行事例といたしました東京ドームホテルと後楽西地区再開発事業の155mは、いずれも小石川後楽園からの眺望に配慮した高さと考えております。

次に、建物の高さについてのお尋ねですが、近隣住民の方々からのご意見には、建物の高さについて懸念するものが多いことは認識しております。

現在も準備組合が、近隣住民の方々に対して説明し、意見交換を行っている状況であり、その推移を見守っているところであります。

次に、昨年9月議会で採択された請願に対する指導が今回の再開発事業にどのように生かされたか、とのお尋ねですが、当事業においては、都条例による環境影響評価を実施することにより、周辺環境への配慮を十分行っております。区は準備組合に対して定期的な話し合いを行うとともに、準備組合が近隣住民の方々に説明し、意見交換を行っていることから、請願の主旨と同様に実施していると考えております。

次に、風害などについてのご質問についてお答えします。風環境につきましては、シミュレーションより精度の高い風洞実験により検証しております。東京都環境影響評価条例により、建築物風洞実験ガイドブックの規定に従い、年間を通した風環境の変化について検証しており、規定外の風強度についての実験は行なっておりません。

今後、詳細な設計を進める中で、十分な風対策を講じるように準備組合を指導するとともに、実施設計が固まった段階で、改めて風環境の変化を確認いたします。

次に、CO2排出量に関するお尋ねですが、現状のCO2排出量を正確に把握できないことから、事業による増加を予測することは困難です。しかしながら、平成22年度から実施される予定の「東京都地球温暖化対策計画書制度」を先取りした施設計画とすることから、標準的な建築計画と比べて20%以上のCO2削減が図られることとなり、環境の面にも配慮された計画となっております。

次に、交通渋滞への対策についてのお尋ねですが、近隣商店街周辺の交通渋滞の対策につきましては、現在の状況を十分踏まえながら、交通渋滞が発生しないように、今後の対策も含め、交通管理者と協議を進めているところでございます。

次に、地権者の居住権と営業権の保障や商店街を守る対策についてのお尋ねですが、 事業計画の策定にあたりましては、地権者の方々が住み続け、営業し続けられることを最優先とする計画となるよう、区も指導し、準備組合も検討しております。また、近隣商店街と準備組合が話し合いを行い、ともに賑わいのある商店街となるよう検討が進められているところです。

次に、住環境の悪化を許さないための「まちづくり条例」の制定についてのお尋ねですが、来年度から着手を予定している都市マスタープラン改定の際に、住環境の保全や建築紛争の予防などを図るため、絶対高さ制限の導入を検討しております。したがいまして、「まちづくり条例」の制定は考えておりません。

次に、区の姿勢についてのお尋ねですが、市街地再開発事業における情報について、公開可能なものについては積極的に開示し、住民の方々の理解を得るよう準備組合を指導しております。また、区としても先ほど、お答えしたとおり、近隣住民から出されている意見を正面から受け止め、これまで行った説明会などにおいて寄せられた意見・要望などの中で反映できるものについては、区から準備組合に要請を行っているところです。今後の区民説明会の開催につきましては未定でございます。

湯立坂の銅御殿と元町公園・旧元町小の文化財を守る問題について

(島元雅夫区議)

次に、小石川5丁目の旧磯野邸(通称「銅御殿」)の保存問題について伺います。

国の重要文化財である湯立坂の「銅御殿」の隣地に野村不動産が建設予定の地下2階、地上14階のマンション計画については、2006年第一回定例会で、わが党区議団がとりあげ、「保存に影響を及ぼす行為は文化庁長官の許可が必要」だが、「区としても文化庁長官の許可等の判断ができる資料として、近隣住民が求める環境影響実態調査を業者に求めるべき」だと指摘するなど、業者への強力な指導を求めてきました。    

2006年2月17日に行われた計画説明会では、野村不動産は、隣地に国の重要文化財が存在することを知らないまま建物の設計をしたことが明らかになった上に、分かった後も、「銅御殿」への影響を全く考慮しない設計のまま3月17日に建築確認を申請し、そのわずか12日後には建築確認をとったのです。

そうした中で、同年3月から所有者である大谷美術館と野村不動産との間で、5月からは「湯立坂マンション問題を考える近隣住民の会」と野村不動産との間で、区長による「斡旋」協議が行われ、あわせて14回の協議が行われたと聞いています。

そして、地盤面からの建物の高さを43.27mから4.74m低くし、「銅御殿」庇からマンション建物の距離を9.7mから11.1mにと、1.4m後退させる、また植栽帯を増やし湯立坂の緑との連続を図るなどの修正が行われたものの、2006年2月の原案からの譲歩は僅かなものでした。

計画マンションは、湯立坂の道路面と地盤面の高低差が約8mあることから、道路面からは依然として46mを超える高層ビルであり、地下駐車場建設による10数mの地下掘削計画に何ら変わりがないことから、隣接する重要文化財へのビル風や地下水の影響などの懸念がいまもって払拭されていないのです。区の斡旋の場で事業者側により、「あのままで仮に500年もつとして、この建物が出来たら160年」と、重要文化財の寿命が3分の1になるかもしれないという重大発言をしていますが、重要文化財の寿命が短くなることについて区長のお考えはどうか、お聞かせください。

風害による文化財への被害の懸念には根拠があり、「銅御殿」隣地の15階マンションの「ドミ小石川」は1971年に建設されましたが、この年の夏、銅御殿の隣にあった茶室の屋根が庇ごと風で吹き飛び、茶室は取り壊しを余儀なくされ、その後も、銅御殿駐車場の鉄板製の門扉が強風で倒れるなど、マンション建設以前にはなかったビル風による被害が起きました。こうした被害を区長は把握していたでしょうか、伺います。

また、文化財の寿命が3分の1になるという発言が区の斡旋の場でなされながら、区長は、この計画マンションが建設された後「ドミ小石川」などとの複合的なビル風の影響、特に台風などの強風時に銅御殿の庇や軽い銅版拭きの屋根や修復不可能とされる窓ガラスへの影響がどうなるか、こうした具体的な状況設定のもとでの影響調査を事業者に求めたのか、またそれを文化庁に報告するよう指導したのか、伺います。

「土質柱状図」によると、この計画地は非常に軟らかい土質で形成されている緩斜面であり、下に流れる二層の地下水が、地下建造物でせき止められることで地盤沈下が起き、その結果、銅御殿の基礎部分に大きな歪みが生じる可能性が憂慮されています。詳細な調査に基づく万全な対策が必要ですが、行われているのか。また、調査データ・対策の内容がいまだに大谷美術館や近隣住民に示されていないもと、区の指導で開示させる必要があると思いますが、併せて答えてください。

斡旋の中で、大谷美術館側から大学で教鞭をとる二人の専門家によるマンションの「対案」が提出されています。しかし、その案は検討をされた痕跡もなく、理由も示されず野村側から却下されました。それは、隣地の土地を一部交換することを含めた風等の影響を極力少なくする設計だといわれています。こうした提案が行われたことを契機に事業者、大谷美術館、文京区、近隣住民、専門家などにより、区主導でひざ付き合わせた話し合いが必要だったのではないでしょうか。区長に伺います。

いま現場は、7月の斡旋打ち切り後の、事業者による来年早々の建設工事着工通告をうけ、切迫した事態になっています。

区長は、今回の斡旋が国の重要文化財保存をめぐって行われ、銅御殿とマンション建設問題はマスコミでも広く取り上げられるなど、文化庁、文京区の対応とその帰趨が注目されていることからも、事業者による工事強行という最悪の事態を回避し、再度協議を再開するよう仲介の労をとることが求められています。斡旋が不調に終わったいま、「文京区中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整及び開発事業の周知に関する条例」第十条による「調停」に移行するよう勧告をする時がきたと思いますが、区長の見解を伺います。

次に、元町公園、旧元町小学校の保存について伺います。

旧元町小学校を、来年1月から6年間にわたって順天堂大学へ貸与するという報告が今定例会にされます。

しかし、2006年7月に諮問された元町公園の都市計画変更については、3回の継続審議を経て、2007年8月の都市計画審議会で「元町公園の歴史性、文化性についてさらに議論を深める」必要があるとして、「再検討」という結論が出され、区に差し戻されました。公園廃止と小学校が解体の危機をまぬがれたのは、区民と国の文化審議会名勝部会、区の文化財保護審議会等の有識者のみなさんの元町公園と旧元町小学校を関東大震災後の復興小学校建築として文化財指定をという、大きな運動があったからです。

こうした経緯を踏まえれば、元町公園・旧元町小学校について、文京区はその文化性、歴史性について詳細な調査を行い、文化財保護審議会に諮るなど、文化財登録の手続きを進める責任を負っていると言わねばなりません。しかし、現状はそのように推移しているとは言い難いものがあります。

貸与期間の6年の間に、区の幹部職員は入れ替わります。だからこそ、今後も学校の活用を積極的に図ることと文化財として保存することが矛盾しない方法を、今検討しておかなければなりません。順天堂大学に貸与する前に、まず現状をどのように残すべきか、変更はどこまで許されるのか、また耐震補強の仕様など専門的知見による調査、検討が必要です。そのために、まず早急に「調査委員会」を立ち上げ、順天堂大学当局と調整を図ることを提案いたします。区長の答弁を求めます。

また、旧小学校の活用によって、元町公園も学生や地域の子ども達、大人もくつろげて安全な公園として生き返るよう、公園も含めた詳細調査と整備のための組織を立ちあげることを要望し、区長の答弁を求めます。

この項の最後に、区のシビックセンター建設による小石川後楽園への影響に関して、1991年12月、当時の富田誠一教育長が坂本光一東京都教育長に「詫び状」とともに「確約書」を提出した件に触れたいと思います。そこには、「区内にある国・都指定の文化財に対しても、可能な限りの保存・活動に協力いたします。」と記されています。「喉もと過ぎれば熱さを忘れ」であってはなりません。「文の京」を名乗る区として、観光ビジョンを推進するためにも文化財など観光資源をおおいに保存し、また広く区外にアピールするためにも後世に恥じない対応が今こそ求められていると思います。区長の見解を伺います。 

(区長答弁)

次に、小石川五丁目の旧磯野邸の保存問題について、いくつかのご質問にお答えします。 

まず、重要文化財の寿命についてですが、事業者側の推測と認識しておりますが、

私としては重要文化財については、長く保存されるべきものと考えています。

次に、ドミ小石川のビル風による被害についてのお尋ねですが、ご指摘のビル風による被害については、聞いておりますが、因果関係については、把握しておりません。

次に、斡旋の場で発言のあった複合的なビル風の影響等についてのお尋ねですが、斡旋は、当事者同士が話し合う場であり、区が、事業者に対して何かを求めたり、指導することはありません。

次に、土質の詳細な調査データ・対策の開示についてのお尋ねですが、ボーリング調査は確認しておりますが、詳細な調査が行われているかどうかは、承知しておりません。

次に、当該マンション計画の対案についてのお尋ねですが、対案は、現行の事業計画を大きく見直す内容であったと聞いており、事業者が検討すべきものと考えております。

次に、斡旋から調停への移行についてのお尋ねですが、斡旋においては、お互いの主張がほとんど一致することがなく打ち切ったものであり、このような状況の中で調停へ移行することは困難であると考えております。

最後に、元町公園・旧元町小学校に関するご質問にお答えします。

まず、貸与に先立ち、現状の調査を行うべきとのお尋ねですが、旧元町小学校等の貸与にあたっては、老朽化した校舎の耐震対策等が必要であると認識しておりますが、具体的な工事方法等は、詳細な耐震診断後のこととなります。工事にあたっては、順天堂大学と十分調整し、できる限り基本的な骨格や外観の変更を行わない等の配慮をしてまいりたいと考えております。なお、調査のための委員会の設置は考えておりません。

次に、元町公園も含めた調査と整備のための組織を設置すべきとのお尋ねですが、今回の取り組みは、旧元町小学校に係る暫定的な対応であり、元町公園については対象としておりません。

次に、文化財を観光資源として保存し、広く区外にアピールするためにも、後世に恥じない対応を、とのお尋ねですが、元町公園の歴史性は十分認識しており、今後とも適切に対応してまいりたいと考えております。

区立図書館への指定管理者制度導入(丸ごと民間委託)は馴染まない

(島元雅夫区議)

最後に、区立図書館をめぐる指定管理者問題に関連して伺います。

先の169国会で、社会教育法、図書館法、博物館法改定の審議のなかで、社会教育施設における指定管理者制度の問題が取りあげられました。当時の文部科学大臣は、「公立図書館への指定管理者制度導入」が僅か「1.8%しかない」のは、「指定期間が5年位と短く、長期的視野に立った運営が難しい」こと、また「職員の研修機会の確保、後継者育成が難しい」からで、「制度を導入するならば、こうした問題を払拭して、懸念が起きないようにしてから」導入をと、答弁しました。

この答弁の重要性について教育長は、第三回定例会でのわが党の質問に、「真摯に受け止め、「図書館サービス検討PT」 で十分に検討する」との答弁でしたが、その後、後継者育成、安定的、継続的な施設運営等についてどう検討・対応したのか伺います。

また参考人の長澤成次千葉大学教授も、指定管理者制度について、「基本的には経費節減が非常に大きな目的」で、即「それがそこで働く職員の労働条件の問題に波及していく。」また「3年ないし5年という形」なので、「継続性」が求められる「社会教育施設に指定管理者制度はなじまない。」と問題点を指摘しました。

こうした論議のもと、衆・参両院の文教関係委員会では、附帯決議に、「指定管理者制度の導入による弊害についても十分配慮して、適切な管理運営体制の構築を目指すこと」という文言が入ったのです。

そこで、教育長は国会決議がいう「弊害」の中身をどう認識し受け止めたのか。また、附帯決議が指摘している、社会教育主事、司書、学芸員などの「有資格者の雇用の確保、労働環境の整備、研修機会の提供など、有資格者の活用方策」の検討について、文京区における現状と今後の課題について併せて伺います。

こうした経緯は、国会が「社会教育施設では、有資格者を自治体自らが雇用して、直営で行うべきだ」と言っているに等しいと思えますがどうか。また2003年の地方自治法改定以来、公の施設は「指定管理者制度でなければならない」という風潮が強いなか、先の国会で、図書館には「なじまない」という明確な大臣や参考人の答弁がなされ、国会でも「弊害」だとする認識が示されたという変化について、併せて見解を伺います。

こうした認識の変化は、指定管理者制度を推し進めてきた総務省自体の変化に最も顕著です。6月6日の「平成20年度の地方財政の運営について」で、指定管理者制度の運用に触れた「総務事務次官通知」、及び全国都道府県財政課長・市町村担当課長合同会議で「指定管理者制度運用上の留意事項」の資料による説明にはっきり示されています。

ここで注目すべきことは「総務省がこれまで強調していた「経費削減」を一言も述べず、「公共サービスの水準の確保」をまずあげ、「留意事項」の最後に、「情報公開による透明性の確保」をあげていることです。総務省は、「ポイントは公共サービスの質の確保という観点」での業者「選定が重要」で、「ダンピングなどで住民サービスの質を落としていいということではない」、「委託料についても人的・物的能力等に応じた適切な積算」で、「住民サービスを低下させない委託料の積算が必要」だと説明しています。

翻って、真砂図書館の例では、昨年より1300万円も低い価格で落札した(株)日販図書館サービスの都合で、司書資格を持つ委託スタッフの賃金が時給900円から850円に引き下げられ、半数が辞めました。その結果、4月には、貸し出し返却の処理漏れ、書棚の乱れが多く、資料が探せないなど大変な混乱が起きています。「経費節減」のみの追求は、必然的に「官製ワーキングプア」を作り出し、そうした委託現場で食べていけない労働者は、職場に蓄積された経験も継承できずにやめていかざるをえないのが実態です。

区は、「委託料」など、こうした総務省の指摘から、何を学び、何を検証すべきなのか。私は、5年前に、受付カウンター業務について、経費的には非常勤職員の活用の方がベターとの試算を無視して強行した民間委託化問題を真摯に検証して、今後「図書館サービスの水準」を確保し、「官製ワーキングプア」を作らない具体的な方針と対策こそ示すべきだと考えますが、併せて伺います。

総務省の19項目にも及ぶ「留意事項」を個別・具体的に図書館の管理運営に沿って検討すれば、おのずと結論は明確になるのではないか。つまり、図書館に指定管理者制度はなじまないということです。

ところが、文京区は今年度、第三次行革「図書館サービス検討PT」や、図書館内部の「図書館サービス検討会」を既に15回開催し、(1)再任用、非常勤委託を活用した直営体制、(2)全館全室に指定管理者制度を導入、(3)一館を直営とし、残り全館に指定管理者制度を導入、この三つのパターンの比較検討を行い、このほど「中間のまとめ」をしたとのことです。区が、「指定管理者制度導入 先にありき」で課題を設定し、しかも超スピードの検討で結論を急ぐやり方は、先の国会で国が到達した認識の大きな変化にそぐわない方向ではないかと、危惧の念を抱かざるをえません。

こうした区の動きは、図書館への指定管理者制度導入の是非をめぐる動向、即ち、2005年の日本図書館協会が提起している5つの視点や、国が指摘している重要課題を一つ一つ検討しての結果なのか。それぞれPTとしての検討・検証の結果と課題及び、教育長の見解を求め伺います。

高い評価を受けてきたこれまでの区立の「図書館サービスの水準を確保」する運営に加え、開館日の拡大や開館時間の延長など、新たな区民サービス向上への対策は、指定管理者制度の導入がなければできない性質のものではありません。区の直営体制で知恵と力を結集すれば、実現可能なサービスです。区財政は健全に推移しており、総務省の留意事項も、サービスの水準を落としてまで「図書館行政のコスト」を下げるなと指摘しています。この点からも図書館への指定管理者制度の導入はすべきでないと考えますが、教育長の明快な答弁を伺うものです。

(教育長答弁)

次に、図書館の指定管理者制度導入に関するご質問にお答えします。

まず、後継者育成や、安定的・継続的な施設運営に関する対応についてのお尋ねですが、指定管理者制度を導入する際に、指定管理者における職員育成体制も評価し、指定することにより、質の確保は可能であると考えております。また、今回は中央館を直営にすることで、相互の連携を通じて事業の継続性を確保し、長期的展望を持って安定的・継続的な施設運営が行えるものと考えております。

次に、国会の附帯決議における「弊害」についてのお尋ねですが、ここでいう「弊害」とは、文部科学大臣の発言の趣旨と同様のものと考えております。これに対しては、直営の中央館と指定管理者制度を導入する他の地区館が連携した運営を行うことにより、区民サービスの一層の向上を図ることが可能になると考えております。

次に、司書等の育成対策及び雇用計画の現状と今後についてのお尋ねですが、現在、本区では図書館司書を専門職として雇用ないし育成する制度をとっておりません。今後のことにつきましては、新たな事業運営形態の中で検討してまいります。なお、その他の有資格者につきましては、適切に配置しているところでございます。

次に、国会が「社会教育施設は、有資格者を自治体自らが雇用して、直営で行うべきだ」と言っているに等しい、とのご意見ですが、直ちに自治体自らが雇用することなどを求めているものとは考えておりません。

次に、図書館サービスの水準確保及び官製ワーキングプアへの対応についてのお尋ねですが、これまでも図書館窓口等業務委託においては、一定のサービス水準を確保した上で、適正な積算の下に予定価格を設定し、契約をしております。今後、導入を予定しております指定管理者制度における労働環境につきましては、基本的に雇用者である事業者の責任で行うものと考えておりますが、雇用条件に影響を与える指定管理料については、プロポーザルにおいてその配点を考慮するなど改善を加えているところでございます。

次に、国の指摘する重要課題の検討状況、及び「図書館サービス検討PT」等における検討・検証の結果と課題等についてのお尋ねですが、「図書館サービス検討PT」と「図書館サービス検討会」では、「図書館に望まれるサービス」、「これまでの検討内容についての検証」、「図書館の運営形態についての比較検討」、「指定管理者制度を図書館に導入するにあたっての懸念についての検討」という観点に基づき、検討・検証を行ってまいりました。その結果、中央館を直営とし、区の一定の関与のもとに連絡・調整を密にすることにより、図書館サービスの向上と図書館運営の効率化が図られるものと考えております。

最後に、図書館の指定管理者制度導入はすべきではないとのご意見ですが、今以上のサービス拡充を図るためには、区と指定管理者が連携して運営することにより、創意工夫を活かした新たな図書館サービスの発展が期待できるものと考えております。